短編1
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ケダマ

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公園のベンチにすわり、

編み物をしているときだった。

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ふと、スカートを見ると

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小さな黒い毛玉が絡まっていた。

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毛玉をとろうと綿棒で突っついてみたが

とれなかった。

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・・・・

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・・・・

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家に帰り着替えをしているときだった。

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スカートを脱ごうとしたが、脱げない。

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スカートをまくり裏を調べると、黒い糸が無数に、

両足に絡み付いていた。

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「なんなの、これは」

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急いでハサミで切ろうとしたが、

切っても、切っても、

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それは増殖してゆくばかりのようだった。

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・・・・

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股の間のそれは、

人の頭ほどに大きくなった、

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黒い毛玉があった。

そうだ、あの小さな毛玉がスカートを

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餌にしてこんなに増殖してしまったのだと、

自分は直観した。

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毛玉はパンティを食い始めた。

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そして陰毛をも、

引き抜いてゆく。

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そのあとだった…

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黒い毛玉から

人の頭が分裂してきた。

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頭はニヤリと嗤った。

そして私の陰部に侵入してしまった。

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・・・・

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・・・・

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あれから半年が過ぎた…

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それからは時折、

子宮に住み着いた毛玉に、

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餌をやっている。

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もう手が増殖したようで、

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好物の、

ジーンズをつかみ

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引き込む事もあったりする…

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