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これは私が小学校六年生の冬の出来事です。その日、私は中学受験を目前に控えておりストレスと寝不足であまり体調が思わしくありませんでした。
受験前の冬休みということで、当然毎日塾の冬季講習はあります。その日も冬季講習でした。私は塾に行く前から気分が悪く、吐き気がしていたのですが、授業を休んで遅れを取るのは嫌だったのでそのことは黙って冬季講習に行きました。
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shake
授業の間の休憩の時です。私の悪寒は頂天に達し、私は心臓を押さえて床に倒れ込んでしまいました。周りに居た友達が、心配そうに駆け寄ります。その時の私の肌は陶器のように白かったそうです。誰かが先生を呼んだところで、私の意識は途切れてしまいました。
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気が付くと、私は自宅のソファーで眠っていました。母が迎えに来たのでしょう。時計を見ると、午後二時。次の授業が始まっている時間です。しかし、到底私は起き上がる事さえもままならなかったので行けるはずもありません。そんな事を考えているうちに母がやって来て、私にゼリーをくれました。私は、今日は一日塾を休むという事を母に伝えて、自分の部屋に戻りました。
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歩いている間にも目眩と立ちくらみがし、視界がぐるぐると回っていました。やっとのことで自分のベッドに戻った私は、またもや気を失いました。
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目の前に青いドレスの女性が三人居ます。どの女性も知っている人物でした。三人のマリア・テレジア…。当時の私は世界史について調べる事が趣味だった為、ヨーロッパの歴史人物が出て来たのでしょう。最初に、口を開いたのは確か、イタリアのマリー・テレーズです。
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「貴方は生きたい?」
私は息が苦しくて答えられませんでしたが、頷きました。
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次に口を開いたのはフランスのマリー・テレーズです。
「では生きなさい。」
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最後に、マリア・テレジアが
「よろしい、では其方に力を与えよう」
と言いました。それから私は、彼女達の言うように身体を動かしました。
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shake
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すると、目の前が一瞬暗くなり、元の私の部屋に戻って居ました。それから私の体調はみるみる快方に向かい、次の日の冬季講習に参加する事が出来ました。その後、無事に受験も合格しました。
彼女達は私の見せた幻か、はたまた彼女達自身で私は瀕死だったのか。それは今でも分かりませんが、彼女達には本当に感謝しています。
作者巳百合蓮華
実話ベースですが、若干の脚色を入れています。