『僕達親友だよね!ミユキ!』
そう言って笑ったのはいつだっただろうか
ミユキ、小さい頃は小さくて泣き虫だったなぁ
一緒にに空き地で遊んだっけ…
僕は今…今何をしていたんだっけ…
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『は?こいつよっわ!男なんじゃないのー?』
『リンって女の癖に僕とか言って男とか言ってきしょいわー
ミユキもそう思うよね?』
そう言う女達の声
「そ、そうだね……あはwリンマジキモw」
ミユキもそう言って笑った
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あぁ…ミユキがそういうならそうなのかな…
だめだ体中がいたいもう……
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『おいリン!トイレで寝るんじゃないよ』
そんな声が聞こえて僕は目を覚ました
「………先生…?」
『お前はいつも本当に…』
「知ってる癖に…」
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『え?』
「いえなんでもありません。すみません…。」
『反省してるならいいんだけどなぁ…』
知ってる癖に僕がいじめられてること知ってる癖に
そんなもんか…僕だってそうするかもしれない…
でも…
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ミユキだけは…違うと思ってた
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ガラッ
『うわ…帰ってきたよあいつ』
『いつまでトイレ言ってたんだよおせーじゃーんwww』
彼女たちはいつものように笑う
「ちょっとwやめてあげなよwww」
ミユキまでもがそう言って笑っていた
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『おーい!次体育だぞ!早めに着替えろよー』
『うわやべ、早く着替えよーぜ』
はやく着替えようはやく着替えてココから抜けだそう…
そうすれば辛くない…
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『おい…え?何リンここで着替えるわけ?』
「え?……」
『男なんでしょー?でてってくんない?キモいからw』
そう言って彼女たちは笑う
「じゃあトイレで着替えるからいいよ…」
『は?男なんだから男子更衣室だろ?』
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グイッ!
「ちょっっ!?」
『大丈夫私たちが連れってあげる』
そうわらって僕を引きずる彼女たちの手はとても冷たかった
その中で一際暖かい手が僕を引きずった
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「ミ…ユキ?」
彼女は僕の呼びかけには応じなかった
ただ険しい顔をして僕を引きずった
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ドンっ!
『はい!男子更衣室!』
「まっ!僕の下着返して!」
『そんなのいらないでしょ? ブラジャーなんて男はしないよ?』
『じゃーねー』
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バタン!
扉が閉まるその一瞬の隙間から彼女たちの顔とミユキの顔が見えた
ミユキは微笑んでいた気がした…
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『リン?』
更衣室のなかの彼らは大層戸惑っていた
そりゃそうだよな…こんな上半身裸で…
外では彼女たちの笑い声がする…今出たらきっとまた…
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「ごめんだけど…着替えさせてな…」
泣きそうだった何でかはわからないただきつかった
しんどかった歯を食いしばった
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ふいに腕を後ろから掴まれた
妙な熱気が僕の背後に迫ってきた
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「……なに?」
とっさに振り返って僕は言った
彼ら全員が僕を見ていた
少しずつ近寄って来て
無言で彼らは僕の身体を触った
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僕は今どう見られているんだろう
僕は…
「僕…男だよ…僕は男だ…」
そう自分に言い聞かせる様に僕は呟いた
いや違う本当はそう言いたいんじゃない
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自分の鼓動が聞こえる何を恐れているんだろう
僕は人間だ…頭でそう叫んでいても…
「僕は男だ!!!やめて!!」
口ではそう叫んでいた、その瞬間に何本もの彼らの手が僕の口を塞ぐ
そして彼らは言った
『お前は女だ』
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僕の体中をはう手の感覚がだんだん無くなって
視界がにじんてただ内蔵をえぐられるような内部の感覚だけが
僕の体に心に傷をつけていく
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ねぇ神様僕になんで男になれるかもなんて
夢を見させたんだよ…僕は何にもなれない…
僕は今…もはや誰でもない
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みんな僕が誰だっていい…女ならだれでも
僕は今何にもなれなかった…ごめんなさい…
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気がつけば周りに彼らも僕の体をまさぐる手もなくて
アザだらけの僕と僕のことを覗きこむ……誰?
