これは高校を卒業して東京の専門学校に通うため、上京した時に起こった実話です。あまり怖くはないですが読んでいただけたら嬉しいです。
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親にお金は出さない、自分がやりたい事なら自分でどうにかしなさい。と言われたので新聞奨学生として働きながら学校に通う事になりました。
半年が過ぎて新聞配達にも慣れてきた頃、あるマンションのお客様のところに新聞購読料の集金に行きました。
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「集金は19時以降に来てくれ」という時間指定のお客様だったので、19時30分頃にマンションに向かいました。
オートロックを開けてもらい、マンション2階のお客様の部屋にエレベーターで向かいました。(階段でも良かったんですが、ちょうど1階で止まってたので)
エレベーターを降りると左手に205号室、正面に204号室、右手に長めの廊下があり、その廊下の途中に203号室、202号室、階段、201号室と続いています。
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そのマンションはエレベーターを降りた204、205号室の場所と階段の前にしか蛍光灯がなく、いつも薄暗いので前々からあまり行きたくはないマンションだったのですが(仕事なので仕方なく)201号室のお客様のところに向かいました。
廊下を歩きながら202号室の前くらいでお客様にお渡しする領収証を集金バッグから取り出そうとした時、階段の前の蛍光灯に照らされて人の影が階段の方へスッと消えていくのが目に入りました。
(上の階の人が階段で下に降りていったんだな)くらいに思いながらチラッと階段の方を見ると
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そこには誰もいませんでした。
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私が影を見てから階段を見るまで1秒か2秒くらいだったので
足音も出さずに下階に行くのは無理だと思いますし、
蛍光灯は正面の方にあったので私の影は後ろにあるはずです。
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それを一瞬でヤバいもん見たと思い(そういう体験は初めてだったので)全身に鳥肌を立たせながらダッシュで201号室まで行きました。
ドア前のインターホンを鳴らしお客様が出てくるまでが
めちゃくちゃ長かった気がしました。
すぐそこには階段があるのでそっちを見ないようにして待っているとドアの奥から「どうぞー」と旦那さんの声が聞こえました。
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強盗か!とツッこみたくなるくらいの勢いでドアを開けて玄関に入りすぐドアを閉めました。
息を切らしながら「こ、こんばんわ…」と言う私を見て旦那さんは頭の上に?を浮かべていました。
集金が終わり「ありがとうございました」と冷や汗ダラダラ状態で礼をしてドアを閉めると階段を見ないようにエレベーターまでダッシュしました。
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2階にきて集金をして戻ってくるまで5分もかかってないのに
そういう時に限って8階に止まっていました。(そんなベタなホラー展開いらん!)とか思った。
恐怖体験とかで良く見る、意味ないのにエレベーターのボタン連打ってやってしまうんですね。
やっと降りてきたエレベーターに乗り込みまた1階のボタン連打。着いたら開ボタン連打。
エレベーターから降りて一目散に帰りました。
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その次の月から集金は先輩に頼んで行ってもらう事にしました。
ビビりで恐怖体験をした事がなかったので別に何かされた訳でもないのですが、めちゃくちゃ怖かったです。
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後日談
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それから数年後。
青森県の八戸市におばあちゃんの家があるのですが、私が中学生の時に亡くなって、5年くらい空き家のままで
(本当に背景画像みたいな家)
そこに八戸で働いていた姉と一緒に住む事になりました。
「アパート借りるよりおばあちゃんの家に住んで家を守った方がお父さんもお母さんも気が楽でしょ」という姉の意見もあって。
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一台の車を姉と一緒に使っていたのですが、仕事の時間の違いから姉の送り迎えを私がやっていました。
東京で見たあの影の事などとうに忘れて生活していたのですが、仕事終わりの姉を迎えに行くため暗い夜道を走っていた車内であの影の事を急に思い出しました。
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その瞬間、ズンと肩が重くなり呼吸がしづらくなりました。
姉を車に乗せて「ちょっと肩を払ってくんない?」と言ってポンポンと払ってもらいましたが良くなりません。
姉が「どしたの?」と聞いてきたので
「東京で変な影見たんだけど、さっき急に思い出してさぁ。
そしたら肩重くなって呼吸しづらいんだよね」と言ったら
「連れてきたんじゃない?」と言われました。
(姉もホラーとか好きで話が合う)
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数年も経っているのにそんな事あるのかと思いましたが、
家に入る前に姉に塩をかけてもらい
仏壇に線香を上げておばあちゃんの遺影に守ってねと手を合わせたら
肩がスッと軽くなりました。
こういう事って本当にあるんだなと改めて思った体験でした。
作者チョコミント@
初投稿です。どんな風に書いたら良いのかわかりませんでしたが読んでいただけたら幸いです。
全く関係ない話。
その影を見たマンションの近くに別のマンションがあるのですが、先輩に君の配達してる区域にアジャコング住んでるよと言われてた。
まさかと思っていたが
ある日夕刊を配達してる時、すっぴんのアジャコングがマンションから出てきたのを見た時は影を見た時以来の衝撃だった事は言うまでもない(笑)