中編3
  • 表示切替
  • 使い方

ずっと友達?

OLのAさんの話。

彼女は中学生の頃、友人が多かった。

いわゆるクラスの人気者である。

一人っ子であり、また人懐こい性格であったため、積極的にクラスメイトと交流していたからだ。

nextpage

そんなAさんの友人の一人にT子という人物がいた。

彼女は2年生の時に仲良くなった子で、文学少女だった。

特にクラスで目立つタイプの子でなかったが、笑う時の屈託ない笑顔にAさんはいつも癒されていた。

nextpage

二人は休み時間によく話しをしていた。

Aさんの周りには常に2〜3人のクラスメイトがおり、T子はそこに入ってくる形で会話楽しんでいた。

また、T子は文学好きということもあり、とても話の上手い子で、普段は口数が少ないが、この時はよく喋り皆聞き入っていた。

nextpage

そんな中学2年生の夏に、Aさんの学年で林間学校に行くことになった。

グループ分けでは、幸運なことにAさんとT子は同グループになり、二人とも大変喜んでいた。

nextpage

迎えた林間学校では、日中はバーベキューや自然散策、夜はキャンプファイヤーととても充実したものだった。

生徒は大いに盛り上がり、最後は星空を見上げながら、それぞれの部屋へと戻っていった。

nextpage

Aさんは相部屋の同級生達と興奮冷めやらず、消灯まで会話に没頭した。

T子も笑みを浮かべており、とても楽しそうであった。

最後に「私達いつまでもずっと友達だよ。」と友情を確かめ合い、床についた。

nextpage

Aさんが目を覚ましたのは、午前3時頃だった。

トイレが近くなり、我慢できなくなったからだ。

宿の中はすっかり消灯しており、先生が巡回するために開け放ったドアからは、非常灯の明かりだけが光っていた。

「トイレ怖いな。」とAさんは中々動けなかった。

nextpage

トイレに行けず、しばらく布団でもぞもぞしていると、部屋の左端から音がした。

どうやらT子の寝言のようだ。

nextpage

それは笑い声だった。

とても楽しそうであった。

「よっぽど楽しかったんだな。」とぼんやりT子の方を見ていると、T子が喋った。

「Aちゃんまだ死なないの?」

「えっ?」と固まっていると、

「なんで死なないの?早く死んでよ。」

「手伝おうか?」

「早く死になさいよ。」

T子は声色を変えながら寝言を続けた。

nextpage

shake

「嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い」とT子はトーンを上げて、

「A嫌いなんだよー!」と金切り声を上げると、暫く静まり返った。

nextpage

Aさんは呆然とし、波打つ心臓を抑えていると、T子が

shake

「やっと死んだんだぁ〜。」と嬉しそうな声を上げ、部屋に静寂がもどった。

その後はT子の寝言も無く、Aさんはトイレも忘れ、半泣きで明け方まで布団にくるまっていた。

nextpage

翌朝、朝食で浮かない顔をしていると、T子がAさんに話しかけてきた。

「顔色悪いよ?大丈夫?」

「ううん、大丈夫!」

Aさんは言葉に詰まったが、思い切って

「T子ちゃん、昨日さどんな夢見てたの?」

と尋ねた。

nextpage

T子は少し考え、「よく覚えてないよ」と笑った。

Aさんが「私達友達だよね?」と尋ねると、

「どうしたのAちゃん?変なこと言って」と涼しそうに笑った。

その時Aさんが見たT子の目は、血走っていて無機質だった。

そういえば今までずっとそうだった気がする。

nextpage

それからはT子とは距離を置くようになった。

過去に物が無くなったり、給食に変なものが入っていたり等理不尽なことの多くが、T子と仲良くなってからだと気づいたこともある。

だが決定的だったのは、クラスメイトが持ってきたT子の忘れ物のノートだった。

それはT子が書いた小説だったのだが、内容が恐ろしかった。

nextpage

ノートには、最初の見開きに大きく「Aの末路」と書かれており、中身は残虐な方法でAさんを殺害する内容だった。

そしてノートの終わり数ページには、Aを精神的に追い詰めて退学に追い込む緻密な計画が書かれていた。

nextpage

高校進学を機に、二人は違う高校に通うことになった。

その後T子と同じ学校に行った元同級生から話を聞いてまたゾッとした。

nextpage

T子は進学先で何かにつけてAさんの悪口をとても嬉しそうに口にしているという。

話によれば、T子はAさんの人気ぶりにひどく嫉妬していたそうである。T子は進学先で「Aを本当に○すところだった」と真顔で語っていたようだ。

しかも、その学校でもまたクラスの人気者に近づいているという。

nextpage

Aさんは「人間行動で見なきゃだめね。怖い人っているから。」と話していた。

Normal
コメント怖い
0
8
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