怖い話か?って聞かれるとよくわからんけど、まあお化け関係っぽくはあるので、ここに書いてみる。
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うちの実家は絵に描いたみたいなド田舎で、それこそ夏休みに遊ぶって言ったら山にセミ取りにいくか、でかい側溝でザリガニ釣るか、っていうレベルだった。
俺がガキのころはゲーセンのゲの字だって知らなかったし、最寄の駅だって車で二時間はかかる、そんなとこだったんだ。
でまあ、そういうとこには、やっぱりそれっぽい言い伝えの一つや二つがある。
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「むしぶすま」には近づくな。
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じっちゃんが昔から口を酸っぱくして言ってた言葉だ。
いや、これは当時どの家でもすげー注意されてたらしいんだけど、ぶっちゃけ俺らガキどもは誰も気にしてなかった。
だって、その「むしぶすま」ってのがなんなのか、どこにあるのか、全然誰も教えてくれないんだよね。
聞いてみても、見ればわかる、もし見つけてしまったらそれ以上近寄るな、その一点張りでさ。
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わかんねーもんに近寄るもクソもあるかよ、ってんで、まあみんな気にしてなかった。
探してみようぜ!ってなったことは何回かあるけど、結局誰も見つけられなかったし。
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ある日、家族で遠くのでかいショッピングモールに出かけたときのことだ。
夜もだいぶ遅くなったころ、11時くらいだったかな、それくらいに帰ってきて、俺は行き帰りのバスから見た景色を自由帳にスケッチしてたんだけど、それを眺めて楽しんでた。
これでもけっこう絵心はあるほうで、昔からみんなが遊んでるところを絵に描いたりして、小学校ではちょっとした人気者だったんだ。
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で、ちょっと気に食わないな、と思ったところがあって、少し描き加えようと色鉛筆の箱をあけたら、みどりがない。
みどりは俺の一番のお気に入りで、絵をかくときも(やっぱ田舎だからかな)その色が一番よく使う色だった。
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どこに落としたんだろう、ってちょっと考えて、すぐ思い当たった。
俺はバスの中で、真っ暗になるぎりぎりまで鉛筆をにぎっていた。
でそのまま寝ちゃって、バスを降りるときにやっと起こされたもんだから、鉛筆をポケットにつっこんで下りてきたんだ。
たぶん落としたとしたら、バスを降りる直前か、バス停だろう。
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ぶっちゃけ探しに行くのは明日でもいいっちゃよかったんだが、絵をすぐに描き直したいというのもあったし、親にバレたら怒られそうだったので、こっそり家を抜け出して拾いにいくことにした。
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俺の部屋は2階だったけど、屋根から雨どいをつたって簡単に下へ降りられる。
押入れからビーサンと懐中電灯をひっぱってきて、俺は真っ暗な夜の通りを歩き出した。
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いい子は寝る時間ってやつだったから、この時間に外を出歩くことはめったになくて、俺はちょっとわくわくしていた。
道沿いには気持ちばかりの街灯があるけど、本当に気持ちばかりって感じだし、家々の明かりもぽつぽつって具合で、懐中電灯がなかったら足元も危ういくらいだ。
それでも家からバス停まではそんなに遠くない。
10分か15分くらいで、何事もなく目的地に到着した。
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ちょっと探すと、みどりの色鉛筆はすぐに見つかった。
拾い上げたそれをちゃんとポケットにしまって、俺はすぐに元来た道を戻り始めた。
あんまりもたもたしてると、何の拍子で俺がいないことが親にバレるかわかんないしな。
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で、その帰り道、俺は興味深いものを見つけた。
バス停からちょっと行ったところに、村会館がある。
いつもはじいちゃんたちが縁側で碁をさしてるだけみたいなとこなんだけど、今日はその村会館の窓に、こんな時間にしちゃ珍しく明かりがついてた。
うちの村はだいたいの家が畑を持ってて、朝早くから作業に起きてくる人はめっちゃいるけど、逆に夜更かしするような人はほとんどいないんだよな。
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変だなーと思うじゃん?
