夢ちゃんのお家は
駄菓子屋さん
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色とりどりのお菓子が
並んでる
パステルカラーで彩られ
お店の中は何処かの
保育園みたいに明るく楽しい
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お話するぬいぐるみの
わんこも
撫ぜると鳴き声のする
猫のぬいぐるみも
いつも綺麗に 棚の上から
迎えてくれる
さえずる小鳥のおもちゃも
壁に描かれた木々の間から
本物の木の様に生えてる枝に
とまっていて
僕は毎日通ってしまう
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夢ちゃんちは、お店の名前で
お店の入り口のガラス引き戸には、ピーガルくん、子供110番の家と描かれた
お家のマークが貼ってある
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僕の大好きな場所
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大きなウォーターサーバー
は 5年生にならなきゃ
触っちゃいけない決まりが
あってお店の人か
お客さんでも5年生以上なら
使える決まりが書いてある
夢ちゃんちで
粉ジュースを買って
サーバーのお水で溶かして飲んだり、カップラーメンやスープも飲めるお湯もでる
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お店の奥にはお家に
つながる広いサッシ窓の前に
ベンチが並んでいて、細長いテーブルもある。
お菓子やサンドイッチ、菓子パンをやおにぎりも売っているから、僕はそこがお気に入り
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夢ちゃんちでは
小さい子達に優しい中学生のお兄さんやお姉さんも来ているので、お水もお湯も 、ちゃんとサーバーからコップに入れて
テーブルへと運んでくれる
お店の人じゃないのに、してくれる
意地悪な子は、ここには来ないみたい?
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お店の外には、ガチャガチャが
並んでいて 、自販機もある
多分みんな、ここが好き
ここで塗り絵をしたり、パズルをしたり、ゲームをする子もいる。
中学生の人たちは、宿題をしていたり、お話したりしている
何かビーズや綺麗な糸を
編んだり 年下の子にも教えてくれて、本当の兄弟や姉妹みたい
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時々 大人のお客さんが来て
僕たちのお話を聞いたり
昔の遊びを教えてくれる
おまわりさんも
ここのドーナツを買いに来る
夢ちゃんちは
夢みたいに楽しい場所
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僕はここが好き
とても安心できる所だもの
お店番のおばあちゃんが
おまわりさんと話している
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おばあちゃんの
亡くなったお兄さんのことだ
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おばあちゃんが小さい時
お父さんもお母さんも
何日も帰らない日があって
お兄さんと手を繋いで
パンを買いにお店に行って
いたって...
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婦人は遠い日を思う様に
目を細める...
「大人がそばに居てやらなけりゃね?優しい兄でしたよ、
自分の分のパンをいつも
私にくれて居ました。」
「あの日いつものお店が
お休みでね
私がお腹が空いたと駄々をこねるものだから、ちょっと遠いお店まで行くからと
お留守番している様にいわれたのにね」
婦人は エプロンの裾を握りしめた。
「小さい子に待つなんて
できませんよね、1人なんて心細くて」
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おまわりさんが
おばあちゃんの背中を、よしよししている
「追いかけた私が道路に飛び出したものだから、兄は私を庇ってね...」
「まだ小学校3年生ですよ」
まだまだ、自分の事だってままならない年ですよ」
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可哀想におばあちゃんが泣いている
「夢だったんですよ、おとぎ話の様にね、2人でいつもこんなお家があって、おもちゃもお菓子も、食べたいものがいつでもあってね。
お母さんは、優しくて、
お父さんは、お話をしてくれて
いつも2人で夢みてたんです」
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おばあちゃんは
腕のいくつもの痣をさすりながら、「子供は 恋しいんです。
どんな事をされたって
人が恋しいんです。」
おまわりさんは
「こういう場所が もっとあれば、良いですね、今は近所とも交流も難しい時代 ですが」
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「ごちそうさま」と行って
おばあちゃんの肩を撫でると
席を立つ...
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お家の奥の部屋からは
おばさんと
お兄ちゃんと最近生まれた
赤ちゃんの声が聞こえてる
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夢ちゃんちは
おばあちゃんの家族が
仲良く暮らしてる...
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僕は毎日ここに来る
妹の夢ちゃんが
ちゃんと幸せでいる様に...
僕は毎日ここに来る
妹の夢ちゃんが
泣いたりしない様に...
毎日 毎日僕は来る
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今でも僕は3年生...
ねぇ
夢ちゃんち に来てみない?
作者benihime
儚い夢かもしれません
怖くは無いと思います...はい
ああ 難しや
行間がつかめませんわ