中編7
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戻れない、、、?

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この話は、

大学時代に、数多くの経験をさせて頂いた、

ボロアパートでの、話の中の1つです。

当時の出来事を、

忠実に再現したかったのですが、

やはり、脚色は付き物ですね。

所々に、

怖さが半減する内容が、含まれますが、

それも、忠実な再現と、

受け取ってくだれば、有難く思います。

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その日、

私は、いつものように、寝ようとしていた。

部屋の突き当たりにある、窓に沿い、

横向きに、置いてあるベッドで。

( ほぼ、このアパートでの、

不可解な体験は、

このベッドが、させてくれました。)

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本を読みながら、

少しの眠気が、やって来た。

それと同時に、

いつもの感覚が、やって来た。

( 今までに、このサイトで、

その『感覚』と言うものを、

詳しく表現した事は、

1度も、無かったと思うのですが、

何故だか、今回、

きちんと書こうと思いました。)

それは、、、

身体全体に、心臓がある感じ。

しかし、

ドクン、ドクン、では無い。

ボワーン、ボワーン、と、

身体全体が、内側から、膨張する感じ。

それが、2、3秒ごとに訪れる。

時には、もう少し速い。

その繰り返し。波打つ感じ。

そうして、

身体が膨張する度に、

身体全体に、痺れる感覚が伴う。

同時に、耳にも、

『ウワァーン、ウワァーン、』

と、鮮明では無い音が、響く。

結局、それは、

『来る』

と、事前に知らせてくれる、

言わば、"お知らせ" みたいなもの。

私が、

初めて、所謂『金縛り』に遭った時からの、

極めて親切な、恒例行事みたいなものだった。

私は、

かなり落ち込み、そうして、思う。

(あーぁー、、今日もかぁ、、、)

しかしながら、

可笑しな話ではあるのだが、

そんな状態が、心地良く思える時もあった。

それが、

何故だかは、未だに分からない。

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事前通達が終わったようで、

案の定、私の身体は、動かなくなる。

以前にも、何度かお話ししたが、

私は、

そういう状態の時、"視覚" "触覚" は、働くが、

"聴覚" は、働かない。

特に、"視覚" に関して言えば、

物理的に、有り得ない所まで見える。

私は、

周りを見渡す。

周りの景色が、鮮明に見える。

そうして、

( 今日は、何が起こるんだ、、?)

などと、思っていた、、

その、次の瞬間、

目の前が、真っ暗になる。

そうして、突然に、視界が開けた。

( あ? 何!?)

私の目の前に、在ったもの、

私の目の前の、

10センチくらいギリギリに、在ったもの、

それは、私の部屋の天井だった。

当たり前のように、

私は、周りを見渡し、そうして、下を見る。

当時の、

正直な感覚を言うと、

下のベッドには、私が、横たわっていた。

横たわっているのだが、

それでいて、

ベッドの上の私には、存在感が無い感じ。

私は、

一瞬の内に、思いを巡らせる。

一瞬の内に、色んな考えが駆け抜けて行った。

( あっ、、、

これが、俗に言う『幽体離脱』とか?

えー、

でも、こんな体験なんて、

「辞書にも載ってんじゃねぇ?」くらい、

誰もが、

当たり前のように知っている、

誰もが、

当たり前のように体験している、

至極、常識的な現象として、

世の中に、存在してるけれども?

「オレ、昨日の夜、『幽体離脱』ってやつ?

体験しちゃってぇー?いや、マジで、」

とか、

自慢げに言ってる阿呆、

10000人くらい、いるよ、

でも、私は、そんなの面倒臭いし、

もう、いいよ、、

キャーキャー言うヤツらのとこに、

行っておくれ、

私は結構ですから、辞退します。)

と、思うか、思わないかの、

次の瞬間、

また、目の前が真っ暗になった。

何かを全速力で、突き抜けてる感じ。

(あーっ? 何だよ?これはっ!?)

と、悪態を吐く間も無く、

そうして、

それは、急に立ち止まった。

それと同時に、

私の目の前の視界が、突然に、一気に、開けた。

( 、、、、、、)

私は、、

何も、思えなかった。

ただ、ただ、

テレビや、本で見たような、

宇宙の様な空間に、フワフワ浮いている。

周りは、

黒色でも無い、紺色でも無い、

灰色でも無い、緑色でも無い、

しかし、所々に、

言葉では上手く説明出来ないが、

『真っ黒』

と、呼べる部分が、散らばっていた気がする。

そうして、

そんな空間の中に、キラキラ光る物が、

何処までも広がっていた。

白色、赤色、青色、緑色、クリーム色、、、

その物の光で、

私の周りは、明るさがあった。

( 、、、は?

ここは、宇宙、、で、しょうか、、?)