窓際まで近寄って、聞き耳を立ててみたわけ。
そしたら案の定、誰かがしゃべってる声がする。
いるのは二人っぽかった。若い人たちだ。
俺はびっくりした。両方とも聞き覚えのある声で、しかもその組み合わせがめちゃくちゃ意外だったんだ。
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片方は戸森だった。
見た感じは20代後半くらい、変人で知られてるヤツで、外を歩いてるところをほとんど見たことがない。
というかそもそも村にいること自体も少ないらしい。色んなところを飛び回って働いてるって聞いたことがあるけど、実際なんの仕事をしているのかは誰も知らない。
でも役場にある役員の木札のところには、一番最後に戸森の名前がある。年寄り連中も「戸森さん」とさん付けで呼んでるし、よくわからんけどエラい人らしい。
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そんでもう一人は、うちの親戚の兄ちゃんだった。
二、三回くらい遊びに来たことがあるから覚えている。優しくて、よく弟の面倒をみてくれる、ちょっとマイペースだけどいい兄ちゃんだ。
なんでこんなところにいるんだろう。父さんも母さんも、兄ちゃんが来てるなんて一言も言ってなかったのに。
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「お兄さん、それはいつごろからなんだい」
戸森の口調はいつも芝居がかってるっていうか、ちょっと古臭い感じだ。
兄ちゃんはこんな胡散臭いやつに会うためだけに、わざわざここまで来たのか?
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「おとといからです……でももう来るんです! はやくなんとかしないと……!」
兄ちゃんはすげー焦ってる感じだった。
いつものんきな兄ちゃんがこんな露骨にうろたえてるのを、俺は初めて聞いた。
よほどやばいことが起きてるに違いない。でも来る? 何が?
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「お兄さん、落ち着いてくれ。あんたが俺を頼ったのは正解だよ。ここなら大丈夫」
兄ちゃんをなだめる戸森の様子は、なんだか手慣れた気配がした。
これはもしかしたら、今まで知らなかったすごいことに出くわすかもしれない。
俺は直観にしたがって、さらに耳をそばだてた。
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「でも、もう時間がないんです……12時にはもう、たぶんあいつが……」
「大丈夫だお兄さん。ここにはむしぶすまがある」
心臓が跳ね上がった。
むしぶすま!? いま戸森はそう言ったのか?
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「むし……?」
「見てもらった方が早い、行こう」
ガタガタと立ち上がる音がして、あわてて俺は植え込みの陰に隠れた。
会館の裏手、勝手口の方から誰かが出てくる。
コートみたいなものを羽織った戸森、その後ろに兄ちゃんがくっついて現れた。
兄ちゃんはしきりにあたりを見回している。本気で何かにビビってるみたいだった。
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それにしても、まさかこんなところでその名前を聞くことになるとは思わなかった。
驚きと好奇心で、俺は息をすることすら忘れていたと思う。
これはいよいよ面白いことになってきたぞ。
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二人はそのまま壁伝いに建物を回ってくると、俺の隠れている植え込みの目の前で立ち止まった。
もしかしてバレた?
どうやってごまかそうか考えようとしたが、どうやら関心が向いてるのはこっちじゃないらしい。
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そこには庭を掃除するための用具入れがあった。
会館の壁にくっつけるようにして取り付けられており、幅1メートル、奥行きは50センチくらい。用具入れというか、少し大きめの棚ってくらいの大きさだ。
扉には南京錠がひとつぶら下がっているが、特にそれ以上の特徴もない。
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いや。
あれ、今まで掃除用具入れって聞いていたけど……
思い返してみると、そこから誰かが何かを取り出すところを、俺は見たことがなかった。
戸森が南京錠になにか針のようなものを差し込む。
鍵が外れ、用具入れの扉がまるで内側から風にあおられたように、大きく開いた。
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俺は目をまるくした。
そこにはホウキもチリトリもない。というか、何かものを収納するための棚段、フックのたぐいすらも見当たらなかった。
ぽっかりと空いた空洞だけがあり、床があるべき場所にも床はなく、下の方からのびた梯子が少し見えていた。
そこは地下へと続く、なにかの入口だった。
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「こっちだ」
戸森は兄ちゃんをうながすと、梯子を伝って下へ降りていった。
あわてて兄ちゃんもそれに続く。
誰もいなくなり、静寂がおとずれた。
俺の心臓だけが早鐘みたいに鳴ってる。
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ここが「むしぶすま」なんだ。
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見つけたら近づくなとか、絵の手直しがしたいとか、家にいないことがバレたら怒られるとか、そんなどうでもいいことは頭からきれいさっぱり吹き飛んでた。
誰も知らない秘密に、俺が最初にたどり着いたんだ。
しかもその秘密にあの変人戸森と、親戚の兄ちゃんが関わってる。
ここで帰るなんてありえなかった。
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俺はおそるおそる物陰から這い出すと、入口の前に立った。
