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中編3
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『その部屋の二人』

「バタン・・・ガタガタ・・・ゴトッ」 下のリビングで物音がした。

そのまま真っ直ぐ2階のこの部屋へ誰かがユックリユックリと上がってくる音が聞こえる。

僕は心臓がキュッと縮む思いがした・・・。・・・・家には僕1人のハズだ・・・・。

途端に怖くなり急いでクローゼットの中に逃げ込んだ。 その刹那・・・「ガチャ・・」

クローゼットの扉を閉めるのが少し遅れてしまった・・・ヤバイ・・・音がしない様に神経を集中し扉を閉める・・・。

「パチン・・パチン・・」

照明のボタンを押す音・・・。そして部屋が明るくなる・・・・・・ 『何で明かりを点けるんだ!!』

僕が居たときは点けっ放しのPCのスクリーンセイバーの明かりだけだった。 恐怖と見つかるまいとする気持ちでクローゼットの隅へと体を移動する・・・。

小さな隙間から奴が見える・・・こちらに背を向けて立っている・・・。

バクバクと心臓が悲鳴をあげ、思わず息が荒くなる・・・・。苦しいィィ・・・。

一瞬、奴の姿が視界から消え「ギィ・・」と椅子がきしむ音がして・・・・・「カタカタカタカタ・・・」 

奴はPCのキーボードを打ち始めた。

『何やってんだ!!早くいなくなれ!!』 僕は声を出さずに叫んだ・・・・・。

聞こえるハズないのに・・・奴の手が止まる・・・。不自然に辺りを見回しているようだ・・・。

ヤバイ・・・ここに居るのがバレた??・・・・怖い・・・怖いよぉ・・・

奴がつぶやく・・・「何の音だ?・・・ヤバイな・・・誰かいるみたいに感じる・・・見られてるような視線も感じるし・・・・」

それからどれ位時間が過ぎただろう・・・・。

今ではハッキリと奴はこちらを意識している・・・。そういう気配がありありと伝わって来た・・・・。

その時、ハッと気付いた。僕のカバン・・・ベッドの横に置いたままだった・・・・。奴もそれに気付いたんだ・・・当然、クローゼットの中に隠れている事も・・・。

 

怖い・・・・どうしよう・・・助けなんて呼べない・・・・。

「ガタッ」いきなり椅子から立ち上がる音・・・・。

僕は「ビクッッ」心臓が一瞬止まったかに覚えた・・・。

奴はユックリと部屋を出た・・・・・。出た途端に「ドドドドド・・・バタン!!」 勢いよく階段を駆け下り、玄関から飛び出していった。

『助かったぁ・・・』

僕は安堵して泣きそうになった・・・。しかし奴は一体何をしていたんだろう・・・・。

僕はPCの奴が書いた文章を読んだ・・・・

あるサイトに怪談話を書き込んでいたようだ・・・。奴のストーリーが進んで行く・・・・なかなか怖い・・・もしかしてこんな風に僕が殺されていたかも知れないと思うと今更ながら体が震える・・・。

しかし・・・途中から・・・・自分の現在の状況が書かれ始めていた・・・・

「・・・・・誰かの視線と息づかいを感じる・・・異様な気配も・・・それに見たこともないカバンが俺の部屋にある・・・怖くて中身見れない・・・

クローゼットの中に誰かいる・・・リアルに怖い・・・

・・・・俺は今日、1人で留守番のハズなのに・・・」

遠くでパトカーのサイレンが聞こえる・・・・

僕は護身用のナイフを握り締め・・・・『早く逃げなくちゃ・・・』

とボンヤリ思った・・・・。

怖い話投稿:ホラーテラー 最後の悪魔さん  

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