最後の体験になりそう
そんな予感がしたので
また此処へ来てしまいました。
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今年の夏は出産のため里帰りをしました。
実家も引越して間もないので
行ったことのない土地でした。
嫌な雰囲気はなく居心地の良いマンション
落ち着いて暮らせると安心したものです。
景色には多少難がありますが...
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ベランダから見える景色は
右下が墓地、正面が駅前のため栄えた繁華街と墓地
左下は小料理屋の立ち並ぶ路地裏が広がっています。
この墓地、500mも離れていない場所なのですが
街中の割に大きな敷地を持つ別々のお寺です。
玄関通路側にはまた別のお寺があり
墓地に囲まれ過ぎやしないか?と思うマンションでした。
家の説明はこれくらいにして
私が視るモノについてお話しようと思います。
いつも通り怖くないので怖い!をお求めの方はまたの機会に...
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お盆の事でした。
強烈な眠気に襲われ、夜21時と早い時間に布団へ入りました。
その日は昼過ぎに散歩へ行って
暑さとゲリラ豪雨に遭ってしまい疲れていたので。
しかし1時頃目を覚ましてしまった私は喉が渇き仕方がなかったので
飲み物を取りに行こうと起き上がろうとしました。
サァァァァァ...
うぅっ...うっぐ...
雨がまた降っているのかな?
それに男の人が声を押し殺し泣いているような声
私の部屋側のお隣さんはいません。空室です。
少し不気味に思い物音を立てぬ様にベッドから抜け出し
キッチンへと向かいます。
あれ?
月が多少出ているのに
窓の外は重たい闇に包まれています。
繁華街だから真っ暗になる事もないのにおかしい。
星も出ている...
さっさとお茶を飲んで戻ろう
そう思って部屋に戻りました。
また急激な眠気に襲われるのですが雨音は強くなり
鳴き声も収まりません。
気にはなるものの眠気には勝てず...朝まで熟睡しました。
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不気味な事は続くもので
次の日もその次の日も闇と声は止まず
盂蘭盆となりました。
その日は外出する事なく
洗濯物を入れようとベランダに行くと
「俺だけかぁ」
父は仕事で家におらず
私と母だけです。男の人の声が聞こえるはずがない。
誰だ?
嫌な気分になったのでお守りにと腹帯に鏡も入れました。
死者には胎児が見えるそうですからね。
気にしないでおこうと洗濯物入れを再開した時
「また1人かぁ」
そんな声がハッキリ聞こえて正面の墓地に目をやりました。
下半身のない水色のポロシャツの中年が
組んだ腕を墓石に乗せ
周りの墓を見渡していました。
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迎え盆にも送り盆にも来てもらえなかった方なのでしょうか
なんとなく寂しそうな声と後ろ姿にこちらまで寂しくなります。
そして私も二度と視る事はないだろうな。と
そんな予感がしました。
作者せらち
17日の事です。
怖くなくて申し訳ないです( ´ ` )
視える事がなくなるだろうな、と感じ我が子に吸われている気がすると予感がしたので体験は最後になりそうです。