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中編6
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忌み子(*コピペ)

つい先日、私は20歳の誕生日を迎えた。

故郷から程遠い大学に入った為一人暮らしをしている。

友達と騒ぎ倒し、飲み倒し、気付けば爆睡していた。着信に気づき目覚めると、窓から夕陽が差し込んでいた。

着信画面を見ると母からである。珍しいなと思いながらその電話に出た。

「はい」

「誕生日おめでとう。その声は寝てたな。まあ誕生日やしね…ということはメールも見てないやろ」

「メール? ごめん、見とらんわ。なんて?」

「次の土曜日に必ず帰省してほしいんよ。バイトがあっても休んで。交通費も出すし、とにかく重要な話がある。直接話さな」

「なにそれ? 気持ち悪い…分かった。土曜日て、明後日やん(笑)」

「うん、とにかく絶対帰ってね」

といって電話は切れた。

薄気味悪いと思ったが、明後日わかること。

メールを確認すれば、電話と内容は一緒でとにかく帰省しろとのことだった。

土曜日、私は実家の前に立っていた。

古い木造の母屋、小さい頃怖くて近寄れなかった蔵、手入れされた庭、そしてその庭の奥にある祠。

なにもかも懐かしく、そして久しぶりだった。

何度か帰省しようとは思ったが、両親の都合が悪く帰れなかったんだよな…。

そんなことを考えぼーと家を見上げていると、窓から小さい妹がひょっこり顔を出した。

「ねーちゃんおかえり! 待ってたんよ!!!」

ウサギ似の私とは違い鼻筋の通った地黒のオリエンタルビューティーな妹。

小さいころから体が弱く、様々な手術を乗り越えてきたが、つい2年前に脳梗塞を発症した。

後遺症は幸いなことに残らず、それを最後に健康なようだ。

昔から私に懐いてくれている可愛い妹。この2年間、ろくに電話もしていないことに気付く。

妹の声を聞いたのだろう、玄関が開き母が顔を出した。

「おかえり。元気そうやね。はよ入りまい」

そう促され、久しぶりの我が家に入る。

居間に荷物を置きスウェットに着替えて一息ついていると奥の座敷から父の声がした。

「◎◎、きなさい」

昔から厳格で寡黙だが優しい父。

妹と弟(クラブで不在)には甘いが、私にはすごく厳しかった。長女だからと自らを納得させていたが、なんとなく父に対してコンプレックスを抱いていた。

襖を開くと、土気色の顔をした両親が並んで正座していて、その前に座布団が敷いてあった。

座るように言われ、恐る恐るその座布団に座った。

少しの沈黙の後、父が口を開いた。

父「◎◎、おかえり。元気そうでなによりや。いきなり呼んですまなんだ。とにかく話がある。分かってくれ」

私「いいよ。話ってなに? それががいに(すごく)気になって寝れなんだ」

父「ん…そやな。お前もこの間二十歳になって成人したしな。話さなね。お前、覚えとるか? ☆☆(妹)が脳梗塞になった時お前になんかあったやろ」

私「え? ……なんもなかったけど…強いて言うなら第一志望やった大学が奇跡で推薦が決まったことかな?」

父「ん。せやな。じゃあ☆☆が耳の手術をしたときは? あんときお前は高二じゃ」

私「高二といったらインターハイが決まった…いや、秋やから国体やわ」

父「じゃあ、☆☆が幼稚園のとき事故にあって手術したやろ。そのときは?」

私「なに言いよるんや。話となにが関係あるんや。☆☆の不幸が私となんの関係が…」

父「あるんや!! 答え!!!!」

私「………覚えとらんわ。あん時わたしは四年生やったやろ」

父「お前はあん時読書感想文で全国大会に行ったんや」

私「……………」

父「気付いたか。そうや、お前の幸せは☆☆の不幸と比例しとる」

私「そんなん偶然やろ」

母「違うんよ。このノート見て」

古い汚れたノート。うっすら黄ばんでいる。

それを開くとびっしり小さい字で私の名前と妹の名前が書いてあった。

△月○日◎◎→習字コンクールで金賞

☆☆→頭を怪我5針縫合

