皆さんは高速道路を利用した事はありますか?
新型コロナウィルスが猛威を振るう今では、利用も難しいですねぇ。
以前から色々と噺を聞かせてくれている佐々木さん。
佐々木さんね。今はお父さんの故郷に帰って長距離トラックの運転手してるんですよ。
そんな佐々木さんが、配達を終えての帰り道。高速道路で起きた事を話してくれました。
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佐々木さんが長い運転をし、地元近くの料金所に到着間もない時。
時間は23時を過ぎたあたり。早く帰って休みたいなぁ、なんて思ってたんですね。
ふと、反対車線を見ると、目を疑う光景が飛び込んで来た。
道路の壁側に歩いてる人影が見えた。
暗いせいか、ぼやぁっとしてる。
その時ね。もうすぐ、料金所だからって、料金所のおっちゃんに言っておくか位にしか考えて無かった。
料金所に着いて、代金を支払い、領収書貰った所で
佐々木「おっちゃん。暗くて良く見えなかったけど、人が歩いてるの見たんだけど…」
おっちゃんは驚く様子も無く、またかって感じで
おっちゃん「反対車線の所かい?」
なんて言うから佐々木さんも驚いた。
まだ、そこは言って無いですからね。
佐々木「そうだよ。良く分かったね」
おっちゃん「たまにあるからね。教えてくれてありがとね」
そう言うと、何処かへ電話し始めた。
佐々木さんは、なんだろうなぁって思ったが、その日は気にせずにそのまま会社に帰った。
それからは暫くは何も起きずに、人影の事なんて忘れていたんですけどね。
長距離の移動を終え、23時を過ぎたあたり。
佐々木さん驚いた。
また、反対車線の壁側に歩いてる人影を見たんですよ。
そして、前回と同じく、料金所でその事を話した。
料金所のおっちゃんの行動は同じだった。
2回目ですからね。流石におかしいなぁって思ったけど、どうする事も出来ないですからね。気にしない事にしました。
そして、また、同じものを目撃するんです。
時刻は23時を過ぎたあたり。
料金所でまた、おっちゃんに言うんです。
佐々木「また、見たんだけど…。もう言わない方が良い?」
おっちゃん「いや、一応本当に人かも知れないから見掛けたら教えて欲しいなぁ」
すると、おっちゃんね。佐々木を食事に誘って来たんです。佐々木さんは、トラックを会社に置いた後ならって誘いに応じた。
その時にこんな噺を聞きました。
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まだ、携帯電話が流行る前。
高速道路を親子が走ってたんです。
祖父の家にお邪魔して、帰る所でした。
料金所を通ったのが23時を過ぎたあたり。
するとね。運転していた父親の具合が悪くなった。
何とか車を路肩に止めて、娘に非常電話で助けを呼ぶように頼んだ。
皆さんもご存知と思いますが、高速道路には、1kmごとに非常電話があります。
娘さんは非常電話は通り過ぎている事を思い出し、車を降りると来た道を戻ります。
目の前に非常電話が見える。
必死に走った。
もう少し、あと少し。
そんな時にね。
車が来て跳ねられてしまった。
相手の車。居眠り運転だった。
事故で警察が来た時には、父親も亡くなっていた。
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その事故が起きてから、あのあたりに人影の目撃者が出始めた。
佐々木さんは言ってました。
父親を助ける為、今でも娘さんは非常電話に急いでるのかなぁって。
俺が聞いたのは、こんな悲しく、切ないお噺でした。
作者蘭ユウジ
先輩である佐々木さんがまた違う噺を聞かせてくれました。