岡山県瀬戸内市は、瀬戸内海に面した岡山南東部に位置する市でJR赤穂線が通り、兵庫県と瀬戸大橋を挟み香川県に隣接する地域だ。
刀剣で有名な備前長船なる名刀を生みだした長船町をはじめ、牛窓町、邑久町と3つの町村が合併しており1年を通して雪が降らず暮らしやすい地域としても知られている。
わたしはこの地で過ごしてきて怖い体験を僅かばかりだがしてきている。
その話をする前に、皆さんは夢というものをどういう風に思っているだろうか?
寝ている時にみる非現実的なもの
はたまた、夢とは現実を忘れさせてくれる素敵なファンタジーなどと夢想めいた表現が近い方もいらっしゃるのではないか?
夢という言葉を辞書で引くとこうある。
【夢とは睡眠中あたかも現実の経験であるかのように感じる、一連の観念や心像のこと。睡眠中にもつ幻覚のこと。】
そこにわたしの補足を挟むと夢というのは基本的には浅い眠りの状態、いわゆるレム睡眠という状態の時に起こる現象であり、深い眠りの時は夢を見ていたとしてもそれを覚えていることはまず無いということである。
また、明晰夢や夢枕、正夢を見るといった霊的な現象も古来より民間伝承として伝えられている。
しかし私の体験した現象はどれにも属さずまた、このような体験をしてしまってから夜も眠れない日が現実に続いている。
時折ふと考えると、夢とは今わたしがいるこの現し世こそが何者かの見ている覚めることの無い夢で、私たちは何者かの見ている夢の中の幻に過ぎないのではないか?
あれは今から15年ほど前、わたしは日雇い派遣のその日暮らしの労働者で、給料日には貯金もせずにギャンブルや酒、女に金をつぎ込んでいた。
時代は当時、就職氷河期と呼ばれており小泉内閣は派遣労働者の規制緩和をしたことで、大量の派遣労働者が増えた時代だった。
わたしもその内の1人で明日も見えない生活にやがて身も心も荒廃していき、楽しみといえば月に1人か2人程、援助交際を希望している若い女を買春し、その若い肉体を貪ることだった。
中には未成年の女もいたが、社会的身分の低い私にはそれがバレて逮捕されようが、どうとでもよかった。
少し前に関西援交と呼ばれる、未成年が多く出演する裏ポルノの撮影者及び男優が逮捕される事件があったばかりだったが、それに比べたらわたしのやっている援助交際など小さな氷山の一角に過ぎないだろう。
派遣労働者をやっていると仕事の都合上、色々な地域に飛ばされる。
だからその地域の若い女と知り合い、金で一晩の関係を持つ。
下手に風俗にいくよりも本番ありきの素人と長い時間、己の性欲をまだそれ程男を知らない女へ注ぐことが出来るのだから。
そうして派遣労働者をしつつ、辿り着いた場所というのが冒頭でも書かせて頂いた。岡山県瀬戸内市である。
前置きが長くなってしまったがこの地で私は忘れられない恐怖の体験をすることになる。
私はその日、居酒屋で1杯引っ掛けたあと無性に女を抱きたくなり、援助交際を希望している女をネットで探した。
大半は援交常習犯だが、中にはまだそんなに経験も多くない女もいる。
金欲しさに1度しかない若い日の青春を捧げる。
汚れきった青春などとは女からすれば屁でもないのだろうか…。
何通かのメールを送り返事を待つだけで女からの希望が返信されてくる。
【キスは無しでゴムあり2万円】
却下
【フェラのみいちごーホ別で】
却下
【本番あり生ok3万で熟女より】
万死に値する。
これといっていい当たりが来ないので今日は諦めようかと思っていた時だった。
【一晩2でどうですか18歳女子大生】
本番がありかという返信に大丈夫ですと返信がきた。
これは久しぶりの当たりだ。
まあ会ってみて、相当のデブスなら帰るけれどそれは会うまでわからない。
メールのやり取りをしてから会うまでにはそんなに時間はかからなかった。
お互い近い場所におり、待ち合わせもホテルの近くで落ち合うことが出来た。
初めて会った時に久しぶりに上玉を引いたと嬉々としたものだった。
顔は奥菜恵似の和風美人といった風貌で少し恥ずかしそうに下を向き、
「わたしあまりこういった経験がないもので。」と言う。
それこそわたしが求めていた女だった。
私のような中年がよもや手にすることの出来ない女。
美貌と溢れんばかりのハリのある艶やかな肉体を服の上から舐め回すようにわたしは視姦する。
ホテルに入りシャワーも浴びずに女の服を脱がせる。
女はサトミと名乗っていたが、大概は偽名だ。
一夜だけの夢の関係。
次の日にはお互いの存在など無かったかのように忘れさられ、わたしの中には無力感と途方もない惨めな悔恨だけが残る。
女の乳房を口いっぱいに含みやがてわたしの舌は女の腹を這いずる。
ナメクジのようにサトミの肉体を這いずる私の舌に感じているのかびくびくと体をくねらせる女の反応を見ているうちに、わたしはどうしてもこの女をわたしだけの物にしたくなった。
わたしはサトミの膣に挿入すると同時に、サトミの首に手をかけて思いきり締めあげた。
人間は首を締められると、チアノーゼという酸欠状態になる。
それが1分から2分続くと顔は青紫に変色し瞳孔は大きく開かれる。
急に首をは締め上げられたサトミは体をばたつかせ必死に抵抗してきた。
首から上はすでに酸欠になり体も痙攣を起こしはじめている。
この状態になると女の膣は締まりがよく得にもいえぬ快感を味わうことができる。
やがて抵抗する力を無くしたサトミの体がダラりと垂れ下がる。
両眼が僅かに飛び出し、尿を垂れ流していた。
糞も漏らすと思ったが、糞は出なかった。
舌をだらしなく口から出し、赤紫色に鬱血して死んでいるサトミをわたしは死姦した。
死体となった女は私の私だけのモノになったのだ。
女を手に入れた喜びと裏腹に私のなかに得体の知れない不安がよぎった。
死体をどうするか…
いずれ死体は腐敗する。
人はいずれ死ぬ、死んだ人間は土に還り、その姿を骨へと変える。
永遠とは無いのだ。
わたしは言い知れぬ不安からサトミのまだ温かい死体を抱きながら泣いた。
泣いている内に疲れ果てて眠りについてしまった。
それは深い深い永遠の眠りのように思えた。
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気がつくといつの間にか朝になっていた。
昨夜のことは覚えている。
サトミと名乗る女を買って、わたしは血迷いその女に手をかけてしまった。
わたしは殺人を犯してしまったのだ。
しかし私の隣に女はいなかった。
ホテルの部屋をくまなく探したがその女の死体はおろか所持品や形跡まで無かったのだ。
しかし確かにわたしは昨夜の異常な光景を覚えている。
そしてこの手で絞殺した感触も、、、
狐につままれたような気持ちでホテルを出ると思い出したように携帯電話を取り出し、メールをチェックする。
そこには文字化けしたメールのやり取りがある。
試しにそのアドレスにメールを送ってみるがエラーメールが帰ってるくだけだった。
その日からわたしは悪夢を見るようになった。
悍ましい形相で首を締め上げる私と首を絞められ恐怖と苦しみに悶える私の夢を。
わたしは不眠症になり寝られぬ日々が続き、派遣労働者の仕事も出来なくなり、今は生活保護を受けて大阪のとある地区で暮らしている。
時折、あの悪夢を見ることがある。
その時はわたしは夢で私に何度も殺されるのだ。
作者MIKAMI RYUWA