中編3
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見たくないのに…

まだ私が保育園に通っていた頃でしょうか…

もう30年近くも前ですね

テレビのチャンネル変えるのにガチャガチャ回していた時代ですょ

今でも鮮明に覚えていますが、

本当に本当に心霊特集の番組が大嫌いでした。。。

怖くて怖くて…ただただ怖くて…

いつも親が観始めるのですが

クライマックスのオチのシーンや心霊写真が映るのが見たくなくて親の足元やコタツのなかに潜り込んで目をギュッと瞑るんですっ

両手でグッと押さえるんですっ!

でもっ!!

瞼の内側にその映像が映っちゃうんですっ!

怖くて見たくないのに見えちゃうんですっ

それがただただ怖くて逃れられなくて嫌だったんです…

今思えば親に訴えてもよかったのですが…

当時の幼い私は見えてしまうものだと勝手に自己消化していたのです。

そんな私が成長した中学一年の頃。

42℃レベルの高熱を出しました。

自宅で看病していた母親が隣で添い寝していたぐらいですからヤバかったんでしょうね

その時もウナされてウーウーしている最中に目を閉じているのに見えたんです。

周りを3頭身ぐらいのオジさん達に囲まれていました

5、6人いたと思いますが…1m弱くらい。

しかし私自身にあまりにも余裕がなく死にかけだったためソレについても認識するだけで状況を噛み砕く余裕もなくその時は過ぎて行きました

今思えば…病院にもいかず自宅で看病されていたのは何故なんでしょうか…?

今度親に聞いてみます(笑)

そんな時代も流れに流れ、私は社会人になり工場の交代勤務に就きました。

そこで昼休みをとっていた時の話です。

昼食を済ますとお昼寝タイムなのでお決まりの寝床に向かいます。

工場内のロッカールームです。

そこには高さ30cmぐらいの長いソファーがあり、窓が一つもないので電気を消すとほぼ真っ暗。工場の騒音も届きません。

昼寝にはもってこいの場所ですよね~

仰向けに横になり、持参のハンドタオルを横長に折って目の上に乗せてアラームセットしてガッツリ目に昼寝します(笑)

直ぐ落ちますょ

…フッと意識が戻る

(…あちゃー…身体動かない…金縛りだ…)

父親 も金縛り体質なので遺伝したのか、金縛りは何度も経験していましたので

怖いっちゃ怖いのですが、いつものかぁーぐらいで受け止めました。

しかしその日は違いました。

現れたんです、とんでもないのが。

カツカツカツカツ

カツカツカツカツ

部屋内に凄い鳴り響いてるですっ

落ち着く事なく動き回ってるんですっ

私の横たえる身体の足先から頭にかけて行ったり来たりしてるんですっ

クンクンクンクン

クンクンクンクン

っつか、嗅ぎ回ってるんですけどっ…

カツカツの音が理解できました…

四足歩行の何物かの爪とフローリングが当たる音。

さすがに怖過ぎて心臓バクバクですっ

バクバクバクバク

カツカツカツカツ

カツカツカツカツ

クンクンクンクン

瞼の力も無意識に強くなります…

その時、真っ暗な瞼の内側に見えちゃったんです

身体は犬、頭はオジさん…

いわゆる人面犬ってヤツです

体高80cm位ありましたかねっ

頭はハゲ散らかして胴体は101匹ワンちゃんみたいな模様してました

その人面犬が私の足先から頭にかけて

止まる事なくただひたすらに嗅ぎ回ってるんですっ

言うまでもなく怖いですっ

金縛りだし結局耐えるしかないんですっ

終わってくれっ終わってくれって…

すると突然終わりが来ました…

金縛りが解けると同時に音も消え

暗い無音のロッカールームです

ふぅ…ため息をつくと手荷物をロッカーにぶちこみ後半の業務に戻りました。

実体験が多いので日常に起こると本当にこんな流れになるんですっ

人面犬に嗅ぎ回られたから仕事早退します?

上司や同僚に相談します?

しませんよね(笑)

Concrete
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