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深夜のテレビショッピング season2      (春の大謝恩祭)

長編10
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深夜のテレビショッピング season2      (春の大謝恩祭)

それは、草木も眠る丑三つ時のこと

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二人のならず者が、とある屋敷の寝室にいた

両人とも黒の目出し帽に黒の上下ジャージ姿で、

一人は痩せたノッポ、もう一人は小太りのチビだ

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寝室は10帖はありそうなくらい広く、中央に置かれたベッドは、楽に大人が3人は寝れそうなほどゴージャスだ

パジャマ姿の老人が仰向けで横たわっているが、両目を大きく見開き口からはだらりと舌を出している

どうやら、お亡くなりになられているようだ

壁の50インチの液晶テレビからは、能天気なショッピング番組が流れている

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チビの方がベッド横のカーペットに膝まずき、正面に立つノッポの胸ぐらを掴んで泣き叫んでいる

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「ゴメンよお、アニキ~

だって、このじじい、俺の姿を見た途端、大声出しそうになったから、つい、かっとなっちまって」

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ノッポがチビの手を払い、焦った様子で言う

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「バカ野郎!お前、殺っちまったのかよお」

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「アニキ~

俺、やっぱり打ち首獄門かなあ?

それとも、ギロチンかなあ?」

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「知るか!

お前のようなまぬけは、それくらいされないとダメなんだよ

そんなことより、お前がいらんことしたから、このじじいから銀行カードの暗証番号を聞き出すことが出来なくなっちまったじゃねえか

本当にお前って奴は、、、」

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そう言ってノッポは毛足の長いカーペットに胡座をかくと、忌々しげに頭をかきむしった

すると突然、壁のテレビから派手なマーチソングが聞こえ始めた

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画面には、大きな拍手と歓声に包まれながら、「りもーと一筋」と書かれたTシャツに金の法被を羽織ったMCのスマイル藤田と、フリルに飾られた黒のロリータファッションに身を包んだアシスタント、ゴスロリ花子が元気に登場してきた

二人はスタジオ中央に並び立つ

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「いやいやいやいや、花子ちゃん、いよいよ春本番ですが、春と言ったら何を思い浮かべますか?」

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藤田が花子に尋ねる

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「そうですねえ、わたし的には衣替えの季節なんですけどお、世の中的には就活じゃないでしょうかあ?」

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花子が舌足らずな口調で答える

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「確かにそうですねえ

もちろん『就活』は大事ですが、それ以上に大事なのは、死ぬための準備いわゆる『終活』というやつじゃないでしょうか?」

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「終活?

どうしてですか?」

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「それでは花子ちゃん、皆さん、こちらをご覧ください」

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藤田の言葉とともに、二人の背後にある大型画面に、ある映像が映りだした

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広々とした畳部屋の真ん中に布団が敷かれ、皺だらけの老人が仰向けに横たわっている

目を閉じて呆けたようにポッカリ口を開いている

その周囲を囲むように、正装した男女が正座し、何やら言い争いをしているようだ

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「現場のミカリーン!!」

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藤田が画面に声をかけた

すると画面の手前に、80年代聖子ちゃんカットに肩パットスーツの女性が現れ、

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「は〰️い!令和の松○聖子ことミカリンでーす

藤田さん、花子ちゃん、わたしは今、都内にあるSさんのご自宅にお邪魔しておりまーす!

