中編3
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ミタナ?

あの頃は若かった。

学校から帰ってきたら

一人で卓球場に向かい

400円払って

一人でサーブ練習に明け暮れたものだ。

だが、やはり一人だと集中力が続かないもので

飽きるんだよな。

そんなときは・・・

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自動販売機でスポーツドリンクを買って

一気に飲み干す。

まあ冷たいので

そんなに飲めないが

ゆっくり慌てずに

一人、冷たさによる

歯の痛みに耐えながら

愚痴をこぼしたものだ。

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少し飲み過ぎたらしい

トイレに行きたくなった

ここのトイレはちょっと暗い

ずっと小便器の水が止まっていなかったり

自動化もいいけど

水の料金がもったいないなと

つくづく思う

スリッパを履いて

あ、そうそう

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体育館のスリッパは

運動靴をわざわざ脱がなくても

幅が広いから履けるんだ

この快適さはやはり

運動をやっている人しか

あまり伝わらないが

まあいいや

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ペットボトルを

目線の高さくらいにある

平べったい場所に置いて

用を足す

まあ、ここで

いつも思い出すんだけど

世の中ってごっつい狭いんだなって

思うわけだ

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目の前のペットボトル

じーっと眺めて

アフリカでも

ブラジルでも

同じことしてるのかなーって

100年前、200年前も

同じ感じだったのかなーって

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世界は時代はリフレインしてるんだな

そうゆっくりジッパーを閉じた

くるりと振り返ると誰もいない

当たり前だ

だって、一人で来ているんだから

連れションとかするんだろうな、普通

手を洗って外に出た

「ふう」とため息

2,3歩進んで気づいた

「あ、ペットボトル」

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取りに行こうと

またトイレに目をやると

誰かいる

身長130cmくらいの子供だ

服も着ていない、裸体の男の子だ

「あれ、居たっけ?」

よく見ると

僕のペットボトル飲んでる?

「え?え?え?」

子供が僕のスポーツドリンク飲んでる?

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「ちょっと、ちょっと!」

そう僕が言うと、

その男の子はびっくりして

急いで大便器の方に駆け込んで

「バン」

と勢いよく閉めた。

What's? ホワーッツ???

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ナニがオコッタカヨクワカラナイヨ、ママ

おそるおそるペットボトルを見ると

蓋が開いており

中がほとんどこぼれていた

幻覚?錯覚?飲み会の疲れ?徹夜気味?

様々な理由がこみ上げてきた

そして、たどり着いた答え

もうこれしかないんじゃないか

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妖怪だ

座敷童だ

河童ではないだろう

急に電気がぱっと付いた

ゆっくりゆっくりドアの方を見た

すると、ドアから何か目のようなものが

きらりと光った

あ、何か居る。

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心臓がバクバクなった

超臨界流体になってしまう水蒸気

インディーズバンドで知らない人と分かち合う一体感

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瞬きせず

ペットボトルを拾い

口の方を持って

武器にした

ドアノブを持って

そっと引っ張った

だけど、そこには誰も居なかった

おかしい

何かがおかしい

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後ろ!

いない

横!

いない

え?なんで

と思ったとき

「ここだよ~。」

声がしたので

ふと上を見ると、居た。

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ここから先は覚えていない

何か160kmくらいの野球の球が

顔面に当たったくらいの痛み?

僕はその日、鼻を骨折した

鼻血がすごい出ていたことを覚えている

殴られた?

蹴られた?

いや、そんなんじゃない

そう断言はできる。

あのトイレに何かいる。それだけは確かだ

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@発狂ほうき そうですね。今も、自動販売機でスポーツドリンクを買うたびに思い出してしまいます。

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見た罰として怪我させられたのでしょうか...?
見てはいけないものだったのですね

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