うん、

この話を、お読み頂いている皆さん、

どうぞ、

笑いたければ、笑って頂いて良いのですよ。

しかし、

実際に起きた事だから、

私には、その事実を、

如何に、正確に伝えられるか、

それしか、無いから。

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私は、次の瞬間、何故だか、急に思った。

( 、、戻れなくなるかも、、、)

不安になった。

必死に、後ろを見ようとする。

動こうとする。

しかし、それは、

まるで、海で溺れているかのように、

ただ、ただ、手足を、

バタつかせていただけ、だったんだろうと。

あたかも、

海からの、繰り出す波に逆らえず、

踠いているだけ、かのように。

私は、

何回も、何回も、何回も、何回も、

思い、そうして、願う。

( 戻りたい、戻りたい、戻りたい、、)

しかし、

上手く行かない。

( 誰が、何の為に、

こんな事、してんだよ、、、)

何時にもなく、半泣き。

それは、今、私を、

この様な状態に追いやっている、

相手が、、意図が、、原因が、、

私の中で、全く以て、分からなかったから。

そうして、

それは、不意に、、咄嗟に、、

頭に浮かんだ。

( 、、あっ、

明日、返さないといけない、

レンタルビデオが、あるんだった、、、)

何故、急に、

そう思ったのかもさえ、未だに、分からない。

むしろ、それは、

『機械的に思い出された』

ように、感じられた覚えがある。

普通、

こんな状態で、

レンタルビデオなんて、思い出すか?

かなりの、パニック状態で?

と、今となっては、不思議で仕方が無い。

( あーーーっ!!

明日、返さないと、延滞料金を取られる!!

しかも、

5本も、借りてますし、、、

貧乏な私にしたら、

それは、絶っ対に、絶っ対に、イヤだぁ!!

戻るっ!!帰るっ!!

だって、あんたら、

延滞料金、払ってくれないだろーがっ!!

無責任の集まりだな?

こんなとこ、

B級ホラーより、つまんねーしっ!!

それなら、

「アルマゲドン」観て、泣くわ。

、、、、、、、、、

、、私、、、帰りたい、ん、、です。

皆さんの、

ご期待に添えず、

大変に、申し訳ありませんが、、、

私、戻り、ますんで、、、

じゃ、)

その時、

遠くから、、かなり、遠くから、、、

誰かが、私を呼んだ。そんな覚えがある。

「Kちゃん、こっちだ、、、

Kちゃん、こっちだ、、、」

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次の瞬間、

目を開けた。

いつもの、ベッドから見える風景。

、、、、、、。

あまり、状況を把握出来ずにいた。

怖くて動けなかったので、

そのままの状態で、

少しずつ、、、考えてみる。

( えーっと、、、)

そうして、

まず最初に、思うのは、

( 一体、何だったんだ、、?

今の出来事は、、、)

と、言う事だ。当たり前だが。

( まぁ、、、

戻って来れたみたいだけど、

『幽体離脱』って、あんな感じなん?

皆、あんなの体験すんの?

あっ、でも、、、

こっちに戻って来る帰り道は、

真っ暗に、ならないんだな、、、

ふーん。

行く時だけ、真っ暗になるんか、、?

変なの。)

更に、考えてみる。

( そう言えば、、、

『皆さんの期待に添えず、、』とか、

私、謝ってた気が、、する、な、、、

、、、、、、、

うん?

皆さんって、誰だよ?

1人の仕業じゃあ、ないのか?

しかも、

今、考えるとさ、

1番、気に入らないのが、

何で?私が?

被害者である、この私が、、!?

何で? 謝らなきゃ、いけないんだ!?

あぁーーっ!!

クソムカつくわっ!!)

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暫くして、落ち着いてみる。

(まぁ、、、

何だか、疲れたし、

もう、どうでも良いけど、、、)

しかし、

当然、その後は、寝られず、

( 正直、怖かったし、)

植田まさし先生の、漫画を読みながら、

朝まで過ごした。

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以前に、そんな体験をした、私だが、

現在の私が、ただ1つ言える事。

それは、

その後も、所謂、『金縛り』は、

幾度となく経験したが、

しかし、

こんな『幽体離脱』的な体験をする事は、

2度と無かった、と言う事だ。

まぁ、とりあえず、今のところは、、、。

一体、あの晩は、

何だったんだろうと、

今でも、不思議で仕方が無い。

俗世間に、数多と溢れ満ちている体験談、

所謂、『幽体離脱』と、

呼ぶべき体験だったのだろうか。

separator

私には、後、一つだけ、

不思議で仕方が、無い事がある。

あの時に、

あの、宇宙の様な空間に居る時に、

私が『戻りたい』と思った、あの時に、

私の事を、

遠くから、呼んでくれた声は、

一体、誰だったんだろうと。

誰にせよ、

私の事を、大切に思ってくれている人には、

間違え無い、と思うが。

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