意味怖 「死を呼ぶチューナー」

短編2
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意味怖 「死を呼ぶチューナー」

寒さも本格的になってきた12月下旬のある日。

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M華「ねー、T也君。T也君て機械に強い?」

T也「え?どうしたん?何で?」

楽器の準備中にM華に話しかけられた。

M華はトロンボーンを担当している吹奏楽部員。

ちなみに、俺の担当はバリトンサックス。

M華「このチューナー見てくれない?壊れたのかわかんないんだけど、どの音吹いても【レ】【ミ】【ラ】になってチューニングできないんだよ。電池抜いてもダメでさ。」

というと、M華は試しに【ファ】や【シ】の音を吹いた。

するとチューナーはM華の言うように【レ】【ミ】【ラ】の三音を行ったり来たりしている。

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楽器は、温度によって音が高くなったり低くなったりすることがある。

しかし明らかに他の音を反映することは、よっぽどのことがない限りありえない...

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と思う。

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T也「貸してみ」

M華からチューナーを受け取り、バリトンサックスで【ファ】を吹いた。

するとM華同様【レ】【ミ】【ラ】の三音を行ったり来たりした。

「ね?おかしいでしょw」とM華は苦笑する。

確かにおかしい。

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『困ったときはリセットしてみればいい』みたいなことを、なんかの映画でド〇ェイン・ジョン〇ンが言っていたのを思い出し、チューナーのリセットボタンを押した。

再度確認のため、俺はバリトンサックスで【ファ】を吹く。

するとチューナーは正常に【ファ】を表示した。

T也「オッケー、直ったよ」

俺はチューナーをM華に返した。

M華「ありがとう!やっぱり男子は機械に強いねw」

そういうと、M華はパート練習のため振り分けられた教室へと戻っていった。

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練習が終わり、全体ミーティングをしているときにM華がいないことに気がついた。

トロンボーンパートに話を聞くと、どうやら体調が悪くなり早退したらしい。

俺は「チューナーはおかしくなるし、体調は崩すしでM華の奴、今日は厄日だな」なんて思いながら帰宅した。

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楽器を用意しチューニングをする。 あれ?おかしい? 

【レ】【ミ】【ラ】しか表示されない。

困惑していると顧問から「話がある」とのことで音楽室へ移動。やけに暗い声だった。

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開口一番、M華先輩とT也先輩が亡くなったことを聞いた。

M華先輩は原因不明の高熱によるショック死。

T也先輩は交通事故に巻き込まれてしまったらしい。

部活は休みになった。楽器を片付ける。

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…なんか気分が悪い。

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