もう
20年程昔の事になるけれど
その頃は一日二箱は吸う程の
ヘビースモーカーだった私
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あの頃は
不安定で
生きる意味も見出せず
ただ現状に流されていた
不安定でありながらも
就職活動と母の介護で
私は生保の研修を受けていた
時期になる
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その頃電車を乗り継いで
通っていた研修場所からの
帰り道
駅のホームで
急行に間違って乗ってしまい
降りる駅にはおりられず
また戻りの電車に乗るも
再度同じ過ちを繰り返す羽目に
なり 同じ駅に立ち戻るを
繰り返すことになる
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「もうっ電車ってめんどぃ
てか ?わかりずらいわ」
同じホームから乗るのに
行き先が違ったり
急行 快速で 止まる駅も違うし
車移動に慣れた私には
未知なる世界なのでありました
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「これから通勤で慣れなきゃならないんだなぁー」
そんなことを考えながらも
無駄に過ごした時間が
惜しくもあり
自分のおばか加減も腹立たしく
今日一日まとわりついてきてやまない寒気も重く て、
やっと
今度こそは?...と
目的の駅に止まる電車に
乗れるはずと
ホームに入って来る電車を見ていた
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その時
悲鳴と共に響きわたる
急ブレーキの音と
ガツガツと地鳴りの様にも
響いて来る軋み音...
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ホームの上は
一斉に慌ただしくなり
人だかりができる
列車が
人身事故を起こした事を
アナウンスは告げていた
駅員と救急隊員が線路に降り
担架と ビニールシートが
運ばれている
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ホームには人だかり
右往左往している
駅員に救急隊員
しばし列車は停車していたが
そのまま また動き出す
人身事故を起こした車両は
躊躇われて
私はその列車はそのまま
やり過ごした。
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やり過ごした為に
見てしまった。
人の欠片
人だったはずの者
意志を持っていたはず
さっきまで人としての時間を
繋いでいたはずの者
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ほんの一瞬で
骸(むくろ)となった
人の残骸
線路側に散らばる
人の欠片
指先だけが爪の形と共に
いまだに記憶に残る程に...
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線路の傍にしばらくは
そのままの状態で置かれていた
電車の行き交う合間の
処理で
いくつかのポリバケツと
黒いポリ袋と共に
やがて遺体は運ばれて行った
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好奇心?
怖かった...
多分 私は怖かったのだと
思う...
そのまま電車に乗る事が
ひどく勇気のいる事だった
足が、身体が、震えていた
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なぜ 普通に帰れなかったの?
なぜ いつも使う駅の乗り換えに戸惑ったの?
なぜ?
寒気がつきまとっていたの?
...
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ヘビースモーカーの私は
ホームの片隅で
メンソールにライターで
火をつけた
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紫煙が
ゆっくりと空に消えていく
指先の震えも
少しずつ...
身体の寒気も
少しずつ消えて行く...
死にたいわけでは無いけれど
生きたい気持ちは
正直無かった...
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嫌気がさしていた
終わりにしてもいいじゃない
そんな気持ちが
あったから?
そういえば
今日は煙草を吸ってなかった
私の精神安定剤
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メンソールの香りと
揺らぐ紫煙の中で
無心になる事
人の想いは切なく痛い
視線は嫌い 誰も私を気にしないで...
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(見させられたね?)
人の世の行く末
いつ自分に訪れるやもしれぬ
瞬間 を 見させられたね?
隙間は作るんじゃないよ
心を囚われてはいけないよ
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声が聞こえるわけじゃない
ただ
彼方の人の
想いが伝わる...
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<大丈夫だよ、おばあちゃん
もう 選べる大人になったから...>
3本目
吐息と共に
メンソールの煙が溶けてゆく
まだ大部分残っている
煙草を揉み消して
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また来た列車に
乗り込んだ
何事もない様に
人波に飲まれ
今日の時間を
繋いで行く
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列車の窓から見える
薄曇りの空が
何故か優しく目に映る
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線路に吸い込まれる様に
空気が色を変える瞬間がある
風が冷たく
音が遠くに消えていく
瞬間がある
きっと誰もが感じるわけでは
無いのだろう?
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それでも何処かの誰かは
感じる事が出来るのだろう
運が良いのか悪いのか
飲み込まれる瞬間がある
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飲み込まれたら
刻の狭間へ堕ちてゆく
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ほんの一瞬
綱渡りの縄の途中で
バランスを崩す様に
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時が歪む 風が落ちる 音が咽ぶ
そして刻んだ時が止まる
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もう... 鼓動は幻に...
光は闇に
透けていく...
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そして終わりの無いループ
永遠というループへと...
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その列車
乗れますか?
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当時はホームで喫煙可能でありました。
今は禁煙しておりまする はい
作者benihime
読んで頂いて
ありがとうございます
こちらは
体験談になります
タイトルがね?
どうもしっくりこないんですが
思考停止状態でアイディアが浮かんでこず
何となくつけています
なんか拙い文章で
行間が思う様に
表現できてません
どうすりゃいいのか
考えると躓くんで
とりあえず手探りで進めちゃいます
進めていけば
何とか出来ると
淡い期待を抱きつつ
書いてます はい...
コメント頂けましたら
出来る限り お返事できるようにと
思っておりますが
まだ新参者未熟者故
至らぬ事が多々あります
暖かく見守って下さいませ。