中編3
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霊が見える姉弟

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別に怖くないけど

霊っているんだーって思った話

これは5年程前、高校一年生の頃の話。

お盆の時期になると、毎年父と俺とで栃木県にある父方のおばあちゃんの家に行くんだ。

おばあちゃんちは農家をやっていて

家より畑や田んぼばかりあるような田舎だった。

そんなおばあちゃんちが好きで毎年楽しみにしてた。

この年のお盆は暇で、父が久しぶりに友達に会いに行くことになり、俺もついて行かされた。

おばあちゃんちから一時間くらいかかる

山の上の方に住んでるみたいで、携帯も繋がらない、お店も何もない山道を車で走っていった。

しばらくすると家がちらほら見えてきて電波も入り

古いコンビニみたいな店なんかも出てきた。

森というか山に囲まれたような所に、そんなに大きくはない町があり

映画とかゲームに出てくるような田舎で

「良いところに来たなー!!」なんて思ってた。

そんなこんなしてると父の友達の家に着いた。

古いけど立派な家で、庭には小さな池があった。

この池が人工的じゃなくて自然にできた様な綺麗な池だったのをよく覚えてる。

「遠いとこからよくきたなー笑」なんて言いながら

父の友達と初対面した。

父の友達には二人の子供がいて小学1年生の女の子と5歳になる男の子がいた。

この町にある唯一の小学校の唯一の生徒らしい。

若い人が少ないこの町で若い僕が来たのが嬉しかったのか

遊んでー遊んでーと人懐こい子達だった。

「たんけんしよー!!」って言われて3人で手を繋ぎながら探検という名の散歩をしてた。

ちょっと遠いところまで来たんだけど

あんまり遠く行くと親御さんに心配かけちゃうと思って

「そろそろ戻ろうかー」って2人に言った。

2人は「もっとたんけんしよー」とか駄々こねたけど

なんとか説得して帰路に。

楽しく手繋ぎながら帰っていると

2人が急に立ち止まったと思ったら俺の手を引いて

「ちょっとこっちきて!!」って

俺は言われるがまま連れられた所はお墓の前だった。

田舎だとよく目にするんだけど

霊園とかじゃなくて、一家だけのお墓って言うのかな

一家族分のお墓が道路沿いにポツンとあった。

「どうしたの?」なんて聞くと。

女の子が「ねぇあの手招きしてる人呼んで」ってお墓に指差して言うの

正確にはお墓の横を指差してるんだけど。

俺は「え?なんのことだ?」って思った。

だって人はそんなに歩いてないし

指差してる方向にはお墓しか無いし

もちろん墓の裏には何も無いし何も居ない。

「誰もいないよー」なんてちょっとビビりながら答えたら

女の子が少し怒り始めて

「いるじゃん!!あそこに!!遊ぼうって言ってるよ!!」

俺なんかもう鳥肌立ち始めて

「お父さん心配するから早く帰ろ!」って言って

ちょっと強めに手を引いて帰ることにした。

歩いてる途中『小さい子って見えるなんて言うけど本当だったんだ...』なんて考えてた。

3人で帰宅するとタイミングよく俺の父も出てきて

そのまま2人とバイバイして帰ることになった。

俺は車の中で父にこの話をした。

後日、父が友達にこの話を電話でしたらしい。

そうするとこんな話をされたらしい。

実は女の子と男の子の上にもう一人女の子がいたらしい。でも2人目の女の子ができる前に亡くなったそうで、死因が目を離した隙に池に落ちて溺死してしまった。

俺と探検した2人はお姉ちゃんがいた事を知らないはずなんだけど、盆入りの日から誰に言われた訳でもないのに、池の端に泥団子とか摘んだ花とかを供えてたらしい。

危ないから池には近寄るなって言ったけど

聞く耳を持たず池の周りで遊んでたんだよって

しかも盆明けしたら池には一切近寄らないようになったって。

きっとお姉ちゃんが遊びに来てたんだなーって思った。

俺は霊とか見た事ないし、いるとも思ってなかったから

凄く新鮮な体験をできた楽しい夏休みだった。

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