白いティーシャツとジーパン姿の男性

中編3
  • 表示切替
  • 使い方

白いティーシャツとジーパン姿の男性

私は今年26歳になる、

ごくありふれた独身女性です。

現在は実家で、両親と一緒に暮らしてます。

実家はかなり田舎で、

近くにコンビニもありません。

ですので、仕事が休みのときは、

隣県の賑やかな街に出掛けたりしてます。

wallpaper:4302

nextpage

 この間の休みの日も、

一人でぶらっと遊びに出掛けました 

ネットとかでチェックしたオシャレなカフェで

コーヒーを飲んだり、ブティックで洋服とかを

見たりしてました。

wallpaper:939

 あちらこちら歩いていると、いつの間にか道に迷ってしまったようで、

あ、どうしよう、と、

人通りの少ない路上で一人途方にくれてました。 

すると、

白いティーシャツにジーパン姿の男性が

前から歩いてきてます。 

年齢も私とあまり違わないようでした。 

wallpaper:4382

separator

 彼は右肩に

かなり大きめな黒のトートバッグをかけ、

ゆっくりとした足取りで歩いていました。

私は勇気を出して、彼に声をかけました。

「あの、すみません」

男性は少し驚いた様子で、私を見ました。

「道に迷ってしまったみたいなんです。

大通りに出るには、

どう行ったらいいんでしょうか?」

私は少しどきどきしながら、

一気にしゃべりました。

男性は少し微笑みながら、

丁寧に道を教えてくれました。

私はしっかりとお辞儀をすると、

その道をたどるように歩き始めました。 

爽やかでとても素敵な男性だったので、

何かきっかけでも、と思ったりもしたのですが、

躊躇していました。

というのは、

彼に近づき道を聞いているあいだ、

何というか、生ゴミのような

悪臭が漂っていたのです。

separator

 私は男性から言われたとおりに、

狭い道を歩きました。 

そして次の角を曲がろう、としたときでした。

nextpage

 あまり周囲を見ていなかったからか、

私は曲がり角から出てきた通行人に

まともにぶつかってしまったのです。 

その拍子でその方はよろめき、

肩にかけていた大きめのトートバッグを

道に落としたのです。

「あ……す、すみません」

私がそう言ってその方を見ると、

それは先ほどの男性でした。 

彼が慌てて

トートバッグからぶちまけられた

モノを拾おう、としてたので、

私も一緒になって拾おうと、

落ちたモノの方を見た瞬間、

私の背中に冷たいものが

電気のように走りました。

separator

 それはビニールに入れられていたのですが、

間違いなく人間の手首や足先で、

道路脇まで転んでいったのは、

紛れもない人の首だったのです。

たまたま通りかかった女性の悲鳴で、

辺りは騒然となり、

男性と私の周りに小さな人だかりができました。 

男性は通報され、

近くの派出所から来た警察官に

連れて行かれました。

nextpage

wallpaper:10

 後から聞いた話では、

男性は近くのアパートに住む者で、

ある女性と同棲していたのですが、

痴話ケンカが発展し激情にかられ、

彼女の首を絞めて殺してしまったそうです。 

その後、

バスルームで彼女の遺体をバラバラにし、

押し入れに隠していたのですが、

悪臭に耐えきれず、とうとう、

トートバッグに入れて、

捨て場所を探しに歩き回っていたそうです。

Normal
コメント怖い
5
18
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信

もちろん創作ですが、近頃東京であったバラバラ事件をピントにしてます

返信
表示
ネタバレ注意
返信