朝、俺、昨日が怖い
昼、俺、明日が怖い
夜、俺、何も怖く無い。
季節が恋しい。俺はあの子が好きだ
春
親父はアル中だった。
一番上の姉ちゃんは障害者だった
真ん中の姉ちゃんは、家を捨てた
俺は赤かった
母は泣いていた
夏
親父はアル中だった
一番上の姉ちゃんは居なくなった
真ん中の姉ちゃんを探していた
母は泣いていた
俺は青かった
秋
親父は居なくなった
真ん中の姉ちゃんは見つけた
母は泣いていた
俺は黒かった
冬
外は激しく雨が降っていた
風も強かったが、春を告げるには早かった
真ん中の姉ちゃんが泣いていた
母は泣いていなかった
俺は透明だった
夜になったね。匂いがする
夜の音に耳を澄まそう
ベランダから冬の雲を貫いてちょっと向こうの火星の春を感じに行こう
きっと迎えに来てくれる
終わりを連れて来てくれる
作者時唄み人