中編3
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窓を開けて

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これは、後輩の女の子が学生時代に体験したお話です。

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彼女は大学入学を機に地方から上京し、3階建てアパートの3階の部屋を借りて住んでいました。なんということはないワンルームの部屋でしたが、日当たりがよく、大学からも近いことからとても気に入っていたそうです。

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それは部屋を借り始めてから1年ほど経った梅雨時。ジメジメとして妙に寝苦しい夜のこと。彼女は夢をみました。

どこか知らない部屋のベットに横たわっていて、その右側にはカーテンが掛かった窓があったそうです。

するとその窓に、人影が写り、小さな声で「お姉ちゃん、ここ開けて」と聞こえてきました。どうやら小学生くらいの女の子のようです。

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(開けてあげなきゃ…)と思ったところで彼女は目が覚めました。

夢だと気付き、改めて寝ようとすると、コツンと、小石が当たったような音が聞こえた気がしました。音は、夢と同じくベッドの右側にある窓の方からです。

なんだろうとは思いながらも、気のせいだろうとその日は何事もなく、朝まで眠りました。

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次の日の夜。彼女はまた同じ夢をみました。

知らない部屋のベットに横たわっていて、右側にはカーテンが掛かった窓。そして女の子の影がスッと写り、「お姉ちゃん、ここ開けて、ここ開けて」と聞こえてくる。

(開けなきゃ…)と思ったところで、目が覚めるのです。

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また昨日と同じ夢。なんだろうと不思議に思っていると、コンコンと、何かが窓を叩く音が、はっきりと聞こえました。

ドキッとする彼女。まさか空き巣かとも思いましたが、ここは3階。窓の先にはベランダもありません。カーテンを開けて確認する勇気はなく、布団をかぶり音は気のせいだと自分に言い聞かせているうちに、いつの間にか眠ってしまいました。

朝、目が覚めて、恐る恐るカーテンを開けてみるも特に異常はなし。やっぱり気のせいだったんだと自分を納得させました。

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しかし夜、彼女は三度同じ夢をみます。

知らない部屋、横たわっている自分、右側にあるカーテンが掛かった窓と、小さな女の子の影。「お姉ちゃん、開けて、ここ開けて、ここ開けて」と聞こえてくるのまで一緒です。

(今日こそは開けてあげなきゃ…)と思ったところで、彼女は目を覚ましました。一体この夢はなんなのだろう、いちど誰かに相談してみようかと思いながら再び眠ろうとした時、

shake

バン!と、窓を激しく叩く音が聞こえてきました。

shake

shake

shake

バン!バン!バン!バン!バン!…。何度も何度も、それは、間違いなく手の平で窓を叩く音に聞こえたそうです。

パニックになった彼女は頭から布団をかぶり、ガタガタと震えながら(どうしよう!どうしよう!神様、助けて…)と念じていました。するとフッと音が止み、部屋が静かになりました。こわごわと布団から顔を出す彼女。ホッとした時、

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「開けろって言ってんだろ」

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という、女の子のような野太い男のような声が耳元で聞こえ、意識を失いました。気が付くと朝になっていたそうです。

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彼女はすぐにその部屋を引き払い、別のアパートに引っ越しました。

その後は今に至るまで怪現象には遭っていないそうです。

ソレはいったいなんだったのか。今も窓を開けてくれる人を探して、どこかをさまよっているのでしょうか……。

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