これは僕が2ヶ月程前に実際に体験した話です。
恐怖のあまり記憶が断片的で、はっきりとしない所が多いのでご了承ください。
僕は介護士です。
4年間務めた介護施設を辞め地元に帰ってきましたが、田舎の介護施設は劣悪な環境の所が多く、働く場を転々としていました。
その時は同棲していた彼女(今の奥さん)が、体調を崩しており働けない状態で僕も仕事を辞めており、生活もカツカツの状況。
そんな中登録していた介護の派遣会社からいい条件の仕事先があるので、見学に行かないかという連絡があり二つ返事で了承。
当日、指定された場所はかなり山の中にある病院の敷地内にある介護施設。
(こんな山の中かぁ、通勤の運転めんどくさいなぁ。)
そう思いながらも、すぐにでも仕事が欲しいので、その仕事場に派遣社員として働く事に。
仕事内容は主に夜勤専従。
デイサービスと併設された有料老人ホームに入居している10数名を、1人夜勤で対応するという物です。
1人夜勤は心細いですが、慣れてくると自分のペースで仕事が出来るので苦ではありませんでした。
それから数ヶ月が経ち派遣から正社員へ。
正社員になったのを機にお付き合いしていた彼女と入籍して、順調に物事が進んできだしたある夜勤の事。
その日も入居者さんの対応を一通り終え、
一息つく為に外へ出ました。
職場は老人ホームとデイサービスが廊下をつないで併設されており、廊下から外へ出れるので、そこでタバコを吸い一服するのが日課です。
いつも通りタバコを吸っていると山の中から、
カン、カン、カン、カン、カン、カン
と何か叩いている音が聞こえます。
「ん?」
僕が少し声に出すと、音が聞こえなくなりました。
何か気味の悪さを感じて、タバコの火を消しすぐに施設内へ戻りました。
戻った次の瞬間。
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
かなり強い力で、さっき閉めた扉を叩かれました。
鳥肌が止まらずその場で動けないでいると、
凄まじい音と共にガラスが割られ、血だらけの腕がゴソゴソと動き、扉の鍵を開けました。
扉が空いたかと思うと女が現れ、僕を見つけるなり鬼の様な形相でこちらに駆け寄り、
「見だが、見だのか?見だが?見だのががぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
と絶叫していました。
目の前には死装束、真っ白な頭を回転させ、
「み、見てません、」
声にならない声でそう答えました。
すると、「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
と女は絶叫して、出て行きました。
.........。
……………………………。
「ね、」「大丈夫ね!」
僕は固まっていましたが、騒ぎを聞きつけた入居者のM男さんが部屋から出てきて、そう僕に声をかけてくれました。
そこでハッとして、震えながら急いで警察、職場の上司に電話。
幸い上司は隣りの施設で当直をしており、すぐに駆けつけていただきました。
そこからの記憶は曖昧です。
震え泣きじゃくり、警察が来てからもしばらく証言出来ませんでした。
夜勤は代わりの職員に来てもらい、その日は夜遅かったですが帰宅。
それから職場から暫く休んでもいい、と連絡を受け3日程休暇を貰い休む事にしました。
体調に異変が起こったのはすぐです、熱が出ました、病院数回行って血液検査、尿検査、CT検査等をしましたが異常無し。
それから1週間熱が続きましたが、どんな検査でも異常は出ません。
まさかと思い母に連絡。
知り合いの霊媒師に見てもらう事に。
霊媒師さんは僕を見てこんな事を言ってたと思います。
「あぁ、呪い、憑き物かな?」
「私でも分からない、新しい呪い、完全にお祓いできるか、そもそも正体があやふやで私にも理解出来ない」
´先日の話をしても、時間的に午後の8時で丑の刻参りでは無いし、新手の呪術を行っていたのかもしれないが、こんなのは初めて見た。
もしかしたら、ネットで出回っている呪術を見よう見まねで行い変化させたのでは無いか,
そのような事を言われてたと思います。
軽いお祓い、お清めの後、
「この話をもっと多くの人に聞いてもらいなさい、話すと楽になるでしょ?」
「話す人が少ないならネットでもいい、この話を誰かに話しなさい、溜め込んで精神が弱くなったらまた何か起こるから、気を確かに持って」
そう言われ今この話を書いています。
あれからすぐに退職し、今は両親のいる実家に奥さんと戻り療養しています。
暫くは悪夢から逃れられそうにありません。
警察は捜査を続けているそうですが、未だにあの女を見つけられていないそうです。
死装束を着て何を行っていたのでしょうか、もしあの時見たと答えたら、丑の刻参りを見た時と同様殺されていたのでしょうか。
そう考えると眠れず、睡眠薬に頼る日々です。
作者アッチ
今まで読んで下さった方々ありがとうございます。
僕の体験した怖い話は以上です。
今までは学生の時に体験した話を書き、心の整理をして今この話を書きました。
冗談の様な話ですが、何も脚色は加えていません。
僕自身怖い話等以前は大好きでしたが、今はどんな内容でも見れないようになりました。
それでも家族に迷惑をこれ以上かけたくなく、早く社会復帰をしたいので書きました。