【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編7
  • 表示切替
  • 使い方

戻れない、、、?

wallpaper:1063

この話は、

大学時代に、数多くの経験をさせて頂いた、

ボロアパートでの、話の中の1つです。

当時の出来事を、

忠実に再現したかったのですが、

やはり、脚色は付き物ですね。

所々に、

怖さが半減する内容が、含まれますが、

それも、忠実な再現と、

受け取ってくだれば、有難く思います。

separator

その日、

私は、いつものように、寝ようとしていた。

部屋の突き当たりにある、窓に沿い、

横向きに、置いてあるベッドで。

( ほぼ、このアパートでの、

不可解な体験は、

このベッドが、させてくれました。)

separator

本を読みながら、

少しの眠気が、やって来た。

それと同時に、

いつもの感覚が、やって来た。

( 今までに、このサイトで、

その『感覚』と言うものを、

詳しく表現した事は、

1度も、無かったと思うのですが、

何故だか、今回、

きちんと書こうと思いました。)

それは、、、

身体全体に、心臓がある感じ。

しかし、

ドクン、ドクン、では無い。

ボワーン、ボワーン、と、

身体全体が、内側から、膨張する感じ。

それが、2、3秒ごとに訪れる。

時には、もう少し速い。

その繰り返し。波打つ感じ。

そうして、

身体が膨張する度に、

身体全体に、痺れる感覚が伴う。

同時に、耳にも、

『ウワァーン、ウワァーン、』

と、鮮明では無い音が、響く。

結局、それは、

『来る』

と、事前に知らせてくれる、

言わば、"お知らせ" みたいなもの。

私が、

初めて、所謂『金縛り』に遭った時からの、

極めて親切な、恒例行事みたいなものだった。

私は、

かなり落ち込み、そうして、思う。

(あーぁー、、今日もかぁ、、、)

しかしながら、

可笑しな話ではあるのだが、

そんな状態が、心地良く思える時もあった。

それが、

何故だかは、未だに分からない。

separator

事前通達が終わったようで、

案の定、私の身体は、動かなくなる。

以前にも、何度かお話ししたが、

私は、

そういう状態の時、"視覚" "触覚" は、働くが、

"聴覚" は、働かない。

特に、"視覚" に関して言えば、

物理的に、有り得ない所まで見える。

私は、

周りを見渡す。

周りの景色が、鮮明に見える。

そうして、

( 今日は、何が起こるんだ、、?)

などと、思っていた、、

その、次の瞬間、

目の前が、真っ暗になる。

そうして、突然に、視界が開けた。

( あ? 何!?)

私の目の前に、在ったもの、

私の目の前の、

10センチくらいギリギリに、在ったもの、

それは、私の部屋の天井だった。

当たり前のように、

私は、周りを見渡し、そうして、下を見る。

当時の、

正直な感覚を言うと、

下のベッドには、私が、横たわっていた。

横たわっているのだが、

それでいて、

ベッドの上の私には、存在感が無い感じ。

私は、

一瞬の内に、思いを巡らせる。

一瞬の内に、色んな考えが駆け抜けて行った。

( あっ、、、

これが、俗に言う『幽体離脱』とか?

えー、

でも、こんな体験なんて、

「辞書にも載ってんじゃねぇ?」くらい、

誰もが、

当たり前のように知っている、

誰もが、

当たり前のように体験している、

至極、常識的な現象として、

世の中に、存在してるけれども?

「オレ、昨日の夜、『幽体離脱』ってやつ?

体験しちゃってぇー?いや、マジで、」

とか、

自慢げに言ってる阿呆、

10000人くらい、いるよ、

でも、私は、そんなの面倒臭いし、

もう、いいよ、、

キャーキャー言うヤツらのとこに、

行っておくれ、

私は結構ですから、辞退します。)

と、思うか、思わないかの、

次の瞬間、

また、目の前が真っ暗になった。

何かを全速力で、突き抜けてる感じ。

(あーっ? 何だよ?これはっ!?)

と、悪態を吐く間も無く、

そうして、

それは、急に立ち止まった。

それと同時に、

私の目の前の視界が、突然に、一気に、開けた。

( 、、、、、、)

私は、、

何も、思えなかった。

ただ、ただ、

テレビや、本で見たような、

宇宙の様な空間に、フワフワ浮いている。

周りは、

黒色でも無い、紺色でも無い、

灰色でも無い、緑色でも無い、

しかし、所々に、

言葉では上手く説明出来ないが、

『真っ黒』

と、呼べる部分が、散らばっていた気がする。

そうして、

そんな空間の中に、キラキラ光る物が、

何処までも広がっていた。

白色、赤色、青色、緑色、クリーム色、、、

その物の光で、

私の周りは、明るさがあった。

( 、、、は?

ここは、宇宙、、で、しょうか、、?)

