その日、俺は異様に疲れていた。
久々の残業で、いつもは夜の7時には家に着くのだが、その日は夜の11時に帰宅した。
シャワーを浴び、ビールを飲み、布団の中に入った。
俺のマンションは4階にあり、寝室には1箇所窓があって、そこは青いカーテンで閉められている。
俺は疲れていたこともあり、すぐに眠りについた。
しかし、ある物音で目が覚めた。
時計を見ると、時刻は深夜2時を回っていた。
カーテンでしきられた窓。
どうやら物音はそこあらのようだ。
「コツン、コツン」
最初、風か何かか?と思ったが、それは明らかに人間が「ノック」をする音に似ていた。
開けようと思ったが、自体の異常さに気づいた。
なぜならここは4階なのだ。
人間が4階の窓からノックなんて、不可能なのである。
俺はそうおもうと、背筋にサーッと寒気が走った。
俺はじっと音がやむのをまっていた。
音はいつまでもつづいた。
と、
音が鳴り出してから30分後くらいに、急に音がやみ、辺りが静寂に包まれた。
帰ったか・・・?とそのときなぜかそう思った。
ほっとした俺は、また寝ようと思い、目をつぶった
そのときだった。
「バァン!!バン!バン!!バァン!!」
さっきとは比べ物にならないくらいの轟音で、驚いて飛び起きた。
窓ガラスが割れそうな勢いである。
これだけうるさいのに、近所の人たちどころか、犬さえも起きない。
俺は明日も仕事があるのだ。こんなことで寝不足になっては困る。
俺は息を思い切り吸い込むと、一言怒鳴った。
「うるさい!!!!」
と同時に音がやんだ。
とたんに目の前が暗くなり、気づいたら朝になっていた。
時計を見る。
時刻は早朝の5時。
まだ寝れる・・・。
そう思ったとき、部屋の異変に気づいた。
窓が開いていたのだ。
カーテンは風でなびいている。
窓には無数の血の手形があった。
カギはちゃんとしめたはずだ・・・。窓を割られた形跡もない。
一体どうやって?
そんなことを考えているとまた部屋に異変があった。
部屋はところどころ散らかっており、俺の頭の近くの枕が鋭利なものでメッタ刺しにしたように、ぐしゃぐしゃになっていた。
そして・・・
俺は見てしまった。
俺の布団の後ろ側にある押入れ。
そこから、血のついた白いワンピースがはみ出しているのを・・・。
友人にかけようとしていた携帯電話を落とし、俺はへたり込んだ。
押入れの戸が・・・静かに開いた。
怖い話投稿:ホラーテラー 達人さん
作者怖話