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中編3
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霊感の強いS君

S君はいわゆる見える人である。

昔からある程度先の未来が見えたり人の寿命がわかったりするらしい。例えばこんな事があったそうだ。

小学生の頃、学校の運動会のリレーに出場した時、保護者席の方を見てみると転校していった友達がいたのだそうだ。S君いわく転校すると言われた時点で彼はもう死ぬんだとわかったらしい。事実、運動会の翌日のホームルームで担任から友達の死が告げられた。転校ではなく病気の治療のための入院だったが本人の希望で隠される事になったらしい。

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「一番仲が良かった僕に最後に会いに来てくれたんだと思う」

ただ僕自身彼が言っていた事を全て真に受けていたわけではなく受け話をしていると思ってかまをかけた事があった。

「S君に質問。S君に教えてない俺の個人情報を今この場で言える?」

S君は僕の目をしばらく見た後

「家庭の事情に踏みいるようで聞き辛かったんだけど良い機会だから聞くよ。きみは長男なの?それとも次男なの?なにか事情があるんじゃない?君の今のお母さんは本当のお母さん?」

聞いていて言葉をなくした。なんで彼が僕の家の事情を知ってるんだ?

「子どもの頃から大正時代の服を着た男の人が不定期で会いに来てるよね。いつも笑ってる人。安心してその人は君が前世でお世話になった人で悪意はないよ」

それらを言い当てられてから彼の話を疑う事はなくなった。

そんなS君が語ってくれた話しで忘れられない物がある

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S君が小学生の頃、学校の帰り道で階段にすわっている自分と同い年位の女の子がいた。一目見ただけでもう死んでいる子だとわかったという。普段はそんな事はしないのにその時はなぜか話しかけたそうだ。女の子は最初かなり驚いたらしいが話している内にすぐ仲良くなれたという。やはり女の子は病気で既に亡くなっているらしい。

それ以来S君は学校の帰り道や休日に女の子の元に行き一緒に遊ぶようになったという。

しかし女の子の元に通う内に両親から誰と遊んでいるのか効かれて返答に困るようになったという。まさか死んだ女の子と遊んでいるなどと言えるわけもなくS君は女の子の元に行くのをやめてしまった。女の子の元に行かなくなって10日程たった頃S君が女の子の元に行くと女の子は泣いていた。女の子を傷つけてしまったと思った彼は女の子が泣き続けても必死で謝り続けたという。

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その次の日S君に原因不明の高熱がでた。

医者からは今夜が山だと言われたらしい。

高熱にうなされながら見た夢に女の子が出てきた。

「君を裏切ってごめん。君を傷つけるつもりはなかった。」S君はそう言うと「会いに来てくれなくて寂しかった。ずっと一緒にいたい」女の子はそう言った「君を一人にはしない」S君はそう答えたという。

その後、熱は下がり両親から聞いた話しによると彼は意識を失っている間「君を守れて良かった」そんな事をぼやいていたらしい。

それからしばらくたっても女の子が現れなかった事でS君にある疑問が浮かぶ。

女の子はS君の夢の中に入って会話をしに来た。しかし両親はS君がうわ言のように言葉を

発していたと言う。

女の子はどこから話しかけていたんだ?

彼女は今どこにいるんだ。

ある想像が膨らむと共にS君の体に鳥肌が走る。深呼吸した後、鏡を見てみる。

鏡の彼は笑っていた。氷のような冷たい笑顔に見えた。自分はこんなに恐怖しているのになぜ鏡の中の自分は笑っているんだ。

鏡の中の中のS君は言った。

「これでずっと一緒だよ」

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「それから女の子とずっと一緒にいるの?」

「うん。でもこれは仕方ないよ」

S君いわく彼と彼女は見えない道で繋がっていてお払い等をしたとしてもまた元に戻ってしまうのだそうだ。

「こればっかりはどうにもならないよ。」

そう薄ら笑いを浮かべる彼の笑顔は氷のように冷たく見えた。

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