俺の友人にバイク好きな方が居ましてね。
その方、仮にSさんとしておきましょうか。
Sさんのバイク仲間にAさんって方がいらっしゃるそうで、そのAさんから聞いた話しだそうです。
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Aさんの後輩のB君もバイクが好きで、ようやく、中型免許が取れた時に、練習も兼ねてある峠道に行きました。
その峠道ね。バイクの初心者が峠道を練習するのに、丁度良い場所らしく、その上、頂上の夜景が綺麗な事もあり、バイク好きにはちょっとしたスポットだったのです。
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行きはベテランライダーのAさんが先頭を走り、免許取りたてのB君が後について走って無事に頂上に着きました。
野郎二人で来るには、微妙だねぇなんて。話してて、そろそろ帰ろうかってなった時に、Aさんが言いました。
A「ここは割と傾斜も緩やかだけど、帰りはスピード出過ぎて危ないカーブある。だから、今度は俺がケツ走るから、Bがスピード出過ぎてたらクラクション鳴らす。そうしたらスピード下げろよ」
B「分かりました」
こうして帰り道のツーリングが始まりました。
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何事も無く、順調に走ってたのですが、急にB君がスピードを上げ始めました。
慌ててAさんもスピード上げたのですが、もうすぐ、例のカーブに近づいて来ましてね。
Aさんも分かるんですよ。
何回かその道走ってますからね。
そろそろ減速しないと危ない。
慌ててクラクションを鳴らしました。
B君気付いたんでしょうね。減速してくれました。
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無事にカーブも曲がり、後は一本道でAさんも一安心しました。暫くしたらねB君、また急にスピード上げたのです。
Aさん、おかしいと思いましたが、離れるわけにもいかないので、スピードを上げました。
暫く走るとコンビニが見えましてね。
Aさん再びクラクションを鳴らして、B君に減速する様に合図出しました。
そうしたら、B君スピードを下げましてね。AさんがB君を追い抜き、コンビニに向かいました。B君も後に続きます。
先にAさんがコンビニの駐車場にバイクを停め、メットを脱ぎます。
B君も続いてバイクをAさんの隣停めた所で、AさんがB君に駆け寄りました。
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そうすると、B君。顔が真っ青。
A「B、お前、どうしたんだよ。あんな所でスピード上げたら危ないだろ」
B「先輩、俺たちの他にバイク居ましたっけ?」
A「んな訳ねーだろ。俺たちだけだったろ?」
B「ですよね…」
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ここからはB君の話しです。
1度目にB君がスピード上げた時に、B君の真横にバイクが居たらしいのです。もちろん、後ろを走っていたAさんは見ていません。
バイクで走って居たにもかかわらず、耳元で何かブツブツと聞こえました。
何を言ってるか分かりません。
しかも、そのバイクをチラ見すると、何かがおかしいんです。
男女の2人乗りで、運転してる、男性は長袖なのに、後の女性は半袖の白いワンピース姿をしていました。バイクを乗る人なら分かるのですが、転倒の可能性。それから、バイクは特に風を受けますからね。夏であっても、バイクに乗る人間は長袖着用は基本なのですよ。その常識から逸脱した彼等を怖くなったB君がスピード上げました。
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Aさんクラクションに気付いたB君がスピード下げまして、暫く走って居た時です。
また、先程のバイクが現れましてね。
後の女性が男性の頭をヘルメットごと持ち上げ、B君に顔向けて言ったのです。
「お前もあそこで転ければ良かったのに」
B君怖くなってまた、スピード上げました。
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Aさんは何回かこんな峠道に来ているのに、そんな体験は1度もした事はありませんでした。
例のカーブでの転倒は経験して居たので、タイミングは分かっては居ただけです。
Aさんはとりあえず、B君を連れてコンビニに入りました。
B君の様子を見た店員さんに、事情を聞かれたので、B君に起きた事を話したら、その店員さん。話してくれました。何年か前に、例のカーブを曲がり切れず、転倒したカップルが居まして、女性は頭を打ってほぼ即死。
男性の方はガードレールて首が切れてしまう悲惨な事故があったのです。
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AさんとB君。コンビニを出た後、峠道に向かって手を合わせました。
作者蘭ユウジ
この話しは冒頭の通り、Sさんから聞いた話しです。
読んで下さった皆様ありがとうございました。
この話し、少し後日談的なものが有ります。時間あれば、そちらも書きたいと思ってます。