あれからどれくらいの時間がたったんだろうか。
俺は、今ここで起こっていることが理解出来なかった。
理解?いや、違う。
意味が分からなかったんだ。
「おまえ…どうしてこんなことになったか分かる?」
俺をここへ連れて来た男が俺に言う。
そう…こいつは俺の昔からのダチで裕二。
いつも一緒いて、俺の事は大体知ってる。
「なぁ…どうしてこんなことになったんだ?」
「……………………………………………」
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「私、赤ちゃんが出来たの!」
嬉しそうに微笑むあいつ。
「あ…そう…」
そうだ…。思い出した…。俺…。
「ねぇ?嬉しくないの?産んでくれ!結婚して!って言ってよ?早く?」
「あのさ…。少し落ち着けよ…」
「えっ…何?意味が分かんないんだけど?どういう事?嬉しくないって事なの?ねぇ?」
矢継ぎ早に質問を浴びせてくるアイツに俺はこう言ったんだ。
「あのさ…。それ本当に俺の子?」
分かってはいたんだ。それがどんなにアイツにとって「酷い言葉」であったことぐらい…。
でも、言わずにいられなかった。
何故?
答えは簡単だよ。
俺が誰かの親になるなんて思いもつかなかったし考えもしたことなかったから。
「酷い…。酷いよ…。」
とブツブツ言いながらアイツは家を出て行ったんだ。
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それから、何ヶ月もアイツからの連絡はなかった。
俺からも特別、連絡することもなく時間だけが過ぎていった
作者春休み