すっごく大きなお家で、庭なんか体育館ぐらいあるんですよお

ミカリンも結婚したら、こんなお家に住みたいなあ」

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「このお家のご主人Sさんは、某水産加工会社の会長さんなんですが、2年ほど前に心臓の病気で倒れられて、それからはず~~っと、床に伏しておられたんですよお

でも~、と~っても悲しいことなんですけど~

たった今、息を引き取られたんですう

ミカリン、涙が止まりませ~ん

では早速、ご家族の皆さんにインタビューしてみましょう」

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と言うとミカリンは、老人の枕元に座る渋い着物姿の女性のところまで歩き、隣に正座する

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「こちらが、会長さんの奥様で~す

イエーイ、素敵なお着物でしょー

それでは、今のお気持ちを一言どうぞ」

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そう言ってミカリンが、白髪をきちんとまとめた上品そうな奥さんにマイクを向けると、

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「お気持ちも何もありませんよ

ほんと、この人、肝心なことを最後まで言わなかったし、遺書も書かなかったもんだから、子供たちはおろか、おかしな女性まで押し掛けてきて、もう私これからどうしたらいいのかって、、、」

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と目頭にハンカチをあてる

すると布団を囲む一団から少し離れたところに座っている真っ赤なボディコンで厚化粧の女性が、

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「おかしな女性なんて、失礼じゃないですか?

わたし、パパにはほんとお世話になって、今住んでるマンションの名義も、いずれわたしにするって約束してたんですよ」

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と言うと、会長の奥さんの右隣に座る、グレイのスーツ姿の気弱そうな中年男性が、

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「母さん、心配しなくていいよ、僕が腕利きの弁護士を紹介するから」

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と言って、奥さんの肩に優しく手を回す

どうやら、息子のようだ

すると迎いに座る白いスーツの痩せた初老の女性が、

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「タカシ、調子良いことばかりいうんじゃないよ

あんたがギャンブルで作った借金を父さんがどれだけ助太刀したと思ってるの?

だから今回あんたには一円も相続分無いと思ってなさいよ!」

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と言って男性を睨み付けた

男性の姉のようだ

彼は蛇に睨まれた何とかという様子で小さくなってしまった

すると今度は白いスーツの女性の隣に座る、薄いピンクのスーツ姿の小太りの中年女性が、

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「姉さんだって、去年、マンションの頭金、父さんから払ってもらったじゃない

私なんか、そんなこと、してもらったことないし、、、だから今回の相続は、私が一番もらう権利あるんじゃないの」

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と口を尖らせる

妹のようだ

すると、女性の隣に座る黒いスーツの男性が、

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「みっともないから止めろよ、ミナコ」

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と小声で言って、横目で睨む

妹の旦那だろう

すると、いきなり画面はミカリンの顔がアップになり、

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「もう現場は、ぐちゃぐちゃですう

やっぱり死ぬまでには、ちゃんとしとかないと、ダメみたいですね!

ミカリンでしたあ!」

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という言葉を最後に、スタジオ奥の画面は真っ暗になった

再びテレビ画面はスタジオの藤田に戻る

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「どうですか

先ほどのSさん家族の言い争いの原因は全て、Sさん本人が生前にきちんと終活をしてなかったからですよね」

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藤田の言葉に、隣に立つ花子が続ける

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「そうですよねえ、でもSさんが何もしてなかったのは今さらどうしようもないことですよね

だって『死人に口無し』だし」

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「花子ちゃん、良いこと言うねえ

『死人に口無し』

その通りなんです

ここを何とか出来ないのか

我々、考えに考えました

そこで今回、私どもテレビショッピングが自信を持ってご紹介する商品がこちらです

ではスタッフさん、お願いします」

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藤田の言葉とともにスタジオそでからは、まず白衣の男性、次に黒のスーツ姿のいかにも危ない系の男性、そして最後に、キャスター付きの担架が、スタッフに押されながら登場してきた

担架には何故か大きな白い布地がかぶせられている

スタジオ内が拍手と驚きの声に包まれた

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藤田がまず、白衣の男性を紹介する

長身で俳優の阿部○に少し似ていると言われたら、似ているかもしれない

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「皆様、こちらの男性は、町立歌舞伎町大学医学部の研究員、毒島かをるさんです」

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毒島が微笑しながら一礼する

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次に隣に立つ、黒のサングラスに黒のブランドスーツに身を包んだ、スキンヘッドの男性、、、

