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短編2
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こつこつ

小学校高学年の時に体験した話だ。

その日は休日で、家族でドライブした帰りだった。

走行中、なんの気無しに交差点の電柱に目が止まった。

行きには気がつかなかったが、そこには花束となにか赤い物が置いてあった。

事故でもあったところなのかと、特に気にもとめなかった。

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夜になり、遊びの疲れもあってか、とても眠かった。

自分の1人部屋にいき、いつものように部屋の真ん中に布団を敷き、すぐに眠りについた。

深夜、目が覚めて、肌寒さを感じた。

足元よりも下に布団がずれてしまっている。

上半身を起こして手を伸ばし、布団をとって戻ろうとした。

その時だった。

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目の前に、赤いハイヒールを履いた青白い脚が、天井からだらんとぶら下がっている。

訳もわからず、とにかく布団を被り、目を堅くつぶった。

しかし、その瞬間から、こつこつと音がする。

自分の布団の周りをこつこつと音を立てながら、誰かが歩いている。

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さっき見た赤いハイヒールの足音としか、思えない。

だんだんその足音はゆっくりになり、すすり泣くような女の声が聞こえる。

気のせいだと思いたいが、思えない。

気絶したいがそれもできない。

電柱のことを思い出し、恐怖が増していく。

あの赤い物って、この女のハイヒールだったのか。

もう頼むからやめてほしい、どっかいってほしいと、心の中で祈った。

だが、こつこつという足音とすすり泣く声がずっと続いた。

2.3時間経っただろうか、足音とすすり泣く音はようやく止んだ。

しばらくして、朝のアラームが鳴り、起きた。

母に深夜あった出来事を話した。

悪夢でもみたんだろうと取り合ってくれない。

なんとか説得して、昨日見た電柱のところまで、車で連れて行ってもらった。

だが、その電柱にも周辺にも花束も赤い物も何もなかった。

赤いハイヒールの女は、あの時、小学生の私に何を伝えたかったのだろうか。

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