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メール、電話、SNS
今やどこにいても色んな人と交流できる
そんな時代になりました。
同志を探す為、暇をつぶす為、出会いを求めて、様々な理由で使われますが
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ひと時の侘しさを埋めるため
みな一様にスマホに食い入る様は、
霊より恐ろしいものに取り憑かれている
そんな方ふうに思える時もありましょう。
私もきっと、そんな見え方をしていたのですね。
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彼女と付き合い始めて3ヶ月が経った頃。
と言っても、会ったのは一度きり。
いわゆるネットで出会った遠距離恋愛です。
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距離がかなり離れているので定期的に会うのは、時間的にも費用的にも難しく
その分まめに連絡は取るのですが、お互い寂しい思いをしておりました。
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そんなある日、親しい友人から1枚の画像が送られてきました。
そこには彼と見知らぬ綺麗な女性がならんで写っており、
「初めての彼女!」
とのメッセージが添えられていました。
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突然の報告に面食らいつつも、
2人の幸せそうな表情にほっこりしました。
が、私はその初々しさを
次第に羨ましく感じるようになりました。
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その日の夜、いつものおやすみ連絡をして寝床に入ったのですが、寂しさからか、なかなか寝つけません。
体勢を変えてみたり、携帯をいじったりしながら時計は深夜3時半を回っておりました。
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「いい加減に寝るか」
そう思い立ち、布団を被ってまどろんでいると
ふわぁっ、と
良い香りがしてきます。
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部屋は締め切っており風がなく、
自分が使っている柔軟剤や
香水の類とは全く違う、例えるなら
昔ながらの石けんのような香りが部屋中に漂っておりました。
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どこから匂っているんだろうか
そう、なんとなく目を開けた際に、
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shake
耳鳴り
止まらない冷や汗
shake
鼓動は早く、全身が熱くなったかと思えば、
今度はゾクゾクと体が冷えてきます。
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傷んだボサボサの長い黒髪は
先ほどの匂いの元だと、すぐにわかりました。
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誰かが立っている....
布団のすぐ脇、枕元に。
やけに白目の部分がはっきり見えるその眼は、
私を覗き込むようにしています。
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(帰ってくれ....!誰か助けて....!)
逃げ出したくてたまらないのに
体は微塵も動きません。
(お願いだ!神様、どうかお守りください!)
そう必死に祈っていると、
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頭がぬーっと近づいてきて
耳元で
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「私はお前なのに」
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ブツブツと
何度も繰り返しています。
わけがわかりません。
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shake
「わぁっ!」
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途端、体に自由が戻りました。
汗を拭ってほうけておりますと、
落ち着いてきて、考えが纏まってきました。
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「あの人..あの匂い..どこかで...」
良く考えれば服装も体型も、見た事がある
ような気がしてなりません。なにかヒントは
無いかと携帯の画像フォルダを見ていると...
「あっ」
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ふた月前、私と彼女の初デートの日。
黒髪を後ろで結わえた彼女は、昨日現れた
それと同じ服装をしていた事に気づきました。
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まさか、
と思い急いで彼女に電話をかけました。
が、帰ってきたのは
「ふぁあい....、なに?」
とまぁ、何とも気の抜けた返事でございます。
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最悪の予想は当たらなかったものの、
結局正体のわからなかった私は、ひとつの
仮説を立てることにしました。
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私が見たアレは記憶と願望が作り出した
幻(まぼろし)、いわば生霊なのではないかと。
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あまりに強い執着は時により
不思議なことを起こします。
それは人の形を為したり、
ものに宿ったり様々ですが、
執着された側に見える形で起こることが多いそうです。
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私は自分自身でそれを見てしまった訳ですが、
再現度低くね?もっと可愛いだろ!
とツッコんでしまいました。
皆さまも狙って行う際は、パートナーの、
憧れのあの人の、素敵なお姿を強く
イメージすることをオススメします笑
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余談ですが、私の彼女は石けんを使いません。
私もボディソープの方が楽で、家に置いて無いんですよねぇ。
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お前は
本当に私だったのか?
作者あねご
初めましての方は初めまして。
あねごと申します。
前回同様、実体験を少し盛ったものを
作品とさせて頂きました。
どの部分を盛っているかは、ご想像に
おまかせ致します。
またの機会がございましたら、
よろしくお願い致します。