短編2
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単怖(お風呂)

単純だけど怖い話の第二回です。お風呂で体験したものになります。

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前、家族の帰りが遅い日にお風呂に入っていました。まず洗い場で体を洗って浴槽に入りました。そうするとそこの方がヌメヌメしてたんです。『あー洗い損ねかー』と軽く思いながらさほど気にせずザブンと肩まで使ったときのことです。

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ぽこぽこと泡が出てきました。『キャー何これ可愛い』と僕が見つめながら思っていたことはさておき。どんどん泡が大きくなってきたんですよね。「ぽこぽこ」と小さな泡から「ボコ!ボコ!」と大きな泡に変わり、やがて「ボコボコボコボコ!!」と今にも何かが出てきそうな気配がしました。

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僕は何が出てくるのかとワクワクしながら眺めていました。しかし、音も泡も一斉に鎮まり浴室内がシンと静まり返りました。それはまるで給食のときに話し声で騒がしかった教室が打ち合わせをしたかのように一気に静まったときのようでした。(静かになったときに喋っていたら恥ずかしいですよね)

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急に静かになったことで初めて僕は恐怖を感じ、お風呂から出ようと思いましたが体が動きませんでした。足先をわずかに動かすとやはり底はヌメヌメとしていました。足の指で細かく底を触れるとヌメり以外の感触があることに気づきました。

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ますます気味が悪くなりさらに体が硬直してしまいました。半ば放心状態でうつむいた体勢で浸かっていると、ピチャンピチャンという音がしたのでゆっくり顔を上げて見てみました。黒いものが上から少しずつ落ちてきていて水面を伝って僕の目の前までそれは流れてきました。正体は髪の毛です。

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そしてあり得ないことが起きました。髪の毛がお湯の中に沈んで行ったのです。それも片一方から引き込まれるように。『絶対なんかいる!』と確信しました。そして底のヌメり以外の感触も髪の毛なのだと想像しました。

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家には一人なので助けを呼べず、お風呂から出たい気持ちでいっぱいでしたがもし中にいる奴に襲われたらと思いできませんでした。しだいに僕はのぼせてきてお風呂に入ったままフラフラと気を失いました。

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目が覚めると自室のベッドにいました。近くには両親がいて、「お風呂で気を失っていたから運んできた」と父から言われました。そうなるまでの経緯を話しました。その後お風呂の水を父が抜きに行き、僕も確認しについて行きました。半分くらい水が減った頃、それ以上は減りませんでした。

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父が「おかしいな」と呟き湯の中に手を入れると「なんなぁこりゃあ!」と大きな声を出して手を出すと髪の毛が絡みついていました。そこで僕が言ったことは本当だったと信じてもらえ、後日お風呂を改修することにしました。

ちなみに今ではそんなことは起きていません。

Concrete
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