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中編3
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愛犬と5歳の息子

 我が家には、愛犬であるミニチュワダックスフンドの「フル」がいる、フルが我が家にやって来て5年、生まれて1ケ月ぐらいで来たので二男の友規とほぼ同じ年であり、友規とは兄弟のように仲良く暮らしている。

私の家は5LDKで、その中の1つの部屋が私の寝室である。妻とは室内の適正温度差があまりにも違うので、寝室が別である。決して夫婦仲が悪いわけではなく、まして私の浮気が激しくて別部屋になったわけでもない。私の寝室は洋箪笥、和箪笥が並べられそのほとんどが洋服置き場と私のベットで構成されている、ベットはQUEENサイズと広く大人なら3人は楽に寝られるサイズである。

 ある土曜日の夜、あまりにも寒そうなのでフルを私の寝室に連れてきた、フルのお気に入り寝具をベットの脇に置き、フルをその上に寝かせたが、フルは妙に落ち着かない。様子を見ていると部屋の天井左隅を見て「グルゥ-」と聞いた事もないような声で唸っている。

普段はおとなしく、ほとんど吠えることもなく、まして威嚇するように唸ることもない。「フル、どうしたの?」と声をかけても天井左隅を見上げているだけ、時に唸ったり時にじっと天井を見つめて微動だにしない状況である。なんとも不思議で落ち着かないため、フルの寝具をリビングに戻し、フルもリビングに移動させた。寝室に戻り天井を見上げてみても特に変わった様子はない。何だったのだろうと思いながらもその日はそのまま熟睡した。

 友規の大きな笑い声とベットの揺れ、布団にもぞもぞと友規が入り込む感覚で目を覚ました、休日恒例の起こされ方である。仕方がないのでベットでしばらくじゃれあってから、昨晩の事を思い出し友規に「フル何してる?」と確認すると、「そこにいるよ」と友規が寝室の入り口を指さした。なんとフルは寝室入口で相変わらず天井の隅を見つめている。それを確認した私は友規に、「フル昨日から天井ばかり見てるんだよ、フル変だよね」とあらためての顔を見ながら話をすると、友規は「フルはお姉さん見てるんだよ、ほらあそこにいるじゃん」と天井左隅を指さした。

しかし、私には何も見えない…まして、女性の姿など…どこにも見えないのである。

 どうせ友規の適当な作り話だと思い妻にその話をすると、友規はパパの部屋には朝しか行かないでしょ、夜は絶対行かないのよ、ご飯出来たよって呼びに行くのも嫌だって、どうしてかって私も理由を聞いたら、夜はパパの部屋に行くと、お姉さんが凄い顔して睨むから嫌だって言うのよ、「本当に何かいるんじゃないの?」と妻にまで真顔で言われた。そんなことがあってからは、毎晩自分の寝室で寝るのがとても怖いばかりか、さらに友規にそのお姉さんの話を聞くことすらできなくなった。塩とお酒で清めてはみたものの5歳の息子とフルには、お姉さんが見え続けているのだろう。

 今でも時々フルが一点を見つめて唸る時がある、それも今度はリビングで…友規にお姉さんがここにいるのか聞きたい気分もするが、知らん顔する以外に手はない。

友規曰く、朝のお姉さんと夜のお姉さんは違うらしい。それにいないときもあるらしい。妻には「生霊じゃないの~」とまで、言われているが、決して私には思い当たる事などない。

Concrete
コメント怖い
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@夜行列車 ありがとうございます。夜行列車さんの作品読んで、影響され私も書いてみました!

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見える人の体験談は違いますね。。。
怖い思いしている人には申し訳ないですが凄く面白いです!!
(´艸`)

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@riri 動物は人間が見えないものも見えるんでしょうね、見たくないものも沢山あります。
読んでいただきありがとうございます。

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私は猫と暮らしています、猫も何か見えるのでしょうか?
時々、壁に向かって…
お話を読んで、猫の行動がとても気になるようになりました。

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