「ミユキ?」
痛む身体をおこしながら僕は呟く
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「リン…リンのことを私が好きじゃなかったらこんなに苦しまないのに!」
そう言ってミユキは叫んだ
「私だっ…ていじめたいわけじゃ……
リンが普通の女の子ならこんなことにならかなった!!そうでしょ!!」
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そう言われて僕はなんとも言えない感情が湧き上がった
毒のような…黒い感情が…
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僕は僕のきずかないうちにミユキの頭をつかんだ
おどろくミユキをよそに僕はミユキの頭についていたヘアピンをとり
それでも何度も自分の腕を刺した
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「いやぁぁぁあぁああぁあぁぁぁぁぁぁああああああああああああ」
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ミユキの叫び声が教室内に響く
僕はその傷口をミユキに見せると
「僕は人間だ!女じゃない!男でもない
お前だってそうだ!お前の中身だってただの肉だ!」
何が言いたいんだろう…言ってることが無茶苦茶だ
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分かっている…ただ人間として愛して欲しかった
ミユキが全部悪いわけじゃないのに僕は彼女に感情の全てをぶつけてしまった
「お前のせいだ!」
そういいながらヘアピンで僕は首を刺した
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ミユキは過呼吸でどこか違う場所をみていた
ミユキも僕も普通じゃない状態だった
ミユキの首をつかんだいっそ殺してやろうと思った
でもその時
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『私たち親友だよ!リン!』
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小さい頃のミユキの声
小さい頃のミユキはすごく小さくて泣き虫で…
殺せない…僕には殺せない
だって今もあの頃の君が僕の中の正義だから…
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そっとミユキの首を握る手を離した…
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リンは私のヘヤピンで自分の首をさすと
私の首を握りしめた
このままリンに殺されてもいいとおもった
私はそれくらいのことをした親友のリンを苦しめた
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でもリンは私の首に置く手を離した
なぜ?そう聞く前にリンはつぶやいた
「僕はミユキを苦しめた…でもミユキが好きだ…
男でも女だからでもない…ミユキが好きだ…」
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私はなんて返事をしたかったんだろう
私が何か返事をする前にわたしの叫び声を聞いて
駆けつけた先生たちがリンを運び出していく
『大丈夫!?リンちゃん!誰かタオル!』
そう叫ぶ保険先生の声
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私の体はリンの血でぐしゃぐしゃだった
血だらけの私を見て先生たちが怪我していないかと駆け寄る
「大丈夫?ミユキちゃん!?」
私は大丈夫ですとも大丈夫じゃないですとも言えなかった
ただ運ばれていくリンのことを見ていた
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その日からリンは学校にこなかった
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何事もなかったようにすぎる日々に違和感を感じた
ただリンの席だけが空いていた
あの日のリンの血が傷口が言葉が
頭から離れなかった
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『あら!ミユキちゃん!?』
突然の訪問にリンのお母さんは戸惑っていた
「リンはどこですか!!」
第一声がこれはさすがにおかしかっただろうか
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そんなことはどうでもいいくらいリンのお母さんは
険しい顔で言った
『お家の中で話しましょうか…』
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リンはいま入院しているということだった
あのあと自殺未遂を繰り返し、今は過度なストレスで
記憶が一部しか残っていないらしい
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「リンにあわせてください!」
そう言うとリンのお母さんは悲しそうに言った
「ミユキちゃんのことおぼえてないかもしれない
それでもいい?」
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それでも良かった…ただ会いたかった
それだけだった
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病室に入ると包帯だらけのリンが窓の外をながめていた
「誰?」
そうリンが聞いてきてとまどった
私はリンにとって誰だろう
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「あなたの親友だよ」
とっさにそう答えた
「あははザックリしてるね」
そう言ってリンは笑った
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「僕にも昔親友がいたんだよ?
その子は小さくて泣き虫で…
誰だか思い出せないんだけど…」
そう言ってリンは考えていた
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「よく空き地で遊んだよね」
そう言うとリンは驚いた顔をして言った
「何で知ってるの?すごいな、エスパー?w」
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リンは私を苦しめた私はリンを苦しめた
でも私の中にずっとリンはいた、悲しいときなきたいとき
一緒にいてくれたリンが私の愛の全てだった
私は泣きそうになる気持ちを抑えて言った
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「私がリンを苦しめた、でもリンが好き
リンだから好きリンという人が好き!」
するとリンは少し照れた顔をして言った
「なんで君がそこまでいってくれるの?キミは誰?」
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「ミユキ、あなたの親友」
作者前頭葉。
傷つけあっても壊れない愛がきっとある
読んでいただきありがとうございます!
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