20歳の頃の体験談です。
当時、新宿歌舞伎町のカプセルホテルを住まいにし夜の仕事をしていた時期の話です。
当時の生活は、夜6時頃から深夜2時頃まで仕事をし、仕事が終わるとカプセルホテルに帰り、起き次第コマ劇場(現在は新しいビルになってると思います)付近を拠点に新宿の街をフラフラするという日々を過ごしていました。
新宿に住みだして三ヶ月ほど経った夏のある日、その日私は特にやる事もなく縁石にボケーっと座っていました。
すると突然頭の中に声が聞こえてきたような気がして、その声に意識を傾けていると、なんだか胸の中に自分の心と何者かの心と二つの心があるような感覚に襲われました。
(姿は何にも見えませんでした)
何というか、胸にポッカリ穴が空く感じの逆バージョンとでも言えば良いでしょうか、上手く伝えられませんがまぁそんな感じです。
そしてその声はこう言いました。
「奴らに殺された、ボスに伝えなきゃ」
そんな感じの言葉でした。
名前はキムヨンファーと名乗ってました。
当時は今の歌舞伎町と違い、ヤ○ザさん達の島争い的なものが盛んでしょっちゅう喧嘩や殺人(殺人はたまにですが)が起きていたので普通に納得していました。
で、その後、どのタイミングだったのだか覚えてないですが、足が勝手に歩き出したのです(・_・;)
なんだなんだと思いその足を止めようとすると止まるのですが、力を抜くとまた勝手に歩きだします。
好奇心の塊だった私は勝手に歩くのがとても面白く力を抜いて成り行き任せにしていました。
いつしか私は「奴らに殺された事をボスに伝えなくてはならない」という思いで私の頭の中はいっぱいになり、どこをどう歩いたかは覚えていませんが、中野とか大久保方面に歩いて行った事だけは覚えています。
どれくらい歩いたでしょうか、気がつくと一軒の家の前についてました。
その家は囲いのない広い庭があったか、玄関側数十メートル範囲に家がなく広いスペースがあったと記憶してます。
そして私は玄関から数メートル手前で
「ボス!ボス!、キムだよキムヨンファーだよ」
「奴らに殺されたんだ」
と叫んていました。
中々人が出てこないので、玄関を叩き
「キムだよキムヨンファーだよ、奴らに殺された」
と何度か叫んでいました。
すると中から韓国か中国か朝鮮か(当時の私は何語を喋ってるのかすら分かりませんでした)
の言葉で巻くし立てるような怒鳴り声と共におっさんが出てきました。
どんなおっさんだったか覚えてません。
とにかく私は、
「キムだよ、奴らに殺された」
と何度か伝えると、おっさんは今度はどこから出したか、手にライフルを持ち、銃口を私に向けながら何語か分からない言葉で巻くし立てて来ました。
ライフルを見た私は我に帰り、とっさに逃げ出しました。
逃げながら「キムだよ、奴らに殺されたんだ!」
と何度か叫んだのを覚えています。
その後は無事新宿に戻って、数日後に何人かの知り合いにこの話しをしたところ、数日前に、職安通り付近の路地裏で外国人が青龍刀で斬り殺されたとの話しを聞きました。
その後もキムヨンファーは何度も私の心の中に入って来ました。
自分を殺したというヤ○ザさんの事務所まで歩かされたりもしましたが、特にどうこうしたという事はなく、組の名前すら覚えてません。
その後一ヶ月位はキムヨンファーが心に入ってくるのが私の一番の楽しい遊びだったのですが、一ヶ月後位のある日を境に彼が来る事はなくなり、今日まで一度も夢にすら出てきません。
彼が良い形で成仏されてれば良いなぁと思う今日この頃です。
作者ふら〜