中編3
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続)個室トイレの住人…

初めに…、

 前回の投稿が中途半端に終わってしまったこと、申し訳ありません。続きを書いたのでもしよろしければ読んでやって下さい。

また、誤字脱字、読みにくい文章ご容赦下されば幸いです。

::続)個室トイレの住人::

前回のあらすじ

私が以前勤めていた病院で起こった不思議な出来事。患者のMさんは1ヶ月程前からこの病院に入院していた。

Mさんは肝臓に軽い疾病を抱えていた以外は極めて健康な70歳位の男性。

毎週火曜の夜になると病院の個室トイレに籠っては、夜明まで独り言を繰り返す、謎めいた人。

だが、ある火曜日の夜に、実際その行動をしていたのはMさんではないと私達は知った……

得体の知れない第三者の存在に言い知れぬ恐怖を憶える私達……

………看護師は私の隣で、個室トイレのドアを凝視したまま震えていた。

私は、その個室トイレの中に居る何者かに問いかけます。

私 「一体、君は何者なんだっ!?」

個室トイレの中から返事はありませんでした。

私も、私を呼びに来た看護師も、もう恐怖の限界でした。

私は、できる限り冷静を装い看護師に言います。

私 「…もうここはいい、それよりも早くMさんの病室へ行こう。」

そして、私達が足早にその誰かが居る個室トイレを去ろうと、トイレのドアに背を向けた時、

今まで小声でブツブツと何か言っていたその誰かが急に大きな声を出してこう言ったのです。

[……モウスグクル、ツレサルトキガモウスグ、アサニナレバ、アイツヲコロストキガ、ヤッテクル……]

それは、Mさんの声などではなく、まるで地の底から聞こえるかの様に低く、そして、感情の無い声でした…。

『これ以上関わらない方がいい。』

そう思った私は、その恐怖のあまり放心状態になった看護師の手を引きながらMさんの病室へと急ぎました。

私達がMさんの病室へ向かう途中、

……ガラガラガラ………

他の当直医や看護師に付き添われ、Mさんを乗せたベットがやって来ました。

医者A 「一体何をしてたんだ?!あなたの患者だろっ!!もっと主治医としての責任を持て!」

私 「すみません。…それで、心肺停止と聞いたのですが………」

医者A 「DC(電気ショック)でなんとかそれは乗りきった。だが、まだ予断を許さない状況に代わりはない。」

付添い

看護師 「A先生、またMさんの脈が乱れ出しました。呼吸も乱れてます、早くER(緊急治療室)へ!」

医者A 「これで状況が分かったろ?これ以上立ち話をしてる暇はない!一緒に来い、すぐにオペを開始するぞ!!」

MさんはERに着くなり手術台の上に移され、オペが始まりました。

オペは思った以上に難航しました。

Mさんは、心肺停止からは回復し、脈も安定。にも関わらず、依然呼吸だけが自力でままならない状態。

酸素マスクで何とか呼吸をしているだけでした。

医者A 「呼吸噐系やその他神経に何か疾病は?!」

私 「昼の回診の段階では何も報告されていません!!」

医者A 「一体どうなってる?!」

私とA医師は必死にMさんの呼吸障害の原因を探りました。

……と、突然Mさんが手術台の上で手足をバタつかせ、息も絶え絶えに、叫びました。

Mさん「やめ……ッ。やめろ!どうして、…………私を…………選んだ……?!」

まるで誰かに問いかけるように………

……ピ−−−

Mさんの心臓が完全に停止しました。

午前6時13分。

Mさんは亡くなりました。

私は、言葉が出ませんでした。

それはA先生も同じでした。

私は、呆然と、まだ手術台の上にあるMさんの亡骸をただ見つめていました………

そして、Mさんの手の辺りが視界に入ったとき、

『何かを手に握ってる…』

私は失礼な事とは思いつつも、あの個室トイレを後にする時に聞いたあの声のことを思いだし、いてもたってもいられなくなり、Mさんの握り締められた指を一本ずつ、丁重に開いていきました。

私がMさんの手を開ききって、Mさんの手の中にあったそれが見えた瞬間、その場に居た全員が青ざめました……

…………Mさんが握り締めていたのは御守りでした…………あちこちに鋭い刃物で切り裂いた様な傷があり、御守りの中の型代の様なものが真っ二つに割れた…………………。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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