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私が小学生の頃の話です。
帰り道に通る砂利道の駐車場。
時々砂利に紛れて可愛いビーズが落ちている事があり私はそこの駐車場を通るのが毎日楽しみになっていました。
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ある日私はいつもの様に駐車場でキラキラしたビーズを拾っていました、
ちょっとトイレに行きたいな。
そんな気はしてましたが次から次へと可愛いビーズがみつかるので私は尿意を我慢していました。
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子供は何かに夢中になると自分の尿意さえ無視しようとしてしまうもの、
流石に限界が近いと思い立ち上がった時、
もうすでに尿意は限界になっていて……
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私はいけない事だとわかりつつ、駐車場の隅の車の脇で下着を下ろしました。
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愚かな私は下着を汚さずに済んだという安心感であまり周りを見ていませんでした。
ティッシュをポケットから出して拭こうとした瞬間、
男性が一人私を見ていました。
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子供の浅知恵です。
サッと下半身を拭いてスカートの下で下着をあげ、ビーズを探しているフリを私はしました。
男性は何も言わず私を見ています。
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怒られる、恥ずかしい、お母さんに報告されちゃうかも……
私は頭の中でぐるぐると思いを巡らせてさりげなく駐車場を立ち去ろうとしました。
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あれもう帰るの?
可愛いビーズ探しは終わりかな?
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男性は、私の行為など見ていなかったかの様に優しい声で話しかけてきました。
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見られていなかった、よかったと私は思い、
うん、もうないから帰る。
と言おうとした瞬間、
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突然距離を詰めてきた男性にグッと腕を掴まれました。
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見てたよ。
いいの?あんなところでオシッコして。
お母さんがいいって言ったの?
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さっきとは違う低い私を脅す声でした、
私は声を失い男性を見上げると
かれはニコリと笑い、
ウチにおいでよ、お菓子も、漫画もあるからさ
と言いました。
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目の前の得体の知れない大人の機嫌を損ねてはいけない。
私は怖くなり、逃げる勇気さえ出ず、駐車場脇の一人暮らし用の汚い
アパートの一室に連れ込まれました。
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部屋の中はロリコン雑誌、卑猥な漫画や同人誌がゴミと一緒に山積みになっていて当時私はニュースで散々みていた「宮崎勤」の事を思い出しました。
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おとこは私にオレンジジュースを出してくれ、汚いベッドに座り、私を膝に乗せ、セーラームーンが犯されて殺されていくどぎつい同人誌を見せてきました。
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自分の背中に何かが当たる感触が、
目の前にひろがる漫画の世界に使われる恐ろしいものだと理解して私は声を殺して泣いていました。
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夕方までに帰らないとお母さんに叩かれる、お母さんが怖い、
帰りたいです、と泣いて訴え続け
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私は奇跡的に部屋から出してもらいました、
また遊びに来てくれないとおしっこの事お母さんに言うからねと囁かれ、
狂った様に頷いて逃げました。
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母からは遅い帰宅を叱られましたが、なんとなく知らない人の家に連れ込まれた事は話せませんでした。
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あれからすぐ近くの駅に引っ越しが決まりあの駐車場も通らないで済むようになりました。
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彼はまだあの駐車場に素敵なビーズを撒いて、
次の獲物を狙っているのでしょうか。
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「宮崎勤」
その被害者には誰がなってもおかしくなかった。
私も、
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貴女も。
作者黒木