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「そしてその隣が、関西道○会系 任侠組若頭

権藤ツヨシさんです」

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権藤が無表情で一礼する

強面だ

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「それではスタッフさん、そちらの担架にかけられた布地を取ってください!」

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藤田が言うと、スタッフの若い女性が白い布地を外した

スタジオ内にどよめきや小さな悲鳴が起こる

担架には、ブリーフ一枚の初老の男性が横たわっていた

男性は角刈りでむさ苦しい無精髭を生やしており、でっぷりと腹が出ている

顔は血の気を失っていて、首には紫色のアザがくっきりある

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「あの、、、藤田さん、もしかしたら、この方、亡くなられているのでは」

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花子が恐る恐る尋ねると、藤田は明るく「はい!」と言い、続ける

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「その辺の事情は、任侠組若頭、権藤さんにお聞きしましょう

権藤さんは、この男性、ご存知なんですよね」

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権藤がドスの効いた声でしゃべり始めた

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「知っとるもなにも、こいつはな、うちの組の会計担当やったんや

もう前月の話や、組の上納金うん億円を、このボケが持ち逃げしよってな

そんで、わしら必死になって探しとって、ようやく昨日、あるアパートの一室で見つけたんやけど、このボケ、見ての通り、首吊っとったんや

そやから金の在りかが分からんでわしら、困っとるんや」

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「それはそれは、お困りでしょう

正に『死人になんとやら』ですね

そこで登場するのが、これからご紹介する商品『頑張れ死体くん』なんです

それでは、町立歌舞伎町大学医学部の上席研究員、毒島さん、ご説明お願いします」

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藤田の合図とともに、番組スタッフが白衣の毒島の前に、キャスター付きの台を手押しして持ってきた

台の上には銀のトレイが乗っており、ガラス製の小さな瓶が三個並べられている

瓶の中には、薄い黄色の液体が入っている

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毒島は爽やかに白い歯を見せながら、商品の説明を始めた

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「死んだ人間を蘇らせられないか?

テレビショッピングさんから私どもの研究室に常識外れの商品開発のご相談があったのは、今を遡る10年前のことでした

そんなことは神でもない限り不可能です

当時我々はそう言って、お断りしました

だったら、ほんの短い時間だけなら出来ないか?

テレビショッピングさんから新たなご相談を受けたとき、それだったら何とかなるかもと、我々は何度も何度も試行や実験を重ね、ようやく今回、何とか商品化出来たのが、この『頑張れ死体くん』なんです」

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説明を粗方終えた毒島は、トレイの小瓶を一つ取り上げ、スタッフから注射器を受け取ると、注射器に瓶内の薄い黄色の液体を注入する

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「この薬剤は、人間の脳にダイレクトに作用して、一時的に再起動させることが出来るんです」

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そう言って毒島は、担架の傍らまで歩くと、横たわる男性の首筋に注射をした

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シンと静まり返るスタジオ

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5分ほどが経過した時だ

ピクリと男性の身体が痙攣する

観客席から小さなどよめきが起こった

それから幾度か痙攣は続くと、最後、男性はぱっちりと瞳を開いた

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おお!

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観客席から驚きの声が沸き起こる

男性は片手で頭を押さえて呻き声を上げながら、ゆっくりと起き上がった

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驚きの声と歓声がスタジオ内を入り交じり起こった

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「素晴らしい、皆さんご覧下さい!

先ほどまで亡くなられていた方が、亡くなられていた方が私たちの面前で自ら起き上がりましたあ!

