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中編4
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いつも、足元から

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私は高校を卒業し、他県の大学に通うため、

1人暮らしを始めました。

しかし、やっぱり寂しいものです。

毎晩、親や高校時代の友達に電話していました。

当時、私の住んでいたアパートは、

とにかく家賃が安く、

なので、必然的にボロアパートでした。

あまり裕福では無かった実家で、精一杯やり繰りしてくれたのでしょう。

私はそう思い、そのアパートで暮らし始めました。

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1、2ヶ月を過ぎたあたりでしょうか。

私は部屋の突き当たりの窓に、平行にして

ベッドを置いて寝ていました。

ある日、私は、本を読みながら寝落ちしてしまいました。

( うん?、、、)と、

何となく、目が覚めました。

身体は動きません。

以前から、こう言う体験は、何度もしてきたので、

慣れてしまってると言うか、

( あー、また金縛りかぁー )

と、そんな感じでした。

すると、窓から誰かが入って来ました。

( あらー、誰が来たなぁー )

と、いつものように、余裕と言うか、

そんな感じでした。

その人は、何となく男性だと分かりました。

彼は、最初、私の足元に居ましたが、

それから、ベッドの上を歩いている感覚が、

伝わりました。

私の身体をまたぎ、その足は、

どんどん私の顔の方に、近づいて来ます。

そいつは、私の目の前に居ます。

その時、私は、やっと恐怖を感じました。

しかし、私は、

自分で、自分が寝ている部屋全体を、

第三者の様に見る事が出来ました。

おかしな話ですが、

私は以前から、意味不明な体験をした時に、

まるで、他人からの視点の様に、

部屋中を見渡せる、と言う事が何度もありました。

自分で、自分を見れる言うか、、、

今の、自分の状況を見れると言うか、、、。

私自身も、何故なのかは分からないのですが。

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私は、私を見ました。

私に覆いかぶさってたのは、

やはり男性で、水泳選手の様に逆三角の、

かなり体格の良い人でした。

色は周りが青で、中に進むにつれて白かったです。

( 何じゃ、こいつは、、、)

しかし、

私は、金縛りに遭い、訳の分からないヤツが来た時に、

つまり、今の、この様な場合、

視覚と触覚はあるんです。

ただ、聴覚だけは働きませんが。

顔は、ぼやっと見えました。

普通の若い男性だと思います。

ただ、今回は、視覚があまり働きませんでした。

何となく違和感を感じ、

( 助けて!この人イヤだ!

南無阿弥陀仏、、、南無阿弥陀仏、、、)

私は心の中で叫びました。

しかし、効果は何も無く、

私の中に、そいつが入って来ると言うか、

フワッと私に溶け込んだかの様に居なくなりました。

その瞬間、身体は自由になりました。

( えっ? 何、、、?

あの人、何処に行ったの、、、?)

そんな感覚にとらわれました。

その後も、度々、彼は現れました。

いつもと同じように。

私は母に、相談しました。

すると、

1つの大きなクマのぬいぐるみが、

母から送られてきました。

クマの首には、御守りが巻かれていました。

しかし、母には悪いのですが、

何にも効果はありませんでした。

実際に、

自分の体調に影響が出る訳でも無いですし、

意味の分からないまま、

だけど、あのアパートで寝るのが怖くて、

友達の家を転々と泊まっていました。

久しぶりに、

自分のアパートに帰ってみても、

彼は、現れない時は、全く現れませんし、

ホッとしてると、連日、現れたりします。

正直、だんだん慣れてしまいました。

足元から近寄って来るのも、

最後には、私に溶け込む様な感じで、

いなくなる事も。

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その後、何年か経って、私は実家に帰りました。

その頃にはもう、彼は現れていませんでしたし、

逆に忘れていました。

そうして実家で暮らし始めて、

1ヶ月くらい経った頃でしょうか。

実家での私の部屋は、

窓に対して垂直な形で、ベッドが置かれており、足元が窓側に向いていました。

それは、私の実家は飲み屋街にあり、窓の方に向いて寝ると、うるさくて寝られなかったからです。

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その夜も、いつもの様に自分の部屋へ行きました。

本を読みつつ、

いつの間にか、私は寝てしまいました。

夜中に目が覚めました。

( うん、、、? 誰か来た、、、? )

その瞬間、はっきりと目が覚めました、

足元に誰かいます。

( あっ、、、) と思いました。

彼です。

気付いた時には、既に、彼は近づいて来ていました。

( え?実家なのに、、、?

何でヤツが来るの、、、!?)

そう思い、軽くパニックになりましたが、

以前と同じく、

彼は、私の顔ギリギリまで近づくと、

フッと私の中に溶け込んで行きました。

私は思いました。

( もう、イヤだ。

あいつが来られないようにしたい。

窓が無ければ、

あいつは来れないんじゃないの?)

そう思い、

私は、窓の無い部屋で寝る事にしました。

家族にも訳を話し、理解してもらえました。

それからは、快適な夜だったのですが、

しかし、とうとう彼は来てしまいました。

私の足元の襖の前に立っています。

そこからは、いつものパターンでした。

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幸いな事に、最近、彼とは会っていません。

しかし、身体に溶け込む様な感じだけは、

今でも覚えています。

一体、彼は誰なのでしょう。

何故、私に付きまとうのでしょうか。

そして、いつになったら、

私の足元から、居なくなるのでしょうか。

毎晩、( 今夜、来るのでは、、、) と考えます。

でも、最後に1つだけ、不思議な事があります。

彼が来ると怖いのに、

何故だか、安心感があるのです。

何だか分からないけど、安心するのです。

逆に、来ないと不安になる様な、、、。

そんな自分が、逆に怖いです。

Concrete
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