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中編4
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ゴミ部屋

前にゴミ屋敷の特集をしていた。

あれだけ部屋にゴミを溜めれる人ってどうかしてる。

よくあんな足の踏み場もないようなところで寝れるなと思う。

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私の部屋はつい最近ゴミを捨てまくり綺麗にしたばかり、もともとそんなにゴミや使わないモノがある方ではなかったけど、全部捨てるって決めたら行動は早かった。

本当にミニマリストって言えるくらい4LDKの部屋は綺麗になった。

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リビングにあるのは常に机とイス、ピアノのみ。

あとは極力目に見えないところ。

床には何も置かない。

だいぶスッキリとした。

いつも帰ってきて部屋が綺麗でスッキリするしやりたいことが明確になった。

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ある日友達が二人、家に泊まりにくることになり楽しみにしていた。

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友達Aが家に着くなり部屋が綺麗で感動していた。

「子供二人いるのにすごいねー!すごい綺麗!」

「そんなことないよー。子供部屋はちょっとおもちゃが散乱してるけど」

そんな会話をしていた。

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もう一人の友達Bは今駅に着いたがバスが1時間後でタクシーもなく迎えにきて欲しいとメールで連絡が入った。

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ここは田舎なのだ。

バスは1時間に1本。

電車も1時間に1本。

車で来たAは良いが電車で来てくれたBにとっては長い道のりだっただろう。

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じゃあ迎えに行こうと話すと、

Aが

「ここが近道だよ。」

と自分でもみたことのない扉を教えてくれた。

見た目は他の部屋についてる普通の扉。

その扉は家の北側にあり、自分の部屋と繋がっている。

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不思議なはずなのに、なぜAが知っているのかや、このは扉はいつからあったのか、なぜ今まで気づかなかったのか等思ったが、そこの扉から行くことにした。

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そこの部屋を開けるとモノが散乱していた。

何年も着ないで置いてある洋服。

タンス

敷きっぱなしの布団

丸い洞窟みたいな部屋が何部屋も続いていて、すべてにモノが溢れてていた。

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布製品が多かったと思う。

畳まれないで積まれてあるだけの服の山、

開けたことのないタンス達。

なぜこんな部屋があるのか。

何回も扉を抜けるが部屋がずっと続く。

その長い部屋はどの部屋もモノがずっと散乱していた。

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ふと子供の頃を思い出す。

あっ母親の物だ。

自分の親は典型的な片付けができない親だった。

広い家に住んでいたが、どの部屋もモノが溢れて汚かった。

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Aが先に歩く。

明らかに汚いなーと顔をしている。

こんな部屋みられるのが恥ずかしかった。

この部屋?通路?がなければとても綺麗な家なのにと思った。

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汚い部屋に住んでいて、親は片付ける気がないし、5つ上の姉はそんな親をみて片付けろと喧嘩ばかりしていた。

休めるところはなかった。

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こんな汚い部屋で、喧嘩ばかりで安心できる場所はなかったな…と

敷きっぱなしの布団を踏みながら思い返す。

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行き止まりの部屋に着く。

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母親とお坊さんとAがいる。

今までみた部屋よりは幾分かモノが少なくなったが、段ボールや洋服、ガラクタは散乱している。

6畳ほどの部屋だった。

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中央に置いてある四角い机の前に母親が座り

お坊さんは母親の右後ろに座っている。

Aは私の近くでガラクタ達をみている。

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小太りのショートカットの母親は私に

「小さい頃貧乏だと思った?」

と聞いてきた。

「毎日外食で、お金はあると思ったけど、家庭料理も食べたかったし、パパの給料日前になると、ご銭が数円しかなくなってひもじい思いをしていたの嫌だったよ。」

と私は答えていた。

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毎日外食だった。

ファミレスだったが毎食6000円くらい使っていた。 

家庭料理は本当に小さい頃にしか食べた記憶がない。

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お坊さんが口を開く

「多分来た時に部屋にオケが三つあったと思う。

使われないものからは悪い気が出る。そのオケからも悪い気が出てる」

と話す。

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オケ?みた記憶なんてないし、自分の住んでる本当の家にもオケは一つもない。

でもあんなに散乱していたらオケが隠れていてもわからない。

と心の中で思った。

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すると親が姉を思い出し、

「姉の育児はどうかと思うよ。

3歳の子供が朝起きたら靴下を自分で履くまで何もさせないんだから。」

と話す。

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姉はシングルマザーで、一人の子を育てている。

姉は常に威圧的で自分の思い通りにならないとヒステリックに怒鳴るタイプだった。

早くに家を出たのもそんな姉と母親から離れたかった。

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母親は姉の育児に対してそう言うが、靴下を自分で履くまで待つのも親からしたらかなり大変じゃないかなと思う。

威圧的でなければ良いが…

と頭の中に考えが巡る。

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その時、あっ今までの汚い部屋は自分の心の中だと気づく。

そうなのだ。

ずっといろんなモノが散乱して置いたままの部屋、心の汚れだった。

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綺麗にしようと心に誓う。

こんな重荷を背負って常にマイナスな思考に囚われてクヨクヨしていた。

部屋がいくら綺麗になっても心のクヨクヨが取れないのは、忘れていて、置きっぱなしにしていたモノ達で心が占領されていたからだ。

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きっと部屋を綺麗にしたことで自分の内面の部屋と向き合えたと思った。

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そこで目が覚める。

いつも通り綺麗な部屋だ。

やはり夢だったんだーと安堵する。

オケが一つ転がっている以外は。

Concrete
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