穴は奈落の底みたいにぽっかりと口を開けてる。
足音は聞こえず、先行した二人はすでにここからじゃわからない場所まで進んでいるみたいだった。
あんまり暗いので懐中電灯を点けようと思ったけど、すんでのところで思いとどまる。
これだけ暗いんだ、電気なんか点けたら二人にばれちまう。逆に隠れてこっそりついていくんなら、この暗さは好都合だった。
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底の見えない穴を降りていくのはかなり怖かったが、下の階までさほど時間はかからなかった。
そこは井戸の中みたいで、周囲をぐるりと石に囲まれていた。
一瞬二人がどこに消えたのかわからずビビったが、壁沿いに手をついていくと、すぐに感触の違う部分を見つけられた。
ドアノブを握って、そっと押し開く。
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薄暗い電球に照らされた、洞窟のような通路が続いている。
通路はところどころ枝分かれして、迷路みたいな造りに見えたが、電球は常に一本の道にしか吊るされていなかった。何かの罠じゃないなら、明るい道が正しい進行方向ということなんだろう。
足音をたてないようにゆっくりと進み、いくつかの分岐を過ぎると、少し開けた場所へ出た。
そこに戸森と兄ちゃんの姿もあるのを見つけ、俺はあわてて曲がり角に身をひそめると、遠目にその空間を観察した。
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そこは行き止まりで、ボロボロに色あせた鳥居が一つ建っていた。
鳥居の奥には木でできた格子状の壁がある。洞窟自体はもう少し奥まで続いているみたいで、格子より奥の様子はわからない。
というか、格子の奥が不自然に暗い。
手前の方、鳥居の近くまで電球は吊り下がってるのに、格子の中は黒いもやがかかってるみたいで、電球の光はそこでさえぎられていた。
暗がりを凝視しているとなんだか車に酔ったような気分になって、俺は目線をそらした。
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鳥居の正面に兄ちゃんが座り込んでいる。座ってる足元の土は少し盛り上がってて、周囲にはぐるりと囲むようにロープが置かれ、ちょうど小さな土俵っぽくなっていた。
その斜め後ろ、少し離れたところに戸森が立ち、何か小さな紙に文字を書きつけていた。
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「お兄さん、何か感じたらすぐに教えてくれ」
戸森の芝居がかったような口調はいつも通りだが、その声色は心なしか緊張しているみたいだった。
いったいこれからここで何が始まるんだ?
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兄ちゃんの肩がびくっと震えた。
「……来た」
その声を聞き、戸森の動きが止まる。
来た?
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一瞬遅れて、急に冷や汗がどっと噴き出してきた。
え? 何? なにこれ!?
何が起きているのかわからないまま、俺は後ずさった。
この嫌な感じはなんだ? 何が起きてるんだ!?
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その時、後ろの方で何かが聞こえた。
「…………ぁ…………ぃる…………」
怖気がして、俺はとっさに振り返った。
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通路の奥の方、来た道の曲がり角の向こうから、何かが来ている。
電球に照らされた影が伸び、大きくなって。
ひからびたみたいに細く長い腕が、一本、二本、三本、這うように地面をつかんだ。
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「!!!!????」
腰が抜けそうになりながら、俺は通路の反対側、鳥居がある方とは反対側の暗い道に転がり込んだ。
岩陰に隠れて、ぎゅっと目をつぶる。
人間じゃない。
化け物がいる!
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それは体を引きずるような音をたてながら、こちらへ近づいてきた。
高いのか低いのかよくわからない、気持ち悪い声で、うわごとみたいに何かを繰り返し続けている。
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あれの全身を、正体を見たいというわずかな欲求は、全身をなめまわすような恐怖の前に易々と折れた。あれが自分を見つけていないよう、俺は何かに祈ることしかできなかった。
それと同時に、兄ちゃんがこんな化け物に襲われていること、戸森がどうにかすると言っていたこと、そしてむしぶすまというこの場所?の意味、大量の疑問が頭の中のかろうじて正気を保っている部分を埋め尽くした。
ここで何が起きてるんだ?
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化け物は俺の隠れている岩陰を通り過ぎ、兄ちゃんのところへまっすぐに向かっているようだった。
勇気を振り絞って目を開けると、俺は顔を少しだけ出して向こうの様子をうかがい見た。
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何本も腕の生えたピンク色の肉の塊が、兄ちゃんに後ろから覆いかぶさろうとしていた。
直視した瞬間にひどい頭痛と吐き気がした。視線を切ろうとしたが、目が離せない。
あれは腕をのばして、兄ちゃんに触れようとしている。が、土俵の中には入れないのか、のばした手は空を掻くばかりだ。
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視界のはじで、戸森が動いた。
さっき何か書いていた小さな紙に、唾を吐きかける。そしてそれを掲げると、ライターを取り出して火をつけた。
紙が焦げて、煙がひとすじ立ち上る。
化け物がすごい勢いで上半身を動かし、戸森を見た。
いや、紙を見てるのか?
