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中編4
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白い朝

これは私が幼稚園の頃のお話です。

私は少し変わった子供でした。

幼子なのに夜早くに寝ない子供で

9時にお布団に入っても

まだ起きている大人たちが起きているだろうという気配やテレビ音や話し声などが気になり

いつも12時くらいまで目が冴えていました。

「早く寝ないとゴジラさんから電話が掛かってくるよ!

まだ起きてる子供はいないかぁー?て

ゴジラさんが電話で起きてると分かったら、家までやってくるんだよ!」

そう、母に言われ、ひょーっ怖いーと、寝室まで駆け上がっていましたが、ですが

ゴジラさんとは、本当は嘘じゃないか?と考えてもいた生意気な子供なのでした。

ある時は早く寝るのか嫌で母に

手紙を書き「腹が減って寝ることが出来ないので

おにぎりをつくってください。」

などと幼稚園児ながらの抗議文を書いたりもしていました。

両親も夜は遅く寝るので、大人たちが寝静まらないと寝落ちしなかった日々を記憶しています。

当時、寝室は和室で横には祖父母が寝ており、

お布団に入り目を開けると目前に大きな和タンスがあり、その飾棚に和人形が飾ってありました。

いつもその人形が恐ろしく布団に入るたび

薄目で見ていました。

こちらを見ている気がするからです。

でもその人形は問題はありませんでした。

眠りに入る時間が遅いので朝も中々起きれなかった私ですが

時々ふと明け方、空がうっすら白む頃にふと目が覚めてしまう事が何度かありました。

うっすら窓の外がほんとに、ほんのりと白む頃です。なのでまだ薄暗く空気が私には青く感じていました。

そして目を開けたまま布団の中でぼぅっとしながら、部屋の中を見回していたり、入り口にある襖を見たり隣で寝る祖母と母を落ち着きなく見たりしていたのですが

何故なのか、ふすまの向こうに続く廊下、その先にある階段が頭の中に浮かび、それが怖くて仕方ないのです。

体が冷えて来てブルっと悪寒のように背中の筋肉が縮みます。

実はたまにこういう時があるのです。

無い日もあります。

そう、ある日と無い日があるので

今日はある日だとわかると恐ろしくて恐ろしくて

体が震えてしまうのです。

それは

少しずつ

何者かが音もなく階段を上がり

そして音も無くゆっくり廊下を進み近づいて来る気配、

そして廊下を歩き私の寝ている部屋の襖の前まで来でじっと立っているのです。

目視している訳ではないのですが、その映像が

はっきりと

必ず脳裏に浮かぶのです。

いつも毎回同じ足、白む朝に白い足。

ほとんど青い足首。

血色のない紫色かかったようなカサカサの爪、

朝の白んだ青みかかったような

薄暗い冷んやりとした白い朝に、まるで同化する様な青白い足。

そして白っぽい浴衣のような着物を着ており、それはいつもその裾しか見えず、ただ襖の前に静かに立っているのです。

音も無くと書きましたが

人の足の肌が歩く時に、微かに床との摩擦で生じる

シュッという空気の動き、汗をかいていない乾いた肌が立てる音。

それをしっかり感じ取れてしまいます。

それが気づかれないように、そうっと歩いているのが伝わって来てしまいます。

恐ろしい、とにかく恐ろしい、この低く漂う飲み込まれそうなこの思念は、いったい何?

以前投稿したの話の

顔なしのっぺらぼうのときとは違い、

今度は膝から下しか存在してない、

何かです。

何かというか、足です。多分女性。

顔なしは一度きりの遭遇でしたが、

これは来るときと来ない時があるので余計に怖いのです。

これが襖の向こうにいる間は

息も潜め体も動かしません。

金縛りにはならないようでしたので

それだけに気づいている事を気づかれてはいけない!

と思い必死で堪えていたのを覚えています。

時間が経ち、ほんの少しでも朝が明るさを持ち始めるたら、その寸前に完全に気配は消えます。

だから青い白い色の朝でないと存在出来ないみたいでした。

何をする訳でもなく、襖の前に立つだけですが

もう本当に迷惑で怖いし腹が立ったのを覚えています。なので

猫を沢山飼っていましたので

数匹の猫を寝室においている時には現れませんし、そのうち居なくなりました。

猫はすごい。

猫は魔除けといいますが

今でも猫を飼っています。

猫に関するちょっとした事も起こりましたので

それはまた今度お話させて頂きます。

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

白い朝のお話てした。

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