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Sさんの語り1(首無しライダー)

中編3
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Sさんの語り1(首無しライダー)

俺の友人にバイク好きな方が居ましてね。

その方、仮にSさんとしておきましょうか。

Sさんのバイク仲間にAさんって方がいらっしゃるそうで、そのAさんから聞いた話しだそうです。

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Aさんの後輩のB君もバイクが好きで、ようやく、中型免許が取れた時に、練習も兼ねてある峠道に行きました。

その峠道ね。バイクの初心者が峠道を練習するのに、丁度良い場所らしく、その上、頂上の夜景が綺麗な事もあり、バイク好きにはちょっとしたスポットだったのです。

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行きはベテランライダーのAさんが先頭を走り、免許取りたてのB君が後について走って無事に頂上に着きました。

野郎二人で来るには、微妙だねぇなんて。話してて、そろそろ帰ろうかってなった時に、Aさんが言いました。

A「ここは割と傾斜も緩やかだけど、帰りはスピード出過ぎて危ないカーブある。だから、今度は俺がケツ走るから、Bがスピード出過ぎてたらクラクション鳴らす。そうしたらスピード下げろよ」

B「分かりました」

こうして帰り道のツーリングが始まりました。

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何事も無く、順調に走ってたのですが、急にB君がスピードを上げ始めました。

慌ててAさんもスピード上げたのですが、もうすぐ、例のカーブに近づいて来ましてね。

Aさんも分かるんですよ。

何回かその道走ってますからね。

そろそろ減速しないと危ない。

慌ててクラクションを鳴らしました。

B君気付いたんでしょうね。減速してくれました。

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無事にカーブも曲がり、後は一本道でAさんも一安心しました。暫くしたらねB君、また急にスピード上げたのです。

Aさん、おかしいと思いましたが、離れるわけにもいかないので、スピードを上げました。

暫く走るとコンビニが見えましてね。

Aさん再びクラクションを鳴らして、B君に減速する様に合図出しました。

そうしたら、B君スピードを下げましてね。AさんがB君を追い抜き、コンビニに向かいました。B君も後に続きます。

先にAさんがコンビニの駐車場にバイクを停め、メットを脱ぎます。

B君も続いてバイクをAさんの隣停めた所で、AさんがB君に駆け寄りました。

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そうすると、B君。顔が真っ青。

A「B、お前、どうしたんだよ。あんな所でスピード上げたら危ないだろ」

B「先輩、俺たちの他にバイク居ましたっけ?」

A「んな訳ねーだろ。俺たちだけだったろ?」

B「ですよね…」

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ここからはB君の話しです。

1度目にB君がスピード上げた時に、B君の真横にバイクが居たらしいのです。もちろん、後ろを走っていたAさんは見ていません。

バイクで走って居たにもかかわらず、耳元で何かブツブツと聞こえました。

何を言ってるか分かりません。

しかも、そのバイクをチラ見すると、何かがおかしいんです。

男女の2人乗りで、運転してる、男性は長袖なのに、後の女性は半袖の白いワンピース姿をしていました。バイクを乗る人なら分かるのですが、転倒の可能性。それから、バイクは特に風を受けますからね。夏であっても、バイクに乗る人間は長袖着用は基本なのですよ。その常識から逸脱した彼等を怖くなったB君がスピード上げました。

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Aさんクラクションに気付いたB君がスピード下げまして、暫く走って居た時です。

また、先程のバイクが現れましてね。

後の女性が男性の頭をヘルメットごと持ち上げ、B君に顔向けて言ったのです。

「お前もあそこで転ければ良かったのに」

B君怖くなってまた、スピード上げました。

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Aさんは何回かこんな峠道に来ているのに、そんな体験は1度もした事はありませんでした。

例のカーブでの転倒は経験して居たので、タイミングは分かっては居ただけです。

Aさんはとりあえず、B君を連れてコンビニに入りました。

B君の様子を見た店員さんに、事情を聞かれたので、B君に起きた事を話したら、その店員さん。話してくれました。何年か前に、例のカーブを曲がり切れず、転倒したカップルが居まして、女性は頭を打ってほぼ即死。

男性の方はガードレールて首が切れてしまう悲惨な事故があったのです。

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AさんとB君。コンビニを出た後、峠道に向かって手を合わせました。

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