これは、これは正に奇跡です!」

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藤田が驚きの声を上げると、スタジオは割れんばかりの歓声と拍手に包まれた

すると権藤が男性の元に駆け寄ると、

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「おい!古田!貴様、わしらの、わしらの金はどこやったんや!」

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と詰め寄る

男性はしばらく怯えるような目で権藤を見つめていたが、やがて口を開いた

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「か、、、かね、、、かねは、、、ちあき、、、

ちあきが、、、」

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男性の言葉を聞いた途端、権藤の顔は一気に紅潮し、怒りに満ちたものに豹変した

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「ちあき、ちあきやと~~~

貴様、金だけでは飽きたらず、わしのスケにまで手をだしとったんかい!!!」

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次の瞬間、スタジオ内に乾いた破裂音が鳴り響いた

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shake

─パッアアアン!

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耳をつんざくような悲鳴と怒号が沸き起こる中、拳銃を持った権藤はスタッフ総掛かりで取り押さえられ、あっという間に画面から姿を消した

額に穴の空いた男性の遺体も一緒に、、、

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画面は突然ブラックアウトし、しばらく下方に「少々お待ち下さい」のテロップが流れた後、

再び画面には、スタジオの中央に立つ藤田と花子の姿が映し出される

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「し、視聴者の皆様、先ほどはお見苦しい場面をお見せいたしましたこと、深くお詫びいたします

そ、それでは商品のお値段をご説明したいと思います

じゃあ、花子ちゃん、よ、よろしく」

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「は、、はい

ゾンビもびっくり奇跡の薬『頑張れ死体くん』は、ショート、ノーマル、ロングの三種類です

ショートはおよそ3分、ノーマルは5分、ロングはなんと10分間もの間、あなたの大事な人を蘇らせます

どれにするかは、それぞれのご家族の事情に合わせて、お決めください」

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「これで貴方の家族内の醜い相続争いは一挙に解決するでしょう!

タンス預金の隠し場所が分からずお困りの奥様から年金の不正受給をされている方、はたまた未解決の連続殺人事件に頭を悩ます警察関係の方々などにも一役買うこと間違いなしです」

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「さてそれでは、気になるお値段ですが、

蘇生時間が3分のショートは10万円、5分のノーマルは20万円、そして最も長い10分のロングは50万円となっております

もちろん分割もオーケーです

しかもこれより30分以内にご注文をいただきました方にはもれなくスペシャルプレゼントとして、永遠のアイドル松○聖子ちゃん待望の新曲『黒い珊瑚礁』のメイキングDVDをお付けしまーす!」

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寝室の大型テレビに釘付けになっていたチビが言った

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「わあ、聖子ちゃんかあ、なあ、アニキ~これ良いなあ

これ欲しいわあ、買おうぜえ」

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「バカ野郎!商品着くまでここで待ってるのかよ

その間に俺たち捕まっちまうじゃねえか!」

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ノッポがそう言って、チビの後頭部を叩く

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だが残念ながら、屋敷の周囲はすでに警察官に包囲されていた

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Fin

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Presented by Nekojiro

Concrete
コメント怖い
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@ふたば 様
怖いポチありがとうございます
おお!そうだったんですね
タグで纏めるという方法だと簡単に過去作を集められますね
早速、使わせてもらいます
アドバイスありがとうございます!

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@蘭ユウジ 様
コメントありがとうございます
隠れ、、、ですかwww
また不定期ですがアップしますので、よろしくお願いいたします

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実は、このシリーズの隠れファンでした。
以前は会員登録して無かったので怖いポチれ無いわ、コメントも不可でした。期待してます。

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@アンソニー 様
いつも読んでいただき、コメントまでありがとうございます
このシリーズ、すでに8作めになります
また不定期にアップしますので、お時間あれば、読んでいただけたら、と思います

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@むぅ 様
いつもコメント、怖いポチをありがとうございます
またオンエアをスタートしてしまいましたwww
楽しみにしていただく方が一人でもいてくださることは、書く者として本当に嬉しいことです
元々、この作品、ちょっとした悪ふざけで投稿したのが始まりだったのですが、意外と反響がありまして、いつの間にかシリーズ化してしまいました次第です
不定期になりますが、また投稿しますので、お時間あるときは読んでみてください

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