短編2
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金縛り

自分は昔から重い金縛りに悩まされている。

精神的なストレスや体の疲れでなる場合が半分だがもう半分の場合、要は出てきちゃった時の経験も多い。

ある時は顔面火傷だらけのおじさんの顔をわしづかみしちゃったり日本人形が枕元に立っていたり…そして同じような事が昨日も起こった

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昨日就寝に入ったのは夜中の3時頃。

友人と電話で話し込んですっかり遅くなってしまったのだ。連勤の疲れもあってか体はかなり重い。1時間程した頃だっただろうか。

ツーーーーーツーーーーー

深夜の放送休止中に誰もが聞いた事があるであろう信号音が聞こえる。

「変だなテレビなんかつけっぱなしで寝たかな」

確認をするため起きようとしたが体が全く動かない。「こんな時にいつもの奴かよ」

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しかしその時自分のお腹の上になにかが乗っている違和感に気づいた。

「いる」

少し話しを脱線させると自然界では肉食と草食という関係がありだからこそ草食動物は刈られる物の本能として危険を察知し生き残るための行動を起こす本能を生まれながらに持っている。この感覚は本来人間には備わっていない物なのだ。しかし人間にも同じ危険感知能力が働く場合がある。それが昨日の自分だった。

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「ヤバい。こいつとは目を合わせたらあかん」

目を開けまいと必死で目を瞑り続ける。なぜか大きくなっていくテレビの信号音。

同じくように大きくなっていお腹の上の気配。「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい」

圧力に負けてとうとう目を開けてしまった。

お腹の上に乗っていたのは下半身がない小学生くらいの男の子…見た目はさしずめ呪怨にでてきた年男くんのようだ。

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「しっかり目があってしもた」

年男くんはというと小さく口を開けてなにかをはっし続けている。ずっと聞いているうちに気がついた。

「この信号音テレビの音やと思ってたけど違うわ。こいつが発してた音やったんや」

そう気づいた間にも年男くんの圧力はどんどん強くなっていく。「ヤバい胸が苦しい。息ができない」年男くんが僕の顔に近づいていく中で僕は意識を失った。

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そして朝が来た。昨日の事もあり意識はぼーっとしている。昨日の事は夢をだったと思いたいけどお腹の上にはのられていた感触がしっかり残っていた。

ここ数年で一番きつかった金縛り体験になったのだった…

Concrete
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