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短編2
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ゆめをみたんだ

息子が妻に虐待されている。

というのは真下の部屋の田中さんに聞いたことなのだが。

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私は仕事の関係で一年の半分を海外で過ごす。

田中さんいわく、以前から決まって私のいない期間に、上(つまり私の部屋)から妻の罵声と子供の泣き声が毎日のように聞こえるらしい。

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思い当たる節があった。

5歳になる息子は怪我が絶えなかった。

私が帰るといつも体に痣をつくっていた。

なぜ気づけなかったのか。

鈍感な自分が腹立たしい。

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田中さんからの連絡を受け、事情を説明し予定より1日早く家に帰ってきた。

一気に階段を駆け上がる。

鍵を開ける。

中から物音は聞こえない。

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扉を開けると、息子が玄関に座っていた。

「パパ、おかえり!」

笑顔で抱きついてくる息子の顔には大きな痣があった。

気づいてやれなかったことに悔しさがこみ上げる。

涙で前が見えなくなった。

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「ごめんな…今まで気づいてやれなくて…ごめんな…」

息子はきょとんとして私を見る。

「…ママはどこだ?」

決着をつけるため、息子に問う。

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「ママはキッチンだよ。

それよりもきいてよ、パパ。

ぼく、きのうゆめをみたんだ。」

「うん?どんな夢をみたんだ?」

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「あのね、ママがぼくをこわいかおでみるんだ。

それから、おおきなあしでぼくをふみつけるの。

すごくいたくて、ぼくはがまんできなくて、ママをほうちょうでさすんだ。なんかいもさすんだ。

ぼくはママをころしちゃうんだ。」

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言葉が出なかった。

虐待とはこんなにも子供の心を毒してしまうのか。

「怖かったな。もう大丈夫なのか?」

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息子は不思議そうな顔をして答えた。

「だいじょうぶだよ!だって、」

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「 もう叶ったから。」

Concrete
コメント怖い
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怖いです!
私も見てましたけど会員になってませんでした。

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