これは、ある肌寒い秋の日、女友達と温泉旅館に一泊した時の話しです。
女だけの四人。
観光したりして楽しんだ後、私が予約していた旅館に午後四時位に向かった。
近くには川が流れ、紅葉も多く、旅館は古い作りで、床なんかギシギシいっちゃう感じだけど、 古い木の匂いがするそこを、私達は気に入った。
「おばあちゃんの家に来た感じだね」
なんて言いながら私達ははしゃいでいた。
さっそく風呂に行き、疲れた体をほぐして、ご飯を食べて私達は飲みまくった。
夜 11時を回った頃だろうか
私ともう一人以外の二人は寝てしまった。
なので、「酒さましにもう一回風呂行こうか」
とゆう話しになり、
再び二人で温泉へ浸かる事にした。
「さっきは人結構居たけどさすがにこの時間は居ないねぇ」
どうやら二人だけのようだ。
内風呂に入り、身体洗って湯船に浸かり、話したりして、 長風呂好きな私達は更に「露天に出よう」と外に出ると、
友達が「え!?」と変な声を出した。
彼女の目線の先、湯煙の更に先に 湯船に肩まで浸かる女性が一人ぽつん、と居たのだ。
誰も居ないと思っていたのでびっくりしたが、そりゃ私達みたいに入る人が居たっておかしくは無いさと、私はアイコンタクトしながら友達に微笑んで、彼女も頷いて、私達はとりあえず湯船に浸かった。
「やっぱり露天て良いよね~」なんて彼女が話す中、私は女性の方をチラッと見た。女性は黒髪で、髪が長いのだろう。後ろにまとめておだんごにして、ビクともせず向こうを向いていて顔は見えない。
数分して、私はふとまた女性を見たが、何も変らない。
…ちょっと待てよ?
と、私は急に怖くなった。
私達が入って、何十分経ってる? 下手したら一時間近くは…
それに、私達の肌は結構ピンク色になって、暑くて足だけを浸けたりしていたのに、女性の方からは水しぶきの音すらせず、見ると肌は妙に白い。
私は友達の手を取り、
内風呂へ向かい、黙って脱衣所に入った。
彼女も察知したのだろう。
黙って服を着る。
服を着て、出て行こうとした時、辺りを見回すと、
やはり 使用されている服を入れるカゴは私達ののみだった。
なぜかその場を離れる時、私は後ろを振り向いてしまった。
すると、洗面所の鏡に、横から顔を出して笑っている女の顔が映っていた。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話