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短編1
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仕草

僕の父は、僕が17歳の時に亡くなりました。

父はとても優しく、いつも僕達兄妹の味方をしてくれて叱られたと言う記憶も無く、僕達は父の事が大好きでした。

そして僕にも子供が出来ました。

今、1歳3ヶ月の女の子です。

僕は早くして亡くなった父に、僕の子供を見て貰いたかったと、無邪気にはしゃぐ我が子を見ながらいつもそう思っていました。

そんなある日、娘が廊下である方向を見つめ、何やら意味の分からぬ事を言っているところを見つけました。

“いつもの一人遊びだろう”

と、暫く見ていたのですが、よく見ていると何故か懐かしい気持ちに包まれました。

それは、娘の仕草からでした。

生前、父は眼鏡を掛けていたせいか、よく右手の人差し指で右耳の裏を擦る癖がありました。

その仕草を今、目の前にいる娘が満面の笑みを浮かべて、ぎこちなくも何度も何度も繰り返しているのでした。

もしかしたら、娘には亡くなった父が見えていて、父の癖を真似ていたのでは、と思えて仕方ありません。

そうだとしたら、父に娘を会わせたかったという思いが叶った様な気がして、とても嬉しく思いました。

それと、娘が見ていた方向は、生前父が使っていた書斎でした。

怖い話投稿:ホラーテラー もんじゃ隊さん  

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