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短編2
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砂鉄

私が小学生のときの話です。

理科の授業で砂鉄というものを知りました。

先生が用意してくれた砂鉄に磁石をくっつけると、黒く微細な粒がすぐに磁石に引っ付いて、とても不思議に思いました。

先生が砂鉄は身近にあるよと言っていたので、私は近くの公園の砂場にもあるのではないかと考えました。私は意気揚々と家の冷蔵庫にくっついていた磁石を用意し、公園の砂場に向かいました。ところが、公園の砂場に使われていた砂粒には砂鉄が含まれていなかったようで、いくら磁石を近づけても意味がありませんでした。

私は少し残念に思いました。

もう無理だとわかっているのに、磁石をしつこく砂粒に近づけていると、同じ年くらいの子に声をかけられました。

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見覚えのない女の子でしたので、違う小学校の子だと思いました。

女の子は、砂鉄?とだけ声をかけると私の隣にしゃがみこみました。

女の子は私の持ってきたいくつかの磁石に目をやると、そのうちの一つを掴みとって砂粒に近づけました。

すると、黒い微細な粒がずらっと細い柱のようになって女の子の持っている磁石に引っ付きました。それほど、磁力の強い磁石ではないのに、磁石にくっつく砂鉄の量は異常なもので、ボサボサの黒い髪の様に見えて気味が悪くなりました。

自分、もういいや。

私は女の子にそう告げて、磁石を返してもらおうとしました。女の子は磁石を離してくれません。

そのうち、砂鉄が本当に人の髪の様に感じられて私は身震いをしました。

もうちょっとだから。

女の子は磁石を手にしたまま呟きました。

ぶちっと嫌な音がして、女の子が後ろに尻餅をつきました。私が女の子の方に駆け寄ると、彼女の手の中の磁石からは砂鉄が消えていました。

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女の子はそのまま立ち上がると、磁石を私に渡して走り去ってしまいました。

何だったのだろうと砂場を振り返ると、赤黒い皮膚のようなものが砂場に浮いているのが見えました。

私は恐ろしくなって、そのまま後退りをしながら公園の出口まで行くと、逃げるようにして家に帰りました。

しばらくはその公園が怖く、近づかなかったのですが、三週間もすると元通りに遊ぶようになりました。ただ、あの女の子にはあれから一度も会っていません。

Concrete
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