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20歳の時は本当に一年だけ、がっつりと霊障に襲われていました。
金縛りに初めてあったのも20歳になってから。
なんかいるなって感じたり、夢か現実かわからないけど、金縛りにあいながら自分のコートが揺れているのが見えたりとか。
幽体離脱をしたのもこの時でした。
ふと目覚めたら見たことあるような景色で、よく見ると寝てる自分と、当時飼っていた猫が見えたときに、「抜けてる!!!」って咄嗟に気が付きました。
必死に泳ぐように自分の体に戻りましたが、後にも先にも幽体離脱はその時だけですね。
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そんな時期に田舎の友人に誘われて、沖縄旅行に行った時のお話です。
楽しかったかといえば、「ある出来事」以外は今は記憶に残らないほどだったから、あまり面白くなかったんでしょうね。
ちょっと足を延ばして、久米島に行こうということになりましたが、そこでも楽しみは期待してなかったです。
気乗りしなかったんですね。その旅行自体に・・・。
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環境としては良いところではあります。
空気もいいし、自然は豊富だし、天候も夏前の時期だったから暑すぎもせず。
ありがちな体験ダイビングもしましたが、どうも面白さは感じられなかったんです。
友人ははまったみたいで、翌日も行くって言ってたので、私は釣竿を民宿から借りて釣りをしてました。
翌日は帰る日だったので、旅館がやってる居酒屋で二人膝を交えて飲もうということになり、夕方からかなり遅い時間まで飲んでました。
居酒屋の大将(民宿の大将でもある)が、ビールと泡盛とおつまみを用意してくれて、「遅いからあとは部屋で飲んでよ!」って閉店を促されました。
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部屋には布団が敷いてあり、飲みなおそうと思ってたら、友人はもう大の字になってました。
私は一人で飲みながら話しかけてましたが、友人はすぐにもう反応はしません。
1人飲みもつまらないので私も寝なきゃなって布団に横になりました・・・。
本当に横になってすぐなんです・・・。
耳元に糸をビン!って張ったような音が聞こえたと思ったら、突然金縛りになってしまいました。
今まで起きていたのに、意識がしっかりした状態で金縛りにあったのは初めてでした。
同時に今まで感じたことのないような恐怖心に襲われました。
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民宿の部屋は1階で窓の向こうは砂浜です。
その窓側にはっきり感じる気配。
感じるとかではなく、はっきりと息遣いが聞こえるんです。
はぁ・・・ はぁ・・・
ズルっ… ズルっ・・・
いつ部屋に現れたのかわからないけど、這いながらこっちに向かってきてるのがわかるんです。
もう恐怖心はマックスです!
怖くて目は開けられません。
でも近づいてくるその存在。
人は追いつめられると、この状況を打破しようと考えるんですね!
南無阿弥陀仏や、南無妙法蓮華経と念仏を唱えましたが、一向に消えることはありません。
その存在は激しい息遣いで、私の周りをズルズル這っています。
はぁ・・・ はぁ・・・
ズルっ… ズルっ・・・
息遣いが仰向けの私の左側を足元に向かってる時に、なぜだか見てみようと思ったんです。
恐怖心はマックスなのに。
息遣いが胸から腰に向かってたから、顔を見なくていいと感じたからでしょうね。
横目でみた「それ」は黒くて濡れていました。
その黒いのが髪なのか肉体なのかはわかりません。
ただ間違いなく「それ」は存在してるなだなって・・・。
つけ刃の念仏が無理なら行動で状況を打破するしかありません。
なぜか咄嗟に体の一部のどこかに、意識を集中して金縛りを解かなくてはって思ったんです・・・。
本能なんでしょうね。
自分の中では右手の薬指と小指、そこに意識が集中出来たのです。
今でも金縛りを解くときは、同じ方法で解いています。
一心に左の薬指に意識と力をためて、ふっと動いた瞬間に・・・金縛りが解けました。
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それはもう部屋にはおらず、友人を叩き起こしましたが、信用をしてはもらえません。
酔って寝てましたし、ありがちな「夢でも見たんだろ!」で片づけられました。
視たことない人、経験したことない人には、こういった話はしても無駄だなって教訓になりました。
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歳を重ねて今思うことなんですが、あの苦しそうな霊体は、戦死した方なのかなって思ってます。
はっきりと表情を見たわけでもなく、真っ黒な物体と激しい息遣いしかわからないのですが、なぜだかそう思うこの頃です。
作者un un
生まれて初めての、霊体は間違いなく存在するっていう出来事でした。
それから帰京してもしばらく金縛りなどはありましたが、なってもすぐに溶けるようになってから、見たり障害を受けることはなくなりました。
でも最近、若干戻りつつあるんですよね。
歳も重ねたしもうアリかなって思ってます。