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短編1
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あの時の“オルゴール”

家族ぐるみの付き合いである洋輔の話。

彼の父、よっちゃんパパが一昨年の3月に亡くなった。

ステージIIIのすい臓がんが見つかってから僅か半年後の出来事。

享年60歳、早すぎる死だった。

昨年末、仕事で多忙な洋輔からたまたま東京に帰省していると連絡があったので、

久々に両家族で食事に行った。

その時に酒の勢いで話してくれたのが今回の話。

よっちゃんパパが無くなった後、遺品整理を家族で分担し、

洋輔はデスク周りと本棚を担当した。

その時、デスクから木製のオルゴールが見つかった。

手のひらサイズのオルゴールで、開くと曲と共にバレリーナが躍る仕組み。

そのオルゴールを母に見せると、泣いて喜んだらしい。

どうやら洋輔の母が小学生の時に貰った誕生日プレゼントで、

高校生の時に部屋からふと無くなったようだ。

その話を聞いた洋輔は、なぜ父のデスクにそのオルゴールが入っているのか、

部屋から突然なくなったのは、当時付き合っていた父がこっそり盗んだからではないのか。

母に問いただすと、違うと答えたという。

理由としては、当時まだ父と出会っておらず、出会いはその10年後。

父が母の会社に転職してきたのが初めての出会いだったそうだ。

よっちゃんママは特に気にしていないという。

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