中編3
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不埒な幽霊

地方の実家に戻った友人(♂)が出張で東京に来たので、神楽坂で一緒に飲んだ。

神楽坂は友人が以前住んでいて、趣味の仲間と集った 想い出の場所だ。

この日も終電を気にせず飲めるようにと、近くのビジネスホテルに宿を取り 遅くまで飲んだ。

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常宿のビジネスホテルで いつもはツインを予約してくれるのだが、その日は セミダブルの部屋しか空いてなく、

「大丈夫?」と聞かれたが、昔馴染みの気心知れた友人だったので「大丈夫よ!」と快諾した。

ビジネスホテルの部屋に入ると、日本酒をたらふく飲んだ友人は 早々に寝てしまった。

私はシャワーを浴びて 友人の隣の寝床に入り込んだ。

しかし寝付けない。

何度も寝返りをうって 眠ろうと目を閉じていた。

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music:2

ふと 気配がし

目を開けて薄暗い部屋を見回す。

すると、隣で寝ている友人の頭側の壁から 何やら黒い靄のようなものが見えた。

その黒い靄は 次第に壁の中から突き出た人の上半身となり

頭とおぼしき部分が 隣で寝ている友人の顔を覗き込んでいる。

私は咄嗟に

「見てはいけない!気付かれてはならない!」

と感じ、目を閉じ 眠っているふりをした。

その黒い靄の上半身は 私の顔も覗き込んでいるようだった。

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ふと、気配が消えた。

私は恐る恐る目を開けると、そこには何もなく 友人のイビキだけが響いている。

「あぁ、怖かった…。朝になったら友人に話そう!」

そう思い、寝返りをうって仰向けになった。

私は普段 側臥位で眠るので、もう一度体の向きを変えようとした。

が…動かない‼

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music:3

金縛りだ!体が全く動かせない!

いつもは、金縛りになる予兆と云うか、耳鳴りや引き込まれるような感覚があって 金縛り状態になるのだが、突然の金縛りに 気が動転する!

「さっきの黒い奴か!?」

怖いので目をぎゅっと閉じ 必死に手を動かそうともがき、声を出して友人に助けを呼ぼうと試みる。

「あぅあぅ」言ってる自分の呻き声が聞こえる‼

怖い!怖い‼

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その時、自分の唇に何かが当たる感触がした。

グミ?ゴムの塊?の様な 温かくも冷たくもない物が唇を塞ぐ。

啄むように唇に何かが押しつけられる。

「ん?キスされてる!?」

隣の友人か!? いや、友人のイビキが聞こえて来る。

友人じゃない‼

次に 両胸の乳首辺りに感触が…!!

両掌で円を描くように動いている!

「ん?胸 触られてる!?」

友人か!? いや、隣からイビキが聞こえて来る。

友人じゃない‼

「何なんだ!?」

だんだん 怖さより腹が立ってきて

「人の体をまさぐってんじゃねぇ‼ぶん殴ってやる‼」

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右手の拳を握りしめ この不埒な奴に 拳を叩き込んでやるイメージで

「ぶん殴ってやる!ぶん殴ってやる‼」と

必死に叫ぼうとし 力任せに右手を振り上げようとした。

気配が 突然消えた。

力一杯振り上げた右手が 虚空に つき上がっていた。

起き上がり、肩で息をする。

「何だったんだ…お化けか?夢か?」

隣では友人が スースーと安らかな寝息をたてていた。

私は誰にも、この一件を話せないでいる。

夢かもしれないし、お化けだったとしても 不埒なコトをされただなんて 恥ずかしくて言えない。

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初めて書きました。
実体験を いろいろ書いてみようと思います。
読んでくれて ありがとうございます。

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