俺は今、アパートの2階で一人暮らしをしてニート生活を送っている。
separator
普段はカーテンを閉め切った暗い部屋でPCをいじっていて、日の光を浴びるのは3ヶ月に1回母親から振り込まれた生活費を銀行に引き出しに行くときくらいだ。
separator
それはそうと、最近このアパートでは改修工事が行なわれている。
separator
どうも、この間近くの7mくらいある高い堤防が決壊して、川が氾濫してしまった影響らしい。
separator
この前銀行に言った時、道中でアパートの1階に住むおじいさんに会った。
separator
どうも工事の影響でこのアパートから引っ越す事になったらしく、「君も早く新しいところを見つけなさい」と言われたが、大丈夫。
separator
これくらいのシンナーの匂いは耐えられる。
separator
さらにその後にも、アパートの3階に住む知り合いのお兄さんにもメールで
separator
「3階だから工事の振動とか大変でしょう(T_T)
大丈夫ですか?」
separator
と送ったら、
separator
「これくらい大丈夫!
まあこれからは1階に住む事になるんだけどねw」
separator
と返ってきた。
separator
あのおじいさんが住んでた部屋かな。
separator
まあ、なにはともあれ、そろそろ工事も終わる時期だ。
separator
前回から大体3ヶ月だし、そろそろ銀行に行くとするか。
separator
俺は玄関で靴を履き、ドアを強く押した。
separator
ドアは開かなかった。
作者三良望也
どうも、閲覧いただきありがとうございます、作者です。
この話の最後にドアが開かなかったのは、語り手がニート生活で腕力が弱っていたとか、押すのではなく引く式だったとか、そういうのじゃありません。
そもそもこの工事のきっかけは、この近所にある堤防が決壊したからでしたよね。
そしたら、その堤防は7mくらいです。
7mといったら、大体地面から一般建設物の2階の天井までくらいの高さです。
…勘の良い方はもう気づいたかも知れません。
また、1階に住むおじいさんが引っ越したのは工事が嫌だからではなく、そうせざるを得なかったからだったらどうでしょう?
3階に住むお兄さんが1階に住む事になると言っていたのは、工事が終わったら自動的に今住んでいる場所が1階になるという意味だったらどうでしょう?
…では、この話の真相を言います。
川の氾濫に備え、工事でアパートの下2階分は埋められることになったのですが、ニートの語り手はそれを知らなかったのです。