てな感じ。正直薄気味悪かった。そのノートを見ると確かに父の言うことは納得できる。

それに、私が良いことがあり喜んでいると妹がなにかあり、「よいことがあれば悪いことが起こる」という方式を自分の中で作っていたことも思い出した。

父「お前はな、忌み子(いみご)なんや」

私「…いみごて、忌むに子でいいんかな」

父「そうや」

私「……………」

そのとき意味は分からなかったけどとにかくよくない意味というのは理解出来たし、未知の恐怖で涙が出てきた。

父「ほんまごめんな。悪いと思ってるけど我慢して聞いてくれ。…大丈夫か? すまんな」

私「……大丈夫。続けて」

父「この部落には池があるやろ。あれは昔はうちの祖先の池でな。今は維持とか無理やし県に寄贈したが。そこに石碑があるんや。その石碑ってのが人柱への感謝の石碑や」

父「あの池はなんか知らんけど、週に一人は男が足つかまれたとかゆうて溺れてな。近所の神主さんにきてもらって見てもらうと物の怪が棲んでたんや。女のな。その物の怪というのが当時のうちの祖先の当主の妾やった女と子供のなれの果てや。当主に捨てられ身ごもった子どもと怨みを抱きながら池に身を投げた。そんでそいつが悪さしよると。その物の怪は溺死した男達の怨みを糧にでかくなり、はよ鎮めな恐ろしいことになると言ったらしい」

父「そんでその鎮める手段は、当主を人柱にするということやった。しかしその当主はたいした臆病者で、自分の名前書いた人形をほりこんで人柱としたんや。石碑まで建ててな。そして2ヵ月ほどして当主の孫が産まれた。可愛い色白の女の子で、初めの忌み子や」

私「色白…」

私は地黒な両親から産まれたとは信じられないほど色が抜けるほど白い。その色白とあえて言った父の思惑が手に取るように分かった。

父「そうや。その子が産まれてから村は壊滅状態になり、祖先の家族は謎の疫病にかかり死んでった。これはアカンともう一度、神主をよび見てもろたらしい。したら、神主は激怒したあとこう言った。なんてことしたんや。忌み子により末代まで祟られるとな」

父「忌み子は何代かに一度産まれる。特徴は色白、女の子、泣きぼくろがあるらしい。産まれる日は必ず雨で、身内に多大なる健康的被害を与える。と書物にあった」

ふいに左目の下にあるホクロがうずく。

父「妾の子が女の子でな。泣きぼくろがあったらしい」

父「神主はすぐに当主を殺し、池に沈めることを勧めた。もちろんみんな追いつめられていたしこれに従った。そして妾とその子を祀った小さな祠を建てた」

私「それって…」

父「そうや。裏のな。そうしてなんとか被害は収まった。しかし、忌み子はずっと産まれ続けてきたんや。昔のように大勢の人間に被害を与えることはないが、その忌み子が嬉しいと感じた時、同性の姉妹が対になるように怪我するようになった」

父「それがお前と☆☆や」

妹への罪悪感。

なんで今更こんなことを言うのか。

アタマガイタイ

父曰わく、忌み「子」という言葉通り二十歳になれば忌み子ではなくなること。

しかし、妹には念のため近づかないでほしいこと。

私が帰省しようとした時に都合が悪いといったのも妹のためだったこと。

実際私が一人暮らしをしてから妹が怪我や病気ひとつしないこと。

小さいころ何度も私を殺してしまいそうになったが思い留まったこと。

そう一気に言われ、

「もう実家には帰らないでほしい」

と両親に泣かれた。

泣きたいのはこっちだよ。

頭がごちゃごちゃしてますが、ほんとのことです。まだ信じてませんけど。逃げるように故郷から帰りました。

父が厳しかったのも母がよそよそしかったのも納得できますがまだ信じられませんよ。当然ですが。

とにかく、家族を失いました。可愛い妹にはもう会えません。

あなたの兄弟は大丈夫ですか?

あの日から泣きぼくろがうずきます。

怖い話投稿:ホラーテラー ちきさん  

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色白の泣きボクロなんて最高なのに!
子供に継承されないといいですね

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