うん、

この話を、お読み頂いている皆さん、

どうぞ、

笑いたければ、笑って頂いて良いのですよ。

しかし、

実際に起きた事だから、

私には、その事実を、

如何に、正確に伝えられるか、

それしか、無いから。

separator

私は、次の瞬間、何故だか、急に思った。

( 、、戻れなくなるかも、、、)

不安になった。

必死に、後ろを見ようとする。

動こうとする。

しかし、それは、

まるで、海で溺れているかのように、

ただ、ただ、手足を、

バタつかせていただけ、だったんだろうと。

あたかも、

海からの、繰り出す波に逆らえず、

踠いているだけ、かのように。

私は、

何回も、何回も、何回も、何回も、

思い、そうして、願う。

( 戻りたい、戻りたい、戻りたい、、)

しかし、

上手く行かない。

( 誰が、何の為に、

こんな事、してんだよ、、、)

何時にもなく、半泣き。

それは、今、私を、

この様な状態に追いやっている、

相手が、、意図が、、原因が、、

私の中で、全く以て、分からなかったから。

そうして、

それは、不意に、、咄嗟に、、

頭に浮かんだ。

( 、、あっ、

明日、返さないといけない、

レンタルビデオが、あるんだった、、、)

何故、急に、

そう思ったのかもさえ、未だに、分からない。

むしろ、それは、

『機械的に思い出された』

ように、感じられた覚えがある。

普通、

こんな状態で、

レンタルビデオなんて、思い出すか?

かなりの、パニック状態で?

と、今となっては、不思議で仕方が無い。

( あーーーっ!!

明日、返さないと、延滞料金を取られる!!

しかも、

5本も、借りてますし、、、

貧乏な私にしたら、

それは、絶っ対に、絶っ対に、イヤだぁ!!

戻るっ!!帰るっ!!

だって、あんたら、

延滞料金、払ってくれないだろーがっ!!

無責任の集まりだな?

こんなとこ、

B級ホラーより、つまんねーしっ!!

それなら、

「アルマゲドン」観て、泣くわ。

、、、、、、、、、

、、私、、、帰りたい、ん、、です。

皆さんの、

ご期待に添えず、

大変に、申し訳ありませんが、、、

私、戻り、ますんで、、、

じゃ、)

その時、

遠くから、、かなり、遠くから、、、

誰かが、私を呼んだ。そんな覚えがある。

「Kちゃん、こっちだ、、、

Kちゃん、こっちだ、、、」

separator

次の瞬間、

目を開けた。

いつもの、ベッドから見える風景。

、、、、、、。

あまり、状況を把握出来ずにいた。

怖くて動けなかったので、

そのままの状態で、

少しずつ、、、考えてみる。

( えーっと、、、)

そうして、

まず最初に、思うのは、

( 一体、何だったんだ、、?

今の出来事は、、、)

と、言う事だ。当たり前だが。

( まぁ、、、

戻って来れたみたいだけど、

『幽体離脱』って、あんな感じなん?

皆、あんなの体験すんの?

あっ、でも、、、

こっちに戻って来る帰り道は、

真っ暗に、ならないんだな、、、

ふーん。

行く時だけ、真っ暗になるんか、、?

変なの。)

更に、考えてみる。

( そう言えば、、、

『皆さんの期待に添えず、、』とか、

私、謝ってた気が、、する、な、、、

、、、、、、、

うん?

皆さんって、誰だよ?

1人の仕業じゃあ、ないのか?

しかも、

今、考えるとさ、

1番、気に入らないのが、

何で?私が?

被害者である、この私が、、!?

何で? 謝らなきゃ、いけないんだ!?

あぁーーっ!!

クソムカつくわっ!!)

separator

暫くして、落ち着いてみる。

(まぁ、、、

何だか、疲れたし、

もう、どうでも良いけど、、、)

しかし、

当然、その後は、寝られず、

( 正直、怖かったし、)

植田まさし先生の、漫画を読みながら、

朝まで過ごした。

separator

以前に、そんな体験をした、私だが、

現在の私が、ただ1つ言える事。

それは、

その後も、所謂、『金縛り』は、

幾度となく経験したが、

しかし、

こんな『幽体離脱』的な体験をする事は、

2度と無かった、と言う事だ。

まぁ、とりあえず、今のところは、、、。

一体、あの晩は、

何だったんだろうと、

今でも、不思議で仕方が無い。

俗世間に、数多と溢れ満ちている体験談、

所謂、『幽体離脱』と、

呼ぶべき体験だったのだろうか。

separator

私には、後、一つだけ、

不思議で仕方が、無い事がある。

あの時に、

あの、宇宙の様な空間に居る時に、

私が『戻りたい』と思った、あの時に、

私の事を、

遠くから、呼んでくれた声は、

一体、誰だったんだろうと。

誰にせよ、

私の事を、大切に思ってくれている人には、

間違え無い、と思うが。

Normal
コメント怖い
10
11
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信