続きです。前の話を読まなくても楽しんで貰えるよう頑張ります。
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細々な出来事があったが、彼女は目を閉じて時間がじっと過ぎていくのを願って過ごしてきた。
きっと後になったら笑い話になるという希望を捨てずに…
苦しいことばかりではなかったはずだ。
楽しいこともあった。家族皆で笑いあった日々も確かにあった
でも、それを打ち消してしまうほどのご主人の暴力も確かにそこにあったのだ。
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ある日のこと。
やたら不機嫌にご主人が仕事から帰宅。
「ああ…また何か起こりそうだ。」
と彼女は予感していた。
その予感は裏切られることなく的中する。
一番上のお子さんが大学の進路についてご主人に相談したのをきっかけに狂ったように暴れ出したのだ。
引っくり返された御膳。
何が気に入らなかったのか分からないお子さんがご主人初めて意見した。
それがきっと更に気に入らなかったのかお子さんと取っ組み合いの大惨事となる。
彼女は間に入り
「止めて…止めて」
「お前が要らんことでしゃばらんでいいんや」
間に入った彼女の上から更に暴力をふるおうとしてくるのだ。
いつもだったらある程度、時間が過ぎれば落ち着きを取り戻すはずだった。
その日は帰って来てずっと不機嫌だったのも手伝ってなのか。
中々静まらない。
彼女はやっと覚悟をした。
「逃げて。逃げて警察に電話して」
子供達は家から裸足で逃げ出した…
ご主人は子供を追いかけて家を出た。
そのあと直ぐにご主人は家に戻る。
子供を連れて帰って来ていないところを見て彼女は心底ホッとした。
そして、ご主人は彼女に静かに問う。
「子供に警察呼ばして満足か?」
「……………」
まだ何かされるんじゃないかと思い恐怖で彼女はなにも言えなくて黙りこむ。
「また、俺だけが悪いのか?」
とご主人は彼女に問う。
その言葉を聞き、彼女はご主人を憐れんだ。
今までさんざん伝えてきた
「暴力は止めて」
という言葉の意味を理解していないご主人に…
「可愛そうな人」
恐怖でしか自分の思いを伝えられないご主人憐れんのだ。
憐れんだ目線を送りただただ無言の彼女にご主人は言った。
「言いたいことはないんか?」
その口調は静かなものだった。
そして、彼女の首にご主人の手が延びる
よく分からない感情が彼女に沸き上がる
「もうここで死んでもいいや」
「やっぱり思っていた通りになったな」
でも、ご主人の手には命を奪うほどの力はなかった
彼女の数センチ先にご主人顔がある
それを見ても微塵も恐怖を感じることはなかった。
「悲しい」
いや…
「辛い」
違う…
「どうしてここまできても分かってくれないのか」
憤り?怒り?
本当に分からなかった
そして、静かに入ってきた警察によりご主人は逮捕されることになったのである。
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続くかな?w
作者春休み