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「そいつの命はここだ!!!」
戸森はそう叫ぶと、紙を鳥居に向かって投げた。
紙はまるで意思を持っているかのように、まっすぐに鳥居の中へ、その向こうの格子へと吸い込まれていく。
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化け物が、さっきまでの遅さからは考えられない速度で動き出した。
猛然と腕を動かし、兄ちゃんを乗り越え、戸森の脇をすり抜け、紙を追って鳥居をくぐった。
直後。
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「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
shake
化け物の叫びが洞窟中にこだました。
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いつのまにか、鳥居の後ろにあったはずの格子が消え去っている。
そしてその奥に満ちていた暗闇が、化け物の腕に、体に、巻きつくように染み出してきていた。
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「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
shake
化け物は抵抗しているみたいだったが、しかしその全身はあっという間に黒いもやに巻かれ、奥へ奥へと引きずられていった。
次第に叫びが小さくなり、もやをかき回す腕が見えなくなる。
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気が付くと、あれの姿はもうどこにもなかった。
「…………」
俺は腰を抜かしたままその場にへたりこんでいた。
現実に頭が追い付いていなかった。
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戸森が兄ちゃんに歩み寄り、背中をたたく。
「お兄さん、大丈夫かい」
「……うぅ……」
うめき声を漏らしながらも、兄ちゃんは戸森の肩を借りてなんとか立ち上がった。
「もう大丈夫だ。あれはもう出てこられない。よく頑張ったな、お兄さん」
戸森はそう声をかけると、兄ちゃんと一緒に元来た道を戻っていった。
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一人取り残された俺は、まだ軽くぼーっとした頭で、さっきまでの出来事を思い返していた。
化け物が現れて、戸森が何かして、やつは鳥居の奥の暗闇にのまれていった。
何が何だかさっぱりだった。
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岩陰から出て、鳥居の方へよろめき歩く。
近くへ寄ると、鳥居の上の方に、何かお札のようなものが貼ってあるのに目が行った。
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何か字が書いてある。
達筆な漢字で書かれていて、小学生の俺にはなんとも判別がつかなかったが、「虫」という字がやたらたくさんあるのと、「間」らしきものが記されていることだけは、どうにか読み取れた。
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鳥居のすぐ前で、俺は立ち止まった。
格子はなくなったままで、黒い霧だけがもぞもぞとうごめいているようだ。
けど、俺にはその霧がそんなに悪いものじゃないように思えた。
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声が聞こえるような気がする。
誰かが呼んでいる。
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霧の中で、誰かの声が俺の名前を呼んでいる。
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細く、きれいな腕が、暗闇の中からのばされて。
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俺はその手を取ろうと
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「バカ野郎!!!!!」
shake
大声と同時に後ろから強引に引っ張られ、俺は背中から地面に投げ出された。
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「ガキ! てめえどこから入り込んだ!」
戸森だった。
見たことのない、鬼のような形相でこちらを睨みつけている。
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はっと我に返って、俺は鳥居の方を見た。
木の格子の向こうで、暗闇は静まり返っている。
無性に怖くなってきた。
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向こう側に行こうだなんて、俺はなんでそんなことを考えたんだ?
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「むしぶすまに生きた人間が入ったら終わりだ! クソ……ジジイどもめ、ちゃんと教育してねえのか……!?」
戸森は何かをぶつぶつとつぶやきながら、俺の腕をつかむと引きずるようにして歩き出した。
俺はもはや精根尽き果てて、されるがままになるしかなかった。
俺を呼んだ、その心地よく、凍えるように寒い声が、頭から離れなかった。
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今日のことは口外するな、とだけ言われて、俺は村会館の外へ放り出された。
「どうせ言っても信じてもらえないだろうがな」
戸森の言葉はその通りだった。
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翌日、俺は友達を連れて会館裏の用具入れに行ってみたが、カギはかかっておらず、中も普通の掃除用具しか入っていなかった。
まるで夢だったように、地下への入口は忽然と消えていた。
戸森の家にも向かったがやはり留守で、親戚の兄ちゃんについて両親に聞いてみても「そんな話は知らない」の一点張り。
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結局、あの夜の出来事について、何も確かなことは残っていない。
だが俺はそれ以来、大人のいうことを少し聞くようになった。
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「むしぶすま」には近づくな。
あれは親戚の兄ちゃんを救ったのかもしれない。
けどそれでも、俺はもう二度とあそこに近づく気はないし、探す気もない。
作者ヨグルティ
これは創作です。
あなたのところへ来ることはありません。
安心してください。