長文です....
今からする話は
私が一番、怖くて
今でも反省してる話です
10才くらいの頃
オカルトが大好きな
Kという友達がいた
Kの話は
どれも嘘くさくて
全然、信じてなかったけど
その頃は面白がっていた
いつものノリでKが
「マヲ、ここは危ない
結界が張ってあるよ」と
空き地で遊んでる時に
ふざけて言ってきた
その空き地は
私の家だったアパートの
隣にあって
小さい頃から、よく
遊んでた場所で
「また嘘か」と思った
ただ、
その空き地には
お稲荷さんが在った
それからよく
その、お稲荷さんをネタにして
二人で、なんちゃって霊感少女をしてた
除霊って事で
お稲荷さんに石を投げた事もあった
そんな罰当たりな
遊びをしていた
ある日、思い出した
小学校はいりたてぐらいの時に
ダンゴムシを探しに
お稲荷さんに来た時に
土の中から
見つけたアレの事を
「K
面白いのが、あるんだよ」
私は、お稲荷さんの
裏に在る
少し大きい石を、ひっくり返して
少しだけ地面を掘った
それは、すぐに
出てきた
何かの動物の
頭蓋骨と
それにつながる様に
並んだ背骨....
「多分、犬の骨だと思うんだ」
そう言って私が
また埋めようとすると
Kが止めた
「いいよ」
えっ?
「埋めなくって、いいよ
そのままにしておこうよ」
Kがなんで
そんな事を言うのか
よく解らなかったけど
私は、その骨を
放置する事にした
それからKは
ふざけて遊んでると
よく泣き出す様になった
「もうやめよう
もうやめようよ?」と言いながら
だいたい、ふざけだすのはKなのに
調子が狂う、
だけどKの泣き方が
演技にしては不気味すぎて
あまりKと私は
遊ばなくなった
それから私は
よく妙なものを見る様になった
一番、頻繁に見ていたのは
中学の頃だった
家の、すぐそばに
墓地が在ったからか
昼夜問わず、色んな霊を見てた
見すぎて
なれてたぐらいだった
中学の修学旅行で
京都に行った時
グループ行動は
タクシーだった
私がなんとなく
怖い話をしてると
タクシーの運転手が
話をし始めた....
確か
「面白半分で、そうゆう話をしてると恐ろしい事になる」
とか、そんな話だったと思う
その頃、大人の言う事は
だいたい嘘だと
決めつけてた私は
「はいはいっ」と流してた
タクシーの運転手のJさんは
実は陰陽師らしい
若い頃、お寺で修行をしていて
今は陰陽師や住職が
自分には合わないので
タクシーをやってる、と
陰陽師の仕事は
気力を使うんだそうだ
そんな、胡散臭い話で
騙されるか!と思ってると
タクシーは
ある、お寺に着いた
Jさんの説明だと
昔、このお寺で
織田信長の葬儀が
行われたらしい
駐車場に着いたあたりから
だるくて
だるくて
仕方なかった
いつもの事だった
自分に危害を加えるだろう人に会うと
気持ち悪くなる....
きっと、Jさんは
私が嫌いなんだろうと
思った
「何かされる前に
逃げてしまいたい」
そう思ったけど
ここは知らない土地
自分が疑心暗鬼に
なりすぎてる事も
いつもの事だったので
仕方なく
お寺の中に入った
普通に、修学旅行生が
見学できる
普通の観光用の寺
だけど
私の中に何か入ってくる様な
妙な気分だった
もう、限界で
うずくまると
Jさんが駆けつけた
頭では「助けてもらえる」と思った気がする
胸の中ではハッキリと「お前のせいだ」と思った
Jさんは優しく
私の背中に
呪文を言いながら
何か書いた
すると体の中に
ピンと何かが通って
私の背中を支えた....
Jさんに「大丈夫か」
と言われながら
先に進んでいった
Jさんは絶対
嘘つきだと思ってたのに
どうやら違ったらしい
お寺の中では
明らかに何百年も昔の格好をした
女が、すすり泣いていた
だんだん大きく
頭に響いてくる、すすり泣きと
悲しみや悔しさの感情が流れ込んでくる
必死で負けない様に
しながら、私はお寺を出た
タクシーに乗ると
グループの他のメンバーも
皆、何故か真っ青だった
Jさんは私達に気遣いながら
タクシーで
金閣寺へ向かった
金閣寺に着くと
入場券の代わりに
配ってるお札を使って
Jさんが
お祓いをしてくれた
なにがなんだか
よく解らないけど
お祓いをしてもらった瞬間
太陽の光が差すみたいに
胸が軽く
明るくなったのを
今でも覚えてる
その、お札を
家に帰ったら部屋に貼りなさいと言われた
それから
私は、しばらくの間
あれほど頻繁に見てた
妙なものを全く見なくなった
だるくなる事も
あんまり無くなって
性格も優しくなった
とよく言われる様になった
その内、疎遠になってた
Kとも仲良く話せる様になった
今でも
Jさんには感謝してる
京都は遠くて
電話も勇気が出せなくて
お礼もできないけど
だけど
私が見たものや
感じてきた事は
本当に実在した事なんだろうか
私は実は酷い妄想癖で
全て私の思い込みだったりしないだろうか
Kは
なんで突然よく泣くようになったんだろう
あの動物の骨は
見ちゃいけないものだったんだろうか
Jさんには
何が見えてたんだろうか....
中学を卒業する前に
Kは遠くに引っ越していった
私も今は
お稲荷さんの在る町には住んでない....
もう何も
確かめようが無い気がする
数年経った今でも
手を合わせて
「本当に、すみませんでした」と
真剣に思う日がある
許してもらえるか
解らない
もしも「すみません」と思う事さえ
よくない事だったら
どうしたらいいんだろう
後悔してる
触れちゃいけないものに触れてしまったと思う
これからも忘れちゃいけない。
怖い話投稿:ホラーテラー マヲさん
作者怖話