中編3
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小さな世界

music:4

僕のお母さんはやさしい

やさしいやさしいお母さん

すごく大好きだった

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好きだっていってくれた

僕はずっと

お母さんがすきだった

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お母さんが僕のすべてで

お母さんも僕だけをみていた

この小さな世界で

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お母さんはいつも僕に

笑いかけてくれて

いつもやさしくしてくれた

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この世界はお母さんと僕しかいないと

お母さんはいっていた

だから僕はお母さんを待つ

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いつまでも、いつまでも

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ある日戸棚の影から

小さなフクロウが出てきて

僕にこういった

「ここは君の世界だよ」

って

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でも僕は

「違うよここは

   お母さんの世界だよ」

っていった

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するとフクロウはいった

「君は愚かだな」って

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また次の日

フクロウはうさぎをつれて

戸棚の影からやってきた

「今日はなにをした?」

フクロウはいった

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「今日はこの小さな世界から

でかける、そんな夢をみたよ」

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「君は?

  君はなにをしたの?」

僕は聞き返す

「僕はずっと君と一緒にいるよ」

そういってフクロウは笑った

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うさぎはいった

「お母さんは今日も帰ってこないよ」と

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ガタン。

物音がして振り返ると

そこには小さな女の子がたっていた

「お外に出ればきっといい方向にむかうわ

お外に行きましょう」

真剣な目で彼女は言った

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「いいよ、今日も僕はお母さんを待たなきゃいけないから」

そう僕が言うと彼女は

僕の手を引っ張って外にだした

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外は静かで

僕と女の子だけしかいなかった

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ふと、部屋においてきた

うさぎとフクロウが心配になった

「やっぱり僕かえるよ」

そういって振り返ると

彼女はもういなかった

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ひとりで家に帰ろうと歩き出す

足元に赤いカケラが落ちていた

どうやらそのカケラは

家まで続いているらしい

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そのカケラを拾い上げながら

僕は家についた

家につくとお母さんの声がした

「帰ってきたんだ!」

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急いで玄関のドアを開けた

そこには僕がいた

お母さんに殴られる僕がいた

泣いていた、僕は悲しそうに

ただ泣いていた

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お母さんは悲しそうに

僕を蹴った

怖くなった

僕は目をつぶった

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目をあけると僕は部屋の中心で

フクロウとうさぎの

ぬいぐるみを抱きしめ泣いていた

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そこには殴られる僕も

お母さんもいなかった、

ふと手に生暖かさをおぼえた

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僕の手は真っ赤にそまっていた

「……血?」

でも誰の血?、僕の体をみても

めだつ傷はなかった

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フクロウは僕のそばにきて

ただ僕の目を見つめた

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ふと目線をあげるとそこには

お母さんがいた

真っ赤に染まったお母さんがいた

涙のように血が流れ出ていた

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ああ、そうか、、もうお母さんは………

だから帰ってこなかったのか

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僕はなぜかお母さんに触れた

「あたたかい」

お母さんのまだ生暖かい血が

とてもやさしい暖かさで……

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きずくと僕は泣いていた

僕は右手にもっていた包丁を

もう一度強く握り締めた

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まだお母さんの暖かさが

忘れられない右手で僕はそっと

自分の首に……

end

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