これは、私の実体験談です。
私はこれと言って霊感があるとは思わないし、あるわけはないと思っている。
しかし、不思議?な体験は数多くある。
小学校の頃、窓の向こうの中庭の木の下に、なんだか昔話の中に出てくるおばさんが立ってこちらをずっと見ていてチャイムと同時にいつの間にかいなくなったり、
バスで海水浴に行く途中で今まで絶対車酔いなどしたことがなかったのに、激しい車酔いをし、半日休んで遊んでたら大怪我をして救急車で運ばれて、あと1cmずれていたら死んでいたとか、
母の田舎でお盆に遊びに行ったとき、夜に山を見ていたらたくさんの火が一列に並んでうごいていたりしました。祖母は、「お前も見たのかい。あれは狐の嫁入りだよ。あれを見たというのは、60年ぶりに聞いたよ。隣にいても見えない人がほとんどだよ。」と言いました。
今思うと、小さい時から、第6感とかがあったり、絶対危機的状況にあっても不思議とほとんど影響はなく過ごしてきました。
そのまま大人になり、夏の夜になるとよく友人たちと肝試しドライブに行ったのですが、行きたくない時には、友人を説得して行きませんでした。
何も感じないときは、行ってたとえ見えても友人には言いませんでした。
ある時、有名な心霊スポットに行くことになり、凄く嫌な気持ちになったので中止をしようと言ったのですが、半ば強引に連れていかれました。
週発前に何故か祖父の遺品の紫水晶の数珠を持っていきたくなり、ポケットに入れて持っていきました。
出ると言う所では何もなかったのですが、帰り道の自動販売機が置いてある薄暗いパーキングエリアにショートカットの女の子が立っていました。
僕は反射的に無視しろと言ったのですが、急に車の調子がおかしくなりそこにUターンししました。
その頃はまだ携帯電話などなく、そこで電話をかけて助けてもらうしかなかったのです。
友人が興味本位記に女性に近づいて行こうとしたので、止めようとして私が車を降りると、女性はこちらを見たかと思うと雑木林の中に駆け込んで行きました。
友人が、待ってと追いかけましたが、すぐ真っ青なお顔をして帰ってきました。
「あそこは、人が入れるような所じゃない。」と言って半泣き顔でした。
急いで車に乗り込みキーを回すと、嘘のようにエンジンは快調で急いで帰りました。
家に帰り、まだ青い顔している友人に聞くと、全くの雑木林で人が通れる所など無いと言うのです。
みんな嘘だと思い、どうせ変態顔が来たので逃げたんだろうと大笑いして酒を飲みました。
後日、みんなで行って見ようという事になり、行ったのですが奴は来ませんでした。昼間に現地に到着してみてもほとんど車の往来は無く、時折トラックが通るくらいです。
駐車場に車を止めると、精悍な顔をした犬が1匹居ました。その場所に近づこうとすると唸り声をあげて威嚇してきます。仕方なく車に乗り込み窓越しにその場所を見ると確かに人が通れそうな所ではありませんでした。
それから暫くして私にも彼女が出来ました。凄く可愛い子でよく私に尽くしてくれました。
ある日その子が「私はあなたに逢うべくして逢いました。あなたと一緒にいると悪い霊が近づいてきません。あなたの後ろには、白いお狐様がついておいでです。そのお狐様は、もの凄いお力を持っていて、並大抵の神様など足元にも及びません。ですのでお願いします。御傍においてください。」
私は、訳の分からん事を言っていると思いました。
彼女は、「昔に女性の霊を見ませんでしたか?あれは、はぐれた神のなりのはてです。あなたの姿を見て逃げたはずです。そのあとその場所に行ったときお狐様はそれを制止したはずです。」と言いました。
確かにあの事件だと思いました。
彼女が言うには、彼女家の長女は代々古代の巫女の宿る家系で田舎では悪霊払いとか祈祷をやる一族で霊感があるとの事です。
「その大神様が後ろに控えるあなたに師事させてください。ご先祖様があなたに巡り合うようにしてくれたおかげです。今度は生涯かけて尽くしますのでよろしくお願いします。
「今度?」なになになに?今度は?
「前世では、私の不注意であなた様の命を奪ったのです。あなたは大神様に願い私の命だけはとお救い下さいました。ぜひ今世ではお守りします。」と言いました。
頭の中は沸騰しました。
彼女と九州一周旅行に行った時です。宗像大社に行くとそれまで晴天だったのが急に小雨になりました。彼女は神様が喜ばれています。私によくぞ連れて来られた感謝すると言っていますと飄々と語りかけました。
別府に宿を取っているので、途中で宇佐神宮に寄ることにしました。もしそれが本当ならば同じ事が起こるはずという期待もあったからです。
宇佐神社の駐車場に車を止めて歩き出すと今度は急な突風が吹きました。
彼女は「歓迎されてますよ。ここまで神様に歓迎される人はいません。」「今まではどうでしたか?」
確かに小学校の時の修学旅行の奈良・京都は前日雨。中学校の時の修学旅行は季節外れの豪雨だし。林間学校の時は神社に雷が落ちるし散々だった。
二人きりの旅行の最悪は高千穂峡に行った時は、前日から大雨。せっかく二人であの美しい中を過ごしたかったのに。
歓迎するなら穏やかな日にしろと思った。
九州から帰って半年後、弟が交通事故で亡くなりました。
私たちが結納を控えた1週間前です。夜中に弟がドライブに行くからキーを貸せと言ってきたので、彼女に渡すように言いました。
それが最後になりました。
朝5時ごろ電話がけたたましく鳴りました。
病院からです。弟が意識不明で運ばれてきたと。
彼女の車で病院に行く間中「御免なさい。私が浮かれていたばかりに気が付かなくて。本当に御免なさい。」と泣いていました。
病院に着くと静かな廊下になにか物影が見えました。
彼女は「荼枳尼天様です。あなたの大神様の使者です。」「彼は一生のやさしさを使い果たしたので貴方の大神様の辰狐王菩薩様の下に召されるそうです。」と言いました。
葬儀も無事終わり、若い者の死でしたので参列者も少ないと思ったのですが、葬儀会社が言うには、これほどの花輪や弔電は普通考えられない。有名人クラスです。お人柄が伺われます。」と言っていました。
彼女とは、罪を感じたのか疎遠になって行きました。
それから、家で異変が相次ぎました。誰も居ない2階で人が歩いているような音がしたり、弟部屋で話し声がしたり、行っても誰も居ませんでした。
親が霊能力者や修験者などにお願いしましたが、解決しません。
ある日彼女が家に来ました。親は喜んで家に上げました。彼女は「枕元にあなたの大神様が現れ、あなたの弟はこの世に未練があり私の下に来ない。二人で遺品を持ってお山に来なさい。そうすれば清浄なる魂は菩薩業へ導ける。」と告げられたというのです。
私は、「お山ってどこ?」と聞くと「京都は伏見稲荷大社です。あなた方のご先祖様が暮らしていた地です。」
私は「何で家の先祖の事を知ってるんだ?」「大神様のお告げです。あなたの名前の地名も残っています。」
早速、休みを取り京都へ彼女と向かった。
参道を進み本殿に着き参拝を済ませると、彼女が「何も起きなかったでしょ。今度は御伊勢様に行けですって。」という。
宿を取っているのにと思ったが仕方がない。宿をキャンセルし次の宿を予約しようとしたら彼女が「宿はとらないほうがいい。今日中に伊勢に行ってそれから橋本まで行って明日は高野山に行くことになるだろうから。」と言いました。全く不思議な女です。
ここでも何も起こりませんでした。
早速、宿を探し行くことにしました。強行軍です。
夜遅く橋本に着いたのですが、ホテルの方は優しく迎え入れてくれました。
翌朝、山に登り奥の院を目指します。
いつ来ても、空気が張り詰め静寂な世界です。外国人観光客も大勢いますが張り詰めた空気は変わりません。弘法大師に弟の成仏を祈願し奥の院を後にしました。
彼女に「何でいろいろ巡ったの?」と聞くと、彼女は「私たちが、伏見で遺品に弟さんを乗り移らせ、伊勢で清められ、ここで弘法大師様にお預けして向うに連れて行ってもらったの。これで大丈夫だよ。」と言ってニコッとしました。
それ以来何事もなく平和に時が過ぎ私達は結婚し長女が生まれました。
彼女は、長女が生まれてからその能力が無くなったそうです。
あの時、家に帰ってからすぐ大神様が夢枕に立って、「前世での修行が凄いのですぐ生まれ変わって私たちを幸せにしてくれるとおっしゃたのよ。そして妊娠したの。」
長女が3歳になったばかりの頃、子供にはお腹に居る時の記憶があるとTVでやっていたので、妻の通訳付きで長女に聞きました。
長女は、「暗いお水の中でパパがよしよししてくれたの」
「パパがお茶を飲んで、イタイイタイになってママに助けてもらったの。」「ママがこの馬鹿が」と言ってたよ。
確かにしたたかに酒を飲んで田んぼに落ちて血まみれになって迎えに来てもらった事があった。
「ママが病気になってパパが朝まで一緒にいてくれたの。」「ママがありがとうっていってたよ。」
それからもっと前の記憶はないのかと思い娘に聞きました。
「その前は、パパはお兄ちゃんだったの。」「お兄ちゃんが大好きだからお兄ちゃんの所へ行きたいと言うと、コンコンさんが行ってきなさいと言ったの。」
妻と顔を見合わせ「生まれ変わり!」と言ってこの後は言葉が出ませんでした。
妻が、「自分と同じ能力を持つといけないので、ご先祖様にお願いに行かなくちゃ」と言って、嫁の里に帰省することにしました。
妻の実家に行くと義母がとても驚いた様でした。生まれてすぐにしか会ってなかったのですが、娘に手を合わせて涙を流しています。
「この子は凄い!生き神様じゃ。」
そこで娘が「そこの大勢のおじいちゃんとおばあちゃんが私にアンアンしてるよ。」と言いました。私も妻も何も見えません。義母が「良い子だからご先祖様がお参りに来てるんだよ。」
と言って頭を撫ぜました。その時、誰も居ないはずの仏間からチーンという音が鳴り響きました。
それから幾年か経ち、どこで聞いたのか色々な人が訪ねて来ます。娘がその家に行くだけでそれからは何も起きないみたいです。
どんな霊媒師や神職や行者が加持祈祷を行っても何も変わらない所でもそうなるらしいです。
数年病んだ奥さんに取り付いた往生際の悪い奴を閻魔様が優しく見える様にしようかと言っただけで普通の人に戻ったそうです。
娘自体が結界を作るのでしょうか。
学生の頃は小遣い欲しさにどこにでも出かけて行きました。
一度、座敷童の出る宿に友達と行ったのですが、煩くて眠れないので二度と行かんと言ってました。
祖父の遺品の紫水晶は彼女のネックレスとブレスレットに形を変えて健在です。
今でも娘は普通に何でも見えるそうです。
娘は今オーストライアで独り暮らしです。
早く孫が見たいもんです。
もし本当に神様がいるのなら聞き届けて欲しいものです。
作者釣瓶落とし
嫁一族と私の摩